W杯で見えた視聴率戦略 巧者・日本テレビ、愚者・テレビ朝日

ワールドカップ視聴率

昨年、年間視聴率争いでトップの座を争った日本テレビとテレビ朝日。だが、今年に入ってからは明暗が分かれている。日テレは好調を続けているが、テレ朝は息切れを見せているのだ。
サッカーW杯中継などのスポーツ大会における編成面の戦略に、その一端を垣間見た。

W杯ブラジル大会は時差の関係で、テレビ局は深夜や早朝の放送を余儀なくされている。
早朝5時の開幕戦『ブラジル×クロアチア』(フジテレビ系)が12.1%を稼いだり、24時30分開始の『コロンビア×ギリシャ』(テレビ東京系)が4.6%を獲ったりと、時間帯の割には高視聴率になる試合もある。
ただ、テレビ朝日は割を食っている。

6月21日(土曜)の6時45分から『ホンジュラス×エクアドル』を放送し、4.2%を記録。この時間帯は通常なら、『みんなの疑問 ニュースなぜ太郎』が5%前後、『朝だ! 生です旅サラダ』が6%前後を獲っているため、視聴率が下降している。
6月17日(火曜)には6時45分から『ガーナ×アメリカ』を放送し、3.9%だった。この時間帯は通常なら、『グッド!モーニング』が6%台を保っているため、大幅な下落だ。
テレ朝にとって、日本戦を除いたW杯の放送がマイナスになっている点は否めない。

それに比べて、日本テレビは、W杯を放送すべき時間帯をよく熟知しているのだ。
現在、朝の帯番組『ZIP!』は最高視聴率12%を記録するなど絶好調。その番組を休ませないために、日本戦を除いたW杯の早朝中継は、6月16日(月曜)『フランス×ホンジュラス』と6月27日(金曜) 『アルジェリア×ロシア』の2試合だけ(7月3日現在)。16日の試合は3.7%とあまり数字を稼げなかったが、普段の『Oha!4 NEWS LIVE』と同程度の数字のため、問題はない。
しかも、6時10分から『ZIP!』をスタートでき、10.6%と2ケタをマークした。

この日、『ZIP!』が2ケタ獲れた要因は、テレ朝が『全米オープンゴルフ』を放送したことにもある。『全米』の視聴率は3.2%と伸びなかったのだ。
テレ朝は『全米』のために、8時開始の『モーニングバード』が30分遅れての放送に。すると、『モーニングバード』も3.2%という低視聴率に終わった。通常は5〜6%を獲る番組だから、半減近い落ち込み具合である。
この週のテレ朝は、20日の金曜にも『全米女子オープン』を中継し、またもや3.2%を記録。『グッド!モーニング』は、7時からの放送に短縮されている。この日は、同じく7時から日本テレビ系で『日本×ギリシャ』の中継があり、『グッド!モーニング』は2.8%に終わった。

振り返ると、テレビ朝日は、16日(月曜)から20日(金曜)のうち、3回もスポーツ中継で、帯番組『グッド!モーニング』を休止または短縮させてしまった。
これは、大きな痛手である。

朝のニュースは視聴習慣が出来上がっており、それを変えるのは容易ではない。“視聴率を持っている”と鳴り物入りでTBS『あさチャン!』に抜擢された夏目三久が意外な苦戦を強いられているのも、そのような理由が大きい。
しかし、テレビ朝日はみずから視聴習慣を変えさせる行動に走ってしまった。その週のスポーツ中継の日を分析すると、『グッド!モーニング』を見ていた層は、『ZIP!』もしくは『あさチャン!』に流れている。
春先から不調が伝えられるテレ朝と好調をキープする日テレ。
両者の明暗は、番組編成からも見て取れる。

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