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ウディ・アレン映画に学ぶ人生哲学【思い通りにならないってサイコー!】

小林 雅実

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小林 雅実

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突然ですが、「世界で一人だけ選ぶとしたら、誰の言葉を信じる?」と聞かれたら誰を選びますか?
あ、宗教の勧誘じゃないですよ! 怪しい質問してすみません。

私なら、真っ先に「ウディ・アレン」というアメリカの映画監督の名前を答えます!

冒頭で流れるジャズ、思わず見とれる外国の綺麗な風景……。初めてウディ・アレンの映画を観た時、ハタチだった私は「何この映画。超オシャレじゃん」と思ったのを覚えています。
しかし、観進めるうちに出てくる皮肉なジョーク、そして哲学的な深いセリフ。「オシャレなだけのスイーツ映画とは違う!!」という確信とともに、私は彼の映画の世界観にハマっていきました。

でも、何で私が彼の言葉を信じるかって?
それは……人生における答えのない疑問のループから救ってくれるから!

ほら、あるじゃないですか。「なんでいつも自分の人生こんなに冴えないんだ!」「あの頃に戻って人生やり直せたらなぁ~」とか考えちゃうこと。
私はほぼ毎日そんなこと考えて生きてますが……。

そこで、今回はそんな人生の疑問に答えてくれる、2つの作品とその哲学をご紹介します!

“思い通りにならないってサイコー!”と思わせてくれる『マジック・イン・ムーンライト』

作成者:シネマトゥデイ

マジシャンのくせに魔法や超能力を信じない皮肉屋の主人公・スタンリー(婚約者アリ)は、友人に頼まれ、ある大富豪をとりこにしている女占い師の正体を暴きに行きます。

そして南仏の豪邸を訪ねるも、スタンリーはその占い師ソフィが発揮する透視能力にただただビックリ。

目に見えない力が本当に存在するなんて! スタンリーの人生観は覆されます。
そして、天真爛漫でキュートな彼女に魅了&翻弄されてしまいます。

物語の中ほどで、スタンリーは自分が今まで超合理主義の人間だったのに、自分の感情に振り回されていることに戸惑ってしまいます。

そんな時、彼はプロヴァンスに住むおばにソフィを会わせるのですが、自らの恋愛感情に戸惑っているスタンリーを見抜いたおばの口からはこんな言葉が……。

「金魚は誰が金魚鉢の水を変えるか知らない」

人間なんて、所詮は金魚鉢で泳ぐ金魚のようなもの。自分が全てを知っているかのような態度で振舞うスタンリーに対し、人の人生は自分の知らないところで動いていく。それが運命なので、自分の心に従いなさい!ということを諭すのです。

「こんなはずなかった!」と思う瞬間って誰にでもありますよね。でも、そう思ったことが後の幸運に繋がったり……。いつ、何が起こるか分からないのが世の常だけど、自分の心に従って、運命に振り回されるのもなかなかオツなもんです。

人間、みんな無いものねだりってことに気付いちゃう『ミッドナイト・イン・パリ』

作成者:シネマトゥデイ

ウディ・アレンの代表作ともいえる作品。

主人公のギルは婚約者と共に、彼女の両親の出張に便乗してパリを訪れます。
彼はハリウッドで脚本家として成功していましたが、作家への夢も捨てきれません。
そしてロマンチストのギルは、憧れの作家・へミングウェイや画家のピカソらが暮らした1920年代の黄金期のパリも夢見ています。
パリでの第一夜、婚約者との衝突にうんざりするギルは、ひょんなことから自身が愛してやまない1920年代のパリに迷い込みます……。

映画の後半部分、ギルの愛する1920年代フランスの芸術家たちはベル・エポックの時代に憧れ、ベル・エポックの時代の芸術家たちはルネサンスの時代に憧れていたことが発覚。

果たして本当の“黄金時代”とはいつなのか? ギルの心にそんな疑問が浮かび上がります。
そして、こう悟るのです。

私たちは違った時代やものに憧れを感じる。それはいま生きている世界が人生だからである。しかし、その憧れに手が届くようになるとまた新たな違った世界に憧れる。人生とはそういうものである。

誰もが一度は考えたことがある「あの時代に生まれたかった」「あの頃に戻りたい」という感情は、全ての人が持つものなんだ、それが人間の悲しくも可笑しい性なのだとギルは感づいてしまうのです。

結局、みんな一緒なんですよ。誰もが何かを、誰かを「羨ましい」と思いながら生きているんです。

隣の芝が青く見えちゃうのは、時代だけではないかもしれません。
見た目だったり経歴だったり、「今の自分が好き!」と思えることは、生きている限りなかなかないこと。

「こうなりたい!」が叶えられたら、次はまた違うものが欲しくなる。
人生ってその繰り返しなんじゃないでしょうか?

だからこそ、人間は“今”の選択を大事にしないといけない。っていうことを、ウディ・アレンは私たちに伝えたかったのかもしれません。

以上、2作品を紹介しましたが、どうだったでしょうか?
これらの映画を観たら、「私、何てしょうもないこと考えてたんだ!」って思うかもしれません。

まあ、元からのひねくれた性格は直りませんけどね! 残念でしたー!

(文:小林雅実)

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