ー3カ月前、童貞を捨てた。思ったほど、世界は変わらなかったー
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岸田國士戯曲賞ノミネート!演劇界の鬼才に聞く“もう1回童貞を捨てる方法”

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©2015 松竹

岸田國士戯曲賞にもノミネートされた演劇界の鬼才・福原充則。が、11月28日(土)公開の映画『愛を語れば変態ですか』で映画監督デビュー。監督・脚本を務め、映画界に進出する。舞台作品同様、登場人物の描き方が特に際立っており、主人公あさこを取り巻く5人の男性たちは、全員“童貞性の強い”人物となっている。そして劇中にも「もう1回童貞捨ててえなあ」というセリフが登場する。

そこで、前編の愛の話に続き後編となる本記事では、このセリフや、童貞の女神と言っても過言ではない主演女優・黒川芽以さんについて話を聞いた。
映画同様、童貞に関する新たな視点や、崇高な考察が得られるインタビューとなった。

“愛”する人たちは面白くて狂っている

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――正論はバカにされやすい、というお話を前半にお伺いしました。劇中にも『今、世界中で愛は劣勢みたいだね』というセリフが出てきますが、愛というある種の正論がバカにされている、劣勢だと危惧する感覚は監督の中にあるものだったんですか?

「20代の頃からありますね(笑)。だって、愛は面白いじゃないですか。恋愛で悩んでる奴は面白いですよね。愛に翻弄されたりして。人を愛する力がでかい人は、面白いし狂ってて、そこには人生の面白さとか、色々なものが詰まってるんですよね。恋愛をすると周りも見えなくなってるし、恋愛は社会に関係ないところでできるから、そういうときに人間が見えて面白いんですよ。

©2015 松竹

©2015 松竹

若いころら、そんな恋愛をしている舞台女優さんたちを近くに見ながら、うらやましくもありました。でも、『愛は勝つ』『愛は大事』なんていうと笑われるので。『そんなことを言ったら、バカだと言いますか?』という意味合いをタイトルにこめましたね。僕は、普段自分では言えないことを作品にしているという部分もあるので」

黒川芽以が醸し出す、色気はあるがいやらしくない絶妙ライン

――『愛を語れば変態ですか』というタイトルは、劇中で黒川さんのセリフとしても出てきます。黒川さんの役に自分の言えないことを託したという感じですか?

「黒川さんの演じるあさこも含めた、登場人物全員ですね。『全員がお前じゃないか』と言われたりもします(笑)」

――登場人物の大人の男たち、全員が“なんとか自分の言い分を通そうとする”子供で面白かったです。一方、強いメッセージでも、あさこに言われると納得してしまいますし、言ってしまえばビッチの役なのに、色気があるのにいやらしくないという絶妙なラインをいっている気がします。

「そう感じてもらえたならよかったです。そこはキャスティングのときに意識したんです。いやらしくなりすぎないのは誰だろう、と。黒川さんには、色気のオーラ・人を巻き込むオーラがあるんですよね」

――特に今回は、露出の多い服装をしているわけではないのに色気がある、というのがすごいですよね。

「そこも、女性の衣装さんと相談しながら考えましたね。胸元広め、なんてアイディアもあったんですけど。最終的には、薄地の生地が、静電気を使って体にピッタリとつくような衣装になっていて、ラインがきれいに出てるんです」

名ゼリフ『もう1回童貞捨てたい』ができるまで

©2015 松竹

©2015 松竹

――本当に黒川さんは、童貞にとっての女神のようなオーラを出すのに長けすぎている、と思って見ていました。童貞といえば、劇中で『もう1回童貞捨ててえなあ』といったセリフが出てきて、心が震えました。

「敵対していた男性陣5人が仲良くなるシーンですよね。まずは、そもそもこの映画の尺が73分で、とにかく短いんですよね。だから、徐々に仲良くなるのではなく、一気に繋がれる瞬間を作りたかったんです。でも、聞いたことがあるようなセリフでは繋がらせたくなかった。そんなときに、キングオブコメディの今野浩喜さんの顔を見ていたら思いつきました(笑)」

――5人どころか、観客の男性全員が繋がれる素晴らしいセリフだと思います!

「『童心に戻りたい』『子供のころに戻りたい』ということだとは思うんですけど、この映画全体で、そうしてきたように、そのまま言うことは避けたかったんですよね。そこに、くだらなさと、色気を足した感じです。それに、確かに子供のころのほうが楽しいですけど、僕は小学生にまでは戻りたくないんです。やっぱり、戻るなら、セックスができる年齢まででいいと思うんですよ」

童貞喪失は人生最初で最後に叶えられる夢

――言葉こそ童貞ですが、人生全体を俯瞰したようなセリフに感じられてきました。

「思春期は、相当真剣に童貞を捨てることについて考えますよね。中学生くらいからみんなエロ本とかを読み始めて、悶々と想像をし続けるワケじゃないですか。そして、モテるモテないに関わらず、大抵の人が、1回くらいはやれますよね。これって、素晴らしいことじゃないですか? “童貞を捨てる”ということ以外で、我々がそれだけ深く願った夢で叶えられる夢はあるのか、ということですよ。『プロ野球選手になりたい』という夢が叶う人の割り合いに比べて、『童貞を捨てたい』という夢の実現率の高さときたら、もう!

大人になると、多くの人は妥協して、やりたくない仕事について『あのときああしていればなあ……』なんて後悔したりするじゃないですか。最初で最後に叶えられる夢が、“童貞を捨てる”という夢なんですよ。そういう壮大な話なんです(笑)」

と、映画同様、面白い話をきいていたかと思ったら、突然崇高で壮大なメッセージを発してくれた福原監督。正しさを笑いと下ネタで包んだ話の面白さは、映画の登場人物たちにしっかりと反映されている。73分の小さな小さな大傑作『愛を語れば変態ですか』は11月28日(土)公開。

(取材・文:霜田明寛 写真:田尻和花)

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■関連リンク
・ソーシャルトレンドニュース特設ページ 11月 愛を感じる2作品『恋人たち』✕『愛を語れば変態ですか』
・映画『愛を語れば変態ですか』公式サイト http://aikata.jp/2015年11月28日(土)よりロードショー

【キャスト】黒川芽以、野間口 徹、今野浩喜(キングオブコメディ)、栩原楽人、川合正悟(Wエンジン チャンカワイ)/永島敏行
【監督・脚本】福原充則
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(c)2015 松竹

『愛を語れば変態ですか』予告編
(c)2015 松竹

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