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チェリーについて

第1回 『テラフォーマーズ』は5点じゃなかった!?

ほんとに5点なのか見に行ってみた

『テラフォーマーズ』。『週刊ヤングジャンプ』で連載されている人気マンガである。

西暦2599年、火星のテラフォーミング計画の一環として送り込んでいた“ゴキブリ”を駆除するため、訓練を受けたバクズ2号の乗組員たちが火星に降り立つと、そこにいたのは進化した二足歩行のゴキブリだった。乗組員たちは人体に埋め込まれた昆虫の能力を駆使して戦いを挑む。

累計発行部数は1600万部を超え、テレビアニメ化もされている。
そんな人気作品が伊藤英明、武井咲、山下智久、山田孝之などの豪華キャストで実写映画化。監督はバイオレンス描写に定評のある三池崇史。最強の原作と実力あるスタッフ。成功は約束されたかに見えた。だが──。

映画評論家の前田有一による辛辣なツイート。その後、Webサイトに掲載されたレビューでは100点満点中で「5点」という低い点数を叩きだした。ちなみに他の実写漫画作品では『アイアムアヒーロー』が75点、『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』が40点、『珍遊記』が60点。ズバ抜けて低いのだ。

はたして、本当にそこまでヒドい作品なのか? 映画マニアの罵倒芸ではないのか? 「こうすれば話題になる」という計算尽くの批評では? あるいは、前田さんの好き嫌いの問題なのでは?

それを確かめるため、そこそこ映画は見るけれど、マニアと言うほどではないライターが2人で見てきました。

伊藤英明がまず死ねばいい?

菊池 どうだった? 前田さんは5点って言っているけど。僕はそんなに低いとも思わなかったかな。

ボイ ちょっと眠くなっちゃったね。あんまり寝ていなかったっていうのもあるんだけど。ストーリーが一定な感じがする。波や裏切りがないっていうか。

菊池 確かに。キャラクターが順番に死んでいくっていう感じはあったね。原作だと一人一人のキャラクターをけっこう掘り下げるから、「え? こんな重要そうなキャラが呆気なく死ぬの?」っていう驚きがあって面白かった。でも、映画だと時間の関係で掘り下げが弱くなるよね。

ボイ 一応回想シーンはあるんだけど、思い入れが何もないまま死んでいくから、途中から「この人たちが映画の中で死のうがどうでもいいな〜」「こんな世界、どうなろうが知ったこっちゃない!」っていう気にはなった。

菊池 あと致命的なことに……役者の知名度で誰が生き残るのかわかっちゃうんだよね。

ボイ 犯人とかもそれでわかるからね。

菊池 それはサスペンス劇場の話ね! ラテ欄に書かれている順番でわかるっていうさ。そうじゃなくて、役者の並びを見てさ、「山Pはすぐには死なないよな〜」っていう。

ボイ 確かに。まぁ、山Pはすごかった。顔がどんどん原型をとどめなくなっていくからさ。ストーリーが進行するほど昆虫に近づいていくっていう。しかも、けっこうリアルな、グロテスクな感じなんだよね。山Pのファンはこれでいいのかって心配になった。

菊池 そうだね。あんな姿になっても「カッコいい」と言えるのかっていう。

ボイ ちゃんと山P自体を愛せているのか、顔だけが好きなのか、それとも内面も含めて好きなのか、ファンとしての覚悟が試される映画だったね。

菊池 そうだねぇ。話を戻すと、役者の顔ぶれで誰が生き残るのかが予想ついちゃうから、見ていて意外性がないんだよね。だから、原作の意外性を再現するには、伊藤英明を最初に殺しちゃえばよかったと思う。こんなにポスターや予告編で主役ヅラしているのに、まず死ぬっていうさ。

ボイ 確かにそこまでやったら驚くね。広告含めてダミーの主人公を用意しておくってわけね。

菊池 有名どころからバンバン死んでいって、最後無名な人しか残らないっていう風にするとよかったんじゃないかな。「この人、ここで注目されないと役者生命も危ないんだろうな」って、そういうシンクロもあると緊迫感が増すと思う。

ボイ 見応えある演技しないと役者としても死ぬっていうね。

2599年に見えない問題が発生?

菊池 あとすごい気になったんだけど、冒頭の『ブレードランナー』風の街並みは何なんだろう。アジアっぽい屋台が並んでいて、ビルの電光掲示板にCMが流れてっていうさ。

ボイ ああ、完全にブレードランナーだよね。意識している。まぁ、ブレードランナーっぽいことがしたかったんじゃないかな。「近未来=ブレードランナーだ」でそのままいった気がする。

菊池 ぜんぜん“近”未来じゃないんだけどね。2599年だから。ブレードランナーが2019年だからざっと500年も違うよ! 登場してくるドローンもぜんぜん進化していないし……そこら辺の未来感がちょっと甘いな、って思っちゃった。

ボイ まぁ、『インターステラー』とかに比べるとね。じゃあ、西暦にしたら何年ぐらい?

菊池 うーん……2030年ぐらいじゃないかな。21世紀中に人工知能が人類を追い越すって言われているんだし、2500年ってもっと発展しているよ。機械がさ、羽生名人以上に先読みして「この部隊を火星に送り込んだらどうなるか」って予想できると思う。今の羽生名人でも「これはうまくいかんな」ってわかると思うよ。映画の冒頭5分ぐらい見て。「あ、篠田麻里子……この役者陣ならだいたい●番目に死ぬな」って。

ボイ それ、ただの俳優マニアだよ。

もっと昆虫おしでいけばよかった?

ボイ 前田さんはどういうところがダメだったって言っているの?

菊池 例えば、アクションシーンも「日曜に放映している戦隊ものに毛が生えたようなレベル」って。

ボイ 確かにアクションはあまり印象に残ってないかも。あといろんな能力者が出てきて、昆虫のように変身して戦うところは戦隊ものっぽい。あ、虫の説明が入るのがよかったね。知育要素がある。ぜんぜん昆虫に興味なかったから、こんな昆虫いるんだ、こんな能力を持っているんだぁって。

菊池 もっとそっちに寄っていればよかったかもね。強い昆虫がいっぱいわかる、っていう。じゃあ、ポスターも子ども向けのを作ってさ。昆虫大集合の。

ボイ そうそう。そしたら小学生のさ、『クレヨンしんちゃん』や『名探偵コナン』に行っている層を取り込めたよ。ファミリー層をね。タイトルを『テラフォーマーズ リアルムシキング』とかにして。メダルも付けたりして、劇場で配るの。

菊池 パンフレットも昆虫図鑑にしてね。じゃあ、朝の7時台に5分の帯番組にすればいいよ。毎回いろんな強い虫が出てくるの。それを伊藤英明が「この野郎!」とか叫んで倒す。それなら見たいな。録画すると思う。

まとめ

菊池 前田さんは5点って書いていたけど……。『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』の40点を基準にしたら、70点ぐらいはあると思う。退屈せずに見れたし、続きがあったら見たいな。

ボイ 自分は60点ぐらい。5点ってほどじゃないね。前田さんはインパクトを狙ったんじゃない? 5点を付ければ、まとめサイトで取り上げられるから。

菊池 前田さん、まとめサイトの掲載を目標にしたりしているのかな……。ボイくんが記事を書くときはそうってだけでしょ。

ボイ 俺はまとめサイトに載るかどうかが生命線だからね。「続きが見たい」ってかなりの好評価だよね。

菊池 映像にリアリティがないっていうけど、そこが良いと思った。ノリがちょっと馬鹿っぽくて。あれを思い出した、『REDLINE』。木村拓哉が声優をやっているアニメの。叫んで殴って解決、っていう世界観、けっこう好きなんだよね。『REDLINE』、見てない?

ボイ 見る気がしなかった。

菊池 キムタクだよ? 石井克人も関わっているし。

ボイ アニメでカーレースを描くってのにあまり興味を持てなかったんだよなぁ。実写だったら見たけれど。

菊池 じゃあ『PSYCHO-PASS』は見ていないの。同じように、実写監督が関わっているアニメ作品だけど。

ボイ 『PSYCHO-PASS』は見た。シーズン2はシリーズ構成が変わったでしょ。そしたら、シーズン2ってグロテスクな描写が多くて、それが批判されていたりもしたんだけど、そんな中で週刊誌にシリーズ構成の人のDV疑惑が載ってさ。

菊池 ああ。ほんとにやってるんじゃないか、って?

ボイ そうそうそう。画面に欲望がそのまま出ているんじゃないかってさ、怖くなっちゃって。頭とかバーンって破裂させたいんだなって。そういう感じで見ると怖くて面白かったよ。

菊池 ほんとにやっていたら「疑惑」どころじゃないと思うけどね。

(文:菊池良&柴田ボイ)

作品情報
映画『テラフォーマーズ』公式サイト
監督:三池崇史
キャスト:伊藤英明,山田孝之,武井咲,山下智久ほか
©c2016 映画「テラフォーマーズ」製作委員会

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