自分の想像がぶち壊されるか・い・か・ん?秋の夜長にオススメ!“読者を騙す”作品3選

活字離れが叫ばれて久しい今日。
読書に馴染みのない人は、小説を手に取ることはなかなか敷居が高いことのように思います。

しかし、世の中には小説だからこそできる“読者を騙す表現”があります。小説は文字だけで表現されるため、読者自身が世界を構築する必要があります。
こういった作品は読者の思い描くものと物語の構図が異なるように描かれています。そのため伏線に気付いた瞬間に、自分の世界は一気に崩れさるのです。

残念ながら、このタイプの小説は性質上、「映像化はできない」といわれています。

映像化されないのなら読むしかない! ということで今回は“小説でしか出会えない”作品を厳選して3つ紹介します!

綾辻行人『十角館の殺人』(講談社)

無題
推理小説好きの大学生が孤島の屋敷で合宿をすることになります。目的は、4年前にそこで起きた殺人事件の謎を解明するため。意気揚々と乗り込んだメンバーでしたが、以前の事件をなぞるようにしてメンバーの1人が殺されます。

殺人はその後も続き1人、また1人と殺され、最後には……。
というまるでミステリー小説の王道のような設定です。

しかし、後半のたった1行で小説は姿を一気に変えます。
何も考えずに読んだら、終盤では頭を殴られたような衝撃を受けること間違いなし。また、「この表現あやしいな」とか「この物語構成には意味がありそう」など考えながら読むのも通な楽しみ方かもしれません。私は後者で読みましたが、見事に衝撃が脳天を突き抜けました。

歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』(文藝春秋)

無題1
読者の思っていた世界をひっくり返すためだけに作られたような作品かもしれません。

探偵である主人公の恋模様と、彼が依頼された事件の2つの軸で物語は流れていくのです。恋愛あり、活劇ありの作品は、2つの出来事を交錯させながら進行していきます。
残念ながらこのくらいしかあらすじの紹介はできません。というのもあまりお話しするとネタバレになってしまうからです。

もう少しお話しするとしたら、読み終わったときには「私の思い描いていた世界は何処に……」となります。
それくらい見方が変わります。

ちなみにこの本を読んで「オチがわかった」という方にお会いしたことがありません。それくらい最初と最後では全く違う作品といえます。

麻耶雄嵩『螢』(幻冬舎)

無題2
オカルト研究会に所属する大学生6人が山間地にある屋敷へ行くことになります。そこは10年前殺人事件のあった現場で、肝試しを兼ねて夏合宿が行われることになっていました。

最初こそふざけ合っていたメンバーでしたが、10年前の事件をなぞるような殺人が起きて……。という本格推理ものを漂わせる作品。
しかし、「一体犯人は誰なのか?」以外にも楽しめるポイントが多いのです。多くを語るとネタバレになってしまうので避けますが、例えば「以前起きた事件の真相」や「名前にまつわる謎」などがあります。これとは別に、最後には予想していなかった事が明らかになります。

こちらは最初に紹介した『十角館の殺人』と似た王道ミステリーの設定ですが、前者とは一味違った手法で驚かされます。
冒頭で「小説でしか出会えない」と言っておいてなんですが、これは頑張れば映像化できるかなと思ったりもします。だからこそ映画化される前に一度手に取ってみてほしい作品です。

小説の醍醐味は何と言っても自分で世界を作り出せるということ。
「このキャラは芸能人でいうとこの人」や「物語の舞台はこんな感じ」など、自分が自由に想像を膨らませることができます。
同じ本でも10人いれば10通りのとらえ方があるのです。これは映画にはない魅力ではないでしょうか?

今回ご紹介した3つの作品は“読者を騙す”作品としてミステリー好きの間では評価されているものばかりです。
どれを読んでも最初と最後で作品の世界感は変わっていることでしょう。
それを踏まえた上で、「騙されずに読み切る」ということに挑戦するもよし。逆に自分の世界がぶち壊される快感を楽しむもよし。自分に合った読み方を見つけてみてください。

(文:平間隆秀)

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