ー3カ月前、童貞を捨てた。思ったほど、世界は変わらなかったー
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「弱く見える男性ほど愛の持続力がある」『猟奇的な彼女』監督が語る理想の男性像

イケそうでもイカない!オトナ童貞の必修科目としてのクァク・ジェヨン映画

日本でもヒットした韓国映画『猟奇的な彼女』に、綾瀬はるかのサイボーグ役が話題をよんだ『僕の彼女はサイボーグ』。
純粋に女性を思い続け、“イケそう”なタイミングがあっても強引に女性を押し倒しはしない……。そして、強い女性に振り回されながらも静かに愛し続ける……。そんな“オトナ童貞”の鑑と言ってもいい男たちが出てくるのが、クァク・ジェヨン映画なのだ……!

クァク・ジェヨン監督は、その2作に続く“アジアの彼女3部作”の完結編として、中国で『更年奇的な彼女』を撮影。4月8日(金)より、日本での公開が決まった。
これは“オトナ童貞のための文化系マガジン”チェリーとしては話を聞かないワケにはいかない!ということで、来日したクァク・ジェヨン監督に、インタビューをおこなった。

韓国・日本・中国……それぞれの国の“男性の涙”事情や、『猟奇的な彼女』のチャ・テヒョンの俳優としての魅力。そして、「弱く見える男性は愛の持続力がある」という、チェリー読者に突き刺さりまくりのメッセージまで、たっぷりと話を聞いた。

主人公が魅力的に見えるのは、現実にピュアな男性がいない裏返し!?

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――最新作『更年奇的な彼女』では、彼女を真摯に思い続ける主人公・ユアンがとても魅力的に見えました。

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「とても嬉しいです。でも、もし実在する男性たちみんなが、ユアンのような男性だったら、きっとこの映画を見た時に、彼が魅力的に思えないと思うんですね。
ユアンは、本当に長い間ひとりの女性を思い続けて、ずっと変わらない愛を捧げる主人公です。そういった人たちは現実にはなかなかいないというか、できないですよね。その裏返しで、魅力的に見えるのだと思います。
でも、できないとは言っても、少しでも彼に近づこうと努力をすれば、愛は叶うんじゃないかなと思っていますよ」

韓国・日本・中国……それぞれの国で微妙に違う男性像

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――そんな“理想のピュアな男性像”を、監督は韓国・日本・中国と3つの国で描かれてきました。それぞれに違いはありましたか?

ko

「実は3カ国で大きく違っているとは思っていません。俳優さんの違いもありますしね。実際に俳優さんに演じてもらうと、脚本の時には想像できなかったような演技を返してきてくれます」

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――では、まずは日本の『僕の彼女はサイボーグ』ジロー役・小出恵介さんのお話からお聞かせ願えますでしょうか。

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「小出恵介さんは、どちらかというと、外に見える演技よりも内面を見せてくれるような俳優さんだと思います。元々静かな性格で、オーバーな演技もあまりされない方ですので、とても感情に正直に演じてくれ、涙も見せてくれました」

“実は泣いてない”『猟奇~』のチャ・テヒョン

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――韓国の『猟奇的な彼女』のチャ・テヒョンさんはいかがでしたか?

ko

「チャ・テヒョンさんの場合には、実は涙をほぼ見せていないんですよね。それを考えると、涙を流す時には流してしまう日本の方たちのほうが、すごく自分の気持ちに正直なのかなと思いました。韓国の場合には、男性が泣くのは恥ずかしいんじゃないかという雰囲気があって、泣きたいと思ってもちょっと我慢してしまうようなところがあるんですよね。
 
そして、中国を見てみますと、韓国よりはすごく率直に、表に気持ちを出している感じがしました。『更年奇的な彼女』の主人公ユアンは、ちょっと弱く見えますよね。弱い男性に見えるけど、実はマッチョ的なところも、どこかに持ちあわせています。でも、あえてそういうマッチョ的なところは抑えて、女性に優しく接していたんだと思います」

チャ・テヒョンの大きな演技で、逆に際立ったキョヌの弱さ

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――そう考えると、三者・三国・三様で微妙に演技のテイストが異なりながら、繊細な男性を表現されていましたね。

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「実は『猟奇的な彼女』のチャ・テヒョンさんは、あの映画においては、演技がすこし大げさだったんですね。でも、すごく大きな演技を見せてくれたおかげで、逆により弱く見えたんじゃないか、と思うんです。彼は、彼女役のチョン・ジヒョンさんが何か行動する度にそれを受けて常に大きな反応を見せます。それが、あの弱さを際立たせたんじゃないでしょうか。
韓国でも、やっぱりあの役が出来るのは、チャ・テヒョンさんしかいない、と言い切れると思います。ああいう役をやらせたらチャ・テヒョンさんの右に出るものはいない、といってもいいくらいのカラーを持った俳優さんだと思いますね」

“彼女”のモデルは監督の妻!?

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――未だに『猟奇的な彼女』のキョヌの面影を残すチャ・テヒョンさんは本当に素晴らしい俳優さんだと思います。とはいえ、『猟奇的な彼女』から15年。それだけの時が経っているにも関わらず、“瑞々しい男性と強い女性”という映画を作り続けることができる監督もすごいと思います。その感性はどうやって保たれていらっしゃるのでしょうか?

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「私も歳を段々重ねていっていますので、そういった感覚を維持し続けるのは本当に大変なことだな、と自分でも思っています。もしかしたら、以前に比べると、感覚が少し鈍っているところもあるかもしれません。
でも幸いなことに、助けになっているのは、娘の存在です。20代の前半と後半の2人の娘がいるのですが、最初の観客は彼女たちだ、という思いで作っています。彼女たちを通して色々と感じることもありますし、お陰で感覚が維持できているのかなと思います」

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――ご家族のパワーも強いのですね。

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「実は、私の妻がキャラクターに投影されていることも多いですね」

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――それは、3作のヒロインに共通する強い女性像に、奥様を投影されている、ということでしょうか?

ko

「はい、妻の行動そのものが、ああいったヒロインの行動ではないのですが、妻の行動を見て、そこから色んな想像力を刺激される、という感じです。妻がとった行動から、こちらで色々と想像力を働かせて作り変えていく感じです」

弱く見える男性は愛の持続力がある

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――そうやってキャラクターを造形されていくんですね。

ko

強いキャラクターであればあるほどその内面に弱さが隠されていると思うんです。あるいは強さと弱さ両方のバランスを、うまくとっているんじゃないかと思います。弱さを隠すために強く見せているっていうことが、あるような気がするんです。
 
私が描く女性の主人公たちは、一見強く見えるんですけども、実は悲しみや心の痛みを持ち合わせています。一方、男性の方は、ひ弱に見えますが、好きな人のことは、とても大切にして、ずっと守り続けて見守っていくわけです。そう考えると、一見、弱く見える男性が実は強かったり、愛の持続力を持っている、ということが言えると思います」

中国で初めての映画を撮るまで

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――『チェリー』な僕たちには、なんとも励ましになるメッセージ、ありがとうございます!
さて、今回は監督としては、初めての中国映画となります。何か大変なことはありましたか?

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「実は中国での映画の挑戦はこれが3本目なんです。ひとつの作品は撮影の途中で中断、もうひとつは企画の段階で話が立ち消えになってしまいました。
『映画作りはどこでも同じだろう』ぐらいに思って中国に行ったところ、大変な試練を味わうことになり、色々と勉強することになってしまいました」

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――なんだか、とても大変な感じがしますね……。

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「もう語ったら何日でも話せるくらい色々なことがありました。最初は『楊貴妃』という作品を作ろうとしていたのですが、その時に俳優さんとして考えていた方が、今回の制作会社の社長として動いてくれました。さらにこの映画の投資会社の社長さんが新婚旅行のために飛行機に乗ったら、偶然にも、制作会社の社長と隣の席になって話が進んだり……。こういうこともあるので、私は普段から縁や偶然をすごく大事に思っていますね。『楊貴妃』自体は失敗したけども、結果的には成功したといえるのかもしれないですね」

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――まさに『猟奇的な彼女』の中のセリフにある『運命は努力した人に偶然という橋を架けてくれる』という言葉のようですね。

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「そのセリフ、私も今もすごく大切に思っていますよ」

……と、過去のセリフを引用すると、嬉しそうな顔をしてくれた監督。この瞬間に限らず、取材中に見せた周囲への気遣いや笑顔、優しさは、3作に登場する男の登場人物のようだった。
強いだけでもない。弱いだけでもない。強さと弱さのバランスをもった、愛の持続力のある監督や、登場人物たちのように生きていきたいと改めて思うのだった。

(取材・文:霜田明寛)

■作品情報
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映画『更年奇的な彼女』
4月8日(金)よりTOHOシネマズ日本橋・新宿他全国順次公開
監督:クァク・ジェヨン
キャスト:ジョウ・シュン/トン・ダーウェイ/ジャン・ズーリン/ウォレス・チョン
日本語吹替版キャスト:藤原紀香 他
配給:アジアピクチャーズエンタテインメント/エレファントハウス/カルチャヴィル
配給協力:DMZ tokyo
©New Classic Media Corporation
公式サイト:http://kounenki-girl.jp

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