ー3カ月前、童貞を捨てた。思ったほど、世界は変わらなかったー
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見城徹、堀江、与沢翼…大ヒット本編集者が内幕暴露!20代からの「超大物」の口説き方【中編】

霜田と同い年でヒット本を連発する“若き編集者”箕輪厚介さん。第一回のインタビューでは、見城徹『たった一人の熱狂』が生まれるまでの裏話の数々を赤裸々に語ってくれた。

どうやら相手に“熱狂”することと、相手の立場になって想像力を働かせることが、大物を口説くカギとなるようだ。今回のインタビューでは、堀江貴文『逆転の仕事論』から与沢翼責任編集『ネオヒルズ・ジャパン』の制作秘話を伺った。話を聞けば聞くほど、ヒット作を生み出すために必要な要素が浮かび上がってきた。

ホリエモン本の裏テーマは「脱・13歳のハローワーク」

――ホリエモンの『逆転の仕事論』も売れているみたいですね。この前、書店に行ったら「今、この本が売れています!!」みたいな棚に置かれていました。本の帯には「発売たちまち重版!!」って文字が入っていましたよ。

この本は広告部から編集部に移って最初に企画書を出してできた本です。でも発売前は冷や汗が出っ放しでした。見城さんの本は短い言葉で明快に本のコンセプトを言えるのですが、堀江さんの本は8名の方々を取り上げたインタビュー集ということもあり、僕の中でコンセプトはあってもなかなか振り切ったメッセージを世に出しづらく、イマイチ感触がつかめなかった。

――というと?

『逆転の仕事論』は名前がつかない職業をしているような人たちを取り上げる逆説的な仕事論を提示する本にしたかったんです。「脱・13歳のハローワーク」みたいな。

ベストセラーになった村上龍さんの『13歳のハローワーク』には、好きなことを入口に「こういうトレーニングをして、こういう資格を取ったら、この職業に就ける」ってことが分かりやすく体系的に書かれていた。

そこから10年以上が経って世の中を見てみたら、定義されていない職業がたくさん出てきた。当時敷かれていたレールがなくなっているような時代。その当時は映像で仕事したかったら良い大学を出てTV局員になるってレールがあった。

でも今は、HIKAKINさんみたいにYouTubeを使えば、難関をくぐり抜けてテレビ局に入らなくてもすぐにやりたい表現をできていたりするじゃないですか。小学生でも中二でもやれちゃう。そういう新しい生き方をしている人って何やっているか分かりづらくてちょっと胡散臭いとらえ方をされがちだけど、この本を読むことで、かつてのレールに頼らない方が生き残れるって伝えたかったんです。

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――うわあ! この本に登場されている方々と比べるのはおこがましいけど、ボクもワケ分からない扱いされることが多いのですっごいよく分かる。

あとはマーケティング的な側面で考えても堀江さんは本がほぼ毎月出ている上に、メルマガやTwitterや755などのネットでも常に発信しているから、堀江さんの本を買うような人は堀江さんが普通の仕事本を出しても内容が大体予想できてしまう。

だからこの本では、堀江貴文の仕事論ではなく、堀江さん的なことをやっている他の8人の考えを堀江さんが解説するって形をとることで、様々な化学反応を起こして、ホリエモン的仕事論に今までなかった幅を持たせて提示し直したかった。ま、こうやって意図を説明するにも長くなってしまうから今までの本と比べても不安を感じていたわけです。

――ホリエモンに熱狂していたからこそできた本だと。となると、与沢翼の『ネオヒルズ・ジャパン』を作ったときも与沢翼に熱狂していたんですか?

与沢の出ている記事や映像を覚えるという行為はしなかったけど、与沢の本を作っているときは与沢のことで頭がいっぱいでした。世間で彼が批判を浴びたりバカにされたりすると、「いいぞ、やれ! もっと変なことやれ」って僕も興奮していた。

――半信半疑じゃなくて与沢翼を100%信じ切っていた感じ?

信じていたかというと違うかもしれませんが、もう100%大好きでした。ただ与沢をバカにしている人の意見もものすごく分かっていて。だから二つですね。世間がこう見るだろうなという視点と編集者として与沢に「おもしれぇッ」と熱狂している自分、みたいな。

相手をリスペクトして丸裸になればいい

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――誌面には振り切った与沢翼を表現したと。

完全に振り切った与沢を出して、世間がバカにするのを想像していた。要は与沢のキャラでチープなことをやるとそのままじゃないですか。『SPA!』の特集とかで全部やり尽くされていた感があったし。『anan』の企画でもヘリに乗っていましたからね、彼。だったらもっともっと突き抜けたときに、本当の笑いが生まれるのじゃないかと思っていました。

――これ笑うために読むんだろなと思いつつも、悔しいことにちょっと役に立つんですよね(笑)。

今考えると狂っていますけど、そのときは与沢に熱狂していたから読むとホントに役立つように考えてたんです。「与沢のここがスゴイ」とか「ここはタメになる」とかポイントを考えて詰め込みました。

――それって見城さんに対しての熱狂と種類は違うんですか?

うーん、それはよく分からないです。ただ見城さんにしても100%のめりこんで作ってましたが、世間がどう見るかという視点は持っていました。要は仕事を見城さんほど頑張っていない人とか、そこまで頑張れない人とかはこの本と向き合うのはイヤだろうなと。「俺は血の滲むような圧倒的な努力をしたんだぞ」とか「毎日こんなに憂鬱になりながら仕事をしているんだぞ」とかって、そういう人たちにとっては耳が痛いし、見たくないことだろうなと。

――「これほどの努力を人は運と言う」とか見城さんに言われて、「もっと頑張らなきゃ!」って思える人ばかりではないですよね。

でも読みたくない人まで受け入れる内容にするよりは、そこは捨てて振り切らないと売れないなと思って作りました。見城さんの人間としての振れ幅、濃さを最大限強めるように。最初は「今までの著作とかぶっちゃうな」って思うこともあって悩んだのですが、見城さんの人生を語るときに重要な局面がかぶるのは当たり前だから、そこは仕方がないことだと開き直った。そのかわり、できるだけ新しいエピソードを聞くことは意識していましたね。

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――ボクはこの本を「こんな際どいエピソードを出すんだ」って思って読んでいて。見城さんの機嫌を損ねずに話したくなさそうなことをどうやって引き出したんですか?

インタビューが始まる前に「見城さんが今までに言っていないことリスト」みたいなものを紙にいくつか書き出していました。たとえばこの本にある、幻冬舎の経理が会社のお金を持っていっちゃったこと、角川春樹さんとの関係とかは最初から聞こうと思っていました。もちろん本にならない部分もありましたけど。それに見城さんも「なんでそんなこと聞くんだよ!」って理不尽に怒る人ではない。

多分それも「コイツ俺のこと好きだな」っていう信頼感が前提にあったからだと思うんですが。さすがに最初から急所みたいなところをズバズバ聞いたら「なんだよ!」ってなると思うんです。でもホントにいい本を作りたいって想いから出た核心的な質問は、見城さんも編集者なので痛いほど理解してくれていたと思います。「本が売れなくてお前が社内で『見城の本なんか出しやがって』と気まずい思いをするのだけはイヤだ」とも言ってくれて。

――見城さん、優しい……。

ホント優しいですよ! 頑固な人でも理不尽な人でもないので。宣伝原稿決めるときも「このキャッチよりこっちの方がいいと思いますよ」って言うと、「うーん、確かにそうだな」ってすぐに変えてくれたりとか。

――すごい、何でも言い合える関係だったんですね。

僕思うんですけど、最大限に相手をリスペクトしてそれを前提として丸裸になるっていうのがいちばん大事な気がする。そうすれば形式的なことは全部いらないんで。言いたいことは言うし、自分が能力的に劣っていることも誤魔化さずに出す。っていうのがいいような気がしますね。

――仕事で至らない点があるようにはとても見えませんが。

あり得ないですよ!そんなこと。大体至らない、ダメ人間キャラですよ。僕、会社入ったときにはキーボードすらあんまり打てませんでしたから。

――それ、面白いッスね(前のめりに)!
ポストイットに「DYE(ぢぇ)」とか「_(アンダバー)」とかメモしてキーボードや机に貼っていたら、社内で「ミノワ、マジでヤバいかもしれない」「ヤバいヤツ採ったな」っていう噂が広まって僕のところまで届きましたから(笑)。日報とかも書かないし。

――形式的な日報なんて書いても意味ないと(笑)。

「マジで仕事してねえな」って思っている人の日報とか見ると笑えてくるんですよね。“ナニナニ打ち合わせ”“電話対応”とか書いてあるけど、要は何もしてないわけです。それ書くなら「書くこと1000個あるよ」って思ってました。会社に入ると一年目にマナー研修とかあるじゃないですか。研修中は毎回レポートとか出すんですけど、僕が『マナー研修という名の茶番劇』というタイトルでマナー研修がどれだけ茶番だったかを書いたら上司に鬼のように怒鳴られましたからね。後にも先にもあんなに人に怒鳴られたことはないですが。

――徹底していますね(笑)。

ホントに僕はマナーがなかったからマナーを学びたくてワクワクしていたんですよ。ちゃんとした名刺の渡し方だとか教えてもらいたいなって。で、蓋を開けてみるとマナー研修の内容はそういうことではなくて自己分析みたいなことだったんです。グループミーティングで「僕はこの会社に入ったのはコレコレこういう理由で」とかを話し合って。だから茶番だと思って「残念だった」みたいなことを書いたら、内容とは関係なしに「お前、調子乗んなよ」って。

(取材・文:小倉宏弥)

プロフィール:箕輪厚介(みのわ・こうすけ)
1985年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、2010年に株式会社双葉社に入社。

女性ファッション誌『エッジ・スタイル』の広告営業を手がけるかたわら、13年には与沢翼責任編集『ネオヒルズ・ジャパン』を創刊し、Amazon総合ランキング1位を獲得。14年4月からは編集部に異動。トークアプリ「755」で語られる見城徹の言葉を元にした『たった一人の熱狂-仕事と人生に効く51の言葉-』、堀江貴文『あえて、レールから外れる。逆転の仕事論』などを出版。共にAmazonビジネス・経済書籍ランキングで1位を獲得。

あえて、レールから外れる。逆転の仕事論 (著 堀江 貴文 双葉社)

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