田原俊彦の全盛期も苦境期も知る作詞・松井五郎『Bonita』にファン乱舞

 一般的には知られていないが、ファンのなかで語り継がれる名曲がある。
 8月29日の東京・町田市民ホールから10月31日の滋賀・守山市民ホールまで全9公演のコンサートツアーを終了した田原俊彦(54) にとって、昨年発売された『Bonita』がそれに当たる。

 昨年6月に発売された、35周年記念シングルの一つである『Bonita』は、2010年から田原とタッグを組んでいるDaisuke“DAIS”Miyachiが作曲し、『かっこつかないね』『ごめんよ涙』『ジャングルJungle』など田原のヒット曲を生み出した松井五郎が作詞をしている。松井は、田原がジャニーズ事務所を独立した後も作詞を手掛け、20周年、25周年、30周年、そして35周年と節目の年には必ず詞を提供している。

 主演ドラマ『教師びんびん物語Ⅱ』で月9史上初の視聴率30%超えを果たした全盛期だけでなく、90年代半ばから00年代にかけての苦境期もずっと見続けているだけあって、松井氏の詞には喜びや悔しさ、気構えなど田原の生き様が上手く表現されている。そのため、ファンの心にグッとくるのだろう。『Bonita』の歌詞は、ファンとのやり取りを現しているようにも読める。

 そして、灼熱のスペインの夜をイメージしたサウンドと田原の華麗な舞いがピタリと一致。間奏になると、赤いカクテル光線に照らされながら、田原が下手側に向かってバレエのようなターンを3回繰り返す。ラストは、足を大きく1回転させ、ひざまずいてポーズを決める。

 昨年6月、Zepp Tokyoで行なわれたスペシャルライブで初披露したときのパフォーマンスで、ファンはこの曲の虜になっていた。

 田原が「今日はね、僕のファミリー(ファンのこと)ばかりだと思いますんで」と話したように常連ファンが多く集まった今年のツアー初日、東京・町田公演では、『Bonita』のギターイントロが始まると、会場からはその音をかき消すほどの大声援が沸き上がった。
 しなやかな動き、得意の大きな足回し、つま先まで神経の入った決めポーズ――。この曲には、田原の踊りの極意が凝縮されている。

 ターンして、足を上げる。これが、一般的な田原のダンスへのイメージだ。しかし、実際はバレエも身につけているし、ヒップホップもできる。ライブでは、2時間のあいだに様々なダンスを披露するので、ファンは魅了されるのだ。

 初めてライブに訪れた人も多いと思われる東京・中野公演では、イントロ時の歓声は町田公演ほど大きくはなかった。しかし、田原が歌い終えると、耳をつんざくような喝采が巻き起こっていた。初めて聞いた観客も、楽曲とパフォーマンスのクオリティーの高さに心を奪われていたのだった。

(文:シエ藤)

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