ー3カ月前、童貞を捨てた。思ったほど、世界は変わらなかったー
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見城徹、堀江、与沢翼…大ヒット本編集者が内幕暴露!20代からの「超大物」の口説き方【前編】

20代も最後。ソーシャルトレンドニュース編集長の霜田明寛は焦っていた。
世に送り出した二冊の著書。あれから5年……。新しい本を書き上げてもいない。イヤ、正直に言うと原稿はできている。次こそはヒット作にしたいからこそ出すに出せないのだ。

悩める彼は、ヒントをつかむために一冊の本を手に取った。数々のベストセラーを生み出してきた伝説の編集者・見城徹『たった一人の熱狂』だ。“圧倒的努力”を信条とする見城氏の過剰なエピソードに唸り声を漏らし、やっとのことで読み終えようとしたとき、あとがきに目が留まった。

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僕が755を始めてから1週間ほど過ぎた頃、
「みのわ」と名乗るユーザーが
「本にさせてください」とコメントを入れて来た。
双葉社の若き編集者、箕輪厚介だ。

僕は当初まったく企画に乗り気ではなかった。
だが箕輪はまったく引くことがなかった。

見城さんに食い下がった「みのわ」とは何者なのか。“若き”とはどれくらいなのか。
……どうやら霜田と同い年、レスリー・キーが撮影した与沢翼のムック本やホリエモンの書籍など、大物を口説いて話題作ばかりを手がけているようだ。霜田にしても、大物の口説き方に関しては少なからず自負がある。師匠で作家の水野敬也を魅了し、ブロガー・作家のはあちゅうに寄り添い、無職から這い上がってきた。では大物を口説く術をもって、それをヒットにつなげるにはどうすればいいのか。箕輪氏にインタビューを申し込むと、快く応じてくれ、出版までの経緯を含めて赤裸々に語ってくれた。

見城さんに“熱狂”していた

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――『たった一人の熱狂』、ホント濃い本ですね。いきなり直球で聞かせていただきますが、乗り気じゃなかったという見城さんをどうやって口説き落としていったんですか?

もともと僕は見城さんのことをずっと尊敬していたし、大好きだったんです。だから見城さんが755を始めたことも当然知っていたので、「えっ、SNSなんてやるんだ」と思ってトークを見ていました。

その内容がすごい面白くって。「これ、絶対本になるな」と思い、「本にさせてください」って755で見城さんにコメントを入れて。そのあとすぐに手紙を書いた。見城さんのことをずっと好きでどういう方か知っていたから、SNSで連絡入れて軽い感じでお願いしてもうまくいかないだろうと簡単に想像できたので、きちんと手紙にしました。

――見城さん自身が手紙で大物を口説いた方ですもんね。箕輪さんの手紙はどんな内容だったんですか?

もともと僕は見城さんの作ったものにずっと影響を受けていたんですよ。
小学生の頃でいえば見城さんが本を作ったことで世に広まった“公文式”をやっていて。そのあと、中学くらいかな。村上龍さんの『5分後の世界』にもメチャクチャハマった。それだって見城さんが幻冬舎を立ち上げたことがきっかけで龍さんが書いた小説ですし。

で、就活の段になったら編集者になりたいと思って見城さんの『編集者という病い』を読み返し。そういう個人的な想いと「見城さんの755の本を作りたい」、「見城さんの755の言葉はこれだけ感動する、本になる」っていう強い想いを手紙には書きました。

――見城さんの著作を読むと初対面で怒られる人の話とかも書かれていますが、恐くはなかった?

みなさん恐がられますよね。この本の宣伝で記者の人たちをセッティングしたときも、見城さんを前にするとみなさんものすごくガチガチになられていて。

でも、僕は最初からそんなに恐いとは思っていなかったです。むしろ「早く想いを伝えたい」って考えていました。ただ、前日に見城さんとエイベックスの松浦さんが対談している動画を観ていたら「面会した相手と仕事をするかどうかは会った最初の3分で決まるよね」とか話していて。これはヤバいと思いましたけど。

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――うわあ(笑)。

名刺入れも持っていなかったんで、会う前に100均で買って。見城さんは名刺を切らしていて相手に渡せなかったときには、速達で相手に送るっていうことも知っていたので「もし名刺忘れたら速達で送らなきゃな」とかは考えていました。

――えっ!? 名刺入れはそれまでの仕事であんまり必要なかったってこと?

あんまり。それまでは名刺が入っている箱をそのまま使っていて。そういうタイプだったんで。

――そういうタイプって(笑)! 実際にお会いして最初は何を話したんですか?

「3分どうしよう」とか思ったんですけど、そんなに意識はしなかったです。最初にお会いしたときは「見城さんのこと、これだけ好きです」って伝えました。

すでに「NAVERまとめ」で見城さんの755での名言がまとめられていたこともあって、「それをまとめて出せばいいんじゃない」などと言われたりもしたので、確かにあとがきにも書かれているようにじっくり一冊の本を作るということには最初はあんまり乗り気じゃなさそうでしたね。

2歳の息子も「けんじょーさん」に熱狂?

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――そこからどうやって見城さんの心をつかんでいったんですか?

「こいつホントに俺のこと好きだな」っていうのが伝わって徐々に信頼してくれたのだと思います。

見城さんの、どのエピソードが何の本のどこに書いてあるか、常に引き出し可能になっていたし。雑誌や新聞、ネットにある見城さんの記事やインタビュー、テレビやネットの映像、何から何まで世に出ている見城さんのエピソードで知らないものはありませんでしたから。

見城さんにお会いして話してからも異常なくらいドンドン好きになっていった。ホントに脳が覚醒していたというか。毎週3時間くらいのインタビューをしていたんですが、それを録音したものを会社の行き帰りの移動中にずっと聴いて、ほぼ全部記憶していましたね。

自宅で僕の携帯が鳴ると、2歳の息子も「けんじょーさん?」って聞いてくる。テレビに映る歌のお兄さんを観ても、「あっ、けんじょーさんだ!!」って。全然似てないのに(笑)。そのくらい頭の中は見城さん一色で自宅でも見城さんの話ばかりしていた。

――見城さん以外の人と接するときにも引き出し可能なインデックスを作っていくものなんですか?

イヤイヤ、それはもうホントに好きだからこそできたっていうだけですね。本能に近い。見城さんのことが好きすぎて覚えるまで聴いちゃう、読んじゃうんです。

――見城さんに“熱狂”していたと。見城さんに限らないのですが、相手の懐にとびこむコツってありますか?

まずは今話したように自分が本気で熱狂すること。あとは人それぞれ個性があるので、何が相手に取ってツボかは考えます。

たとえば堀江さんだったら手紙を書いて送っても、まったく響かずに「うぜぇやつだな」って思われるだけでしょう。むしろホリエモンの思考から逆算すると、アナログ的なものより効率的なアプローチは何かと考えていった方がいい。

実際、堀江さんに本のプロモーションを頼むとき、ツイッターで“@takapon”を入れてつぶやくとマメにリツイートしてくれるんですよ。これが堀江さんに「ツイッターでつぶやいてください」とか事前にお願いしても「うぜぇ、めんどくせぇ」ってなる。

逆に見城さんの場合は、しばらく会っていないなと思ったら手紙を書いたり、見城さんに関する記事や本に関する書評があったらすぐに読んで感想を伝えたりしていた。毎日何回もヤフーのリアルタイム検索で「見城」を調べて、なんか動きがあれば「今コレコレこういうふうにつぶやかれています」と伝えたりもしましたね。

(取材・文:小倉宏弥)

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プロフィール:箕輪厚介(みのわ・こうすけ)
1985年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、2010年に株式会社双葉社に入社。

女性ファッション誌『エッジ・スタイル』の広告営業を手がけるかたわら、13年には与沢翼責任編集『ネオヒルズ・ジャパン』を創刊し、Amazon総合ランキング1位を獲得。14年4月からは編集部に異動。トークアプリ「755」で語られる見城徹の言葉を元にした『たった一人の熱狂-仕事と人生に効く51の言葉-』、堀江貴文『あえて、レールから外れる。逆転の仕事論』などを出版。共にAmazonビジネス・経済書籍ランキングで1位を獲得。

たった一人の熱狂-仕事と人生に効く51の言葉 (著:見城 徹 双葉社)

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