オザケン復活のタイミングで「渋谷系」を振り返る~僕らの愛する渋谷カルチャー~

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1月20日、シンガーソングライター・小沢健二がツアーの開催を発表し、ネット上でファンが歓喜に沸きました。
小沢健二、通称オザケンといえば、「渋谷系」アーティストの代表格。……ということだけは知っているのですが、1987年生まれ・群馬育ちの筆者は、小澤健二がソロで活動していた頃でいうと、だいたい6歳から11歳。
正直なところ、ちゃんと知っている曲は『今夜はブギー・バック』くらいでして……。
あの、そもそも「渋谷系」って、なんですか?

あらめて、「渋谷系」ってなに?

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10代の頃、渋谷系ミュージックにハマっていたという30代女性に話を聞いてみました。

――「渋谷系」ってなんですか? ギャルのことですか?

「90年代初頭から流行りだした音楽ムーブメントのことです。
海外のネオアコースティック・ギターポップに影響を受けた“フリッパーズ・ギター”や、ソフトロック、フレンチ、ボサノバの色濃い“ピチカート・ファイブ”など、音楽リテラシーの高いアーティストたちが作り出した世界観が特徴ですね。

CDジャケット、ファッション、PVも、当時は画期的でおしゃれでした」

――でもなぜ「渋谷系」なんですか? 渋谷出身のアーティストなんですか?

「渋谷系って、当時も語源が曖昧で、たぶんZESTとか、宇田川町にレコード屋さんがあったところからの渋谷系なんですよね。レコード屋さんがたくさんあったから、そういう音楽が好きな人が集まるっていう感じでした」

――「そういう音楽」が好きな人たちって、見た目的にも特徴があったんですか? ギャルですか?

「渋谷系女子はカヒミ・カリィに憧れて、黒髪ロングにベレー帽、コロンビアのレコードプレーヤーをお部屋に常備していました。
宇田川町のオルガンバーでDJをする渋谷系彼氏(カジヒデキ似)と宇田川町のZESTで一緒にレコードをみて、中目黒のオーガニックカフェでおしゃれなファニチャーに囲まれデートを楽しんでいましたね」

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お、おおおおお……!
大衆受けとはちょっと違うのかもしれないけれど、なんだかものすごく、おしゃれ!!!!
カヒミ・カリィって、漫画の『デトロイト・メタル・シティ』でしか知りませんでした……!

カルチャー発祥の地・渋谷

というわけで、「渋谷系ミュージック」について少し聞いてみましたが、渋谷といえば音楽だけでなく、映画、演劇……と、昔から文化的施設が多い街であり、「カルチャー発祥の地」と言われています。
わたしはそんな渋谷が大好きで、年々、渋谷に恋をしているのです(渋谷系のこともロクに知らずにお恥ずかしいのですが)。

東京に来てから約10年経ちますが、当初、わたしの中での「渋谷」は、「アムラー」「ヤマンバ」「ギャル」というイメージが強すぎて、どちらかというと近寄りたくない街のひとつでした。
渋谷がこんなにカルチャーな街だと知らずに学生時代を終えてしまったのは、もう本当、残念としか言いようがありません!

「継ぎ足し」すぎて「スキマ」が多い街・渋谷

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ところでなぜ、渋谷は「カルチャー発祥の地」なのでしょう。
それは渋谷という街が、言うなれば「継ぎ足しの街」、だからなのかなと思います。

そもそも渋谷駅の構造からして「継ぎ足し」。
1920年代以降、東横線ができ、井の頭線ができ、そして銀座線のホームが地下鉄なのに地上に作られ……。と、この時点ですでにこの時点でカオスな駅となっているのに、その後埼京線のホームがまさに「継ぎ足し」としか言えないような場所にでき……と、いうことらしいのです。
スリバチ状と言われる地形に、そんな風に急激に文明や人口が継ぎ足されていったわけですから、いびつで、無秩序な街になっていくのは自然の流れかもしれません。

でもだからこそ、マイノリティな文化を好む人たちが入り込む「スキマ」が多く生まれる街でもあるのではないかと。道玄坂、宇田川町、神南、桜丘町……と、小さな街の中でもエリア毎に違った印象を持つのが渋谷です。
それぞれのエリアが「継ぎ足し」で繋がっているから、グラデーションのように店や人も変わっていって、少し歩けば、自分のちょうど居心地のいい「スキマ」に入り込める。
この「継ぎ足し」と「スキマ」の構造が、渋谷が「カルチャー発祥の地」である由縁なのかな、なんて思います。

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そんなことをぼんやりと考えつつ、最後にひとつ言いたいことが。
唐突ですが、ただ今公開中の映画『ピンクとグレー』を見まして。
「ああ、わたしが渋谷を好きな理由はこれだ! というか、わたしの求めていた東京はこれだーーー!!」と思いました。
映画には渋谷の街が多く登場するのですが、若者たちの抱える寂しさや空虚と、それでも圧倒的な生命力が織りなすカオスな風景といいますか。
スクリーンに映し出される、渋谷の街に佇む菅田将暉の姿がとてつもなく美しく感じられて……。
とにかくもう、たまらん!!!となったのです(泣)。

群馬県高崎市という「田舎のちょっと都会」で生まれ、思春期を大型ショッピングモールに囲まれて育った筆者は、渋谷にある「スキマ」に憧れと嫉妬を抱いてしまってしょうがないのかもしれません。

(文:佐藤由紀奈)

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