ー3カ月前、童貞を捨てた。思ったほど、世界は変わらなかったー
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「15年以上」「夢歌う」五輪ソングの必要条件TOP3から2020年を予想

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オリンピックの曲に選ばれる条件と2020年の開会式を大胆予想

4年後の今頃は、終わってしまった、東京オリンピックの喪失感に浸っている頃だろうか……。
と、気が早くなってしまったが、そろそろリオデジャネイロオリンピックも閉幕へ。この熱狂に今のうちにのっておきたい。だが、文化系マガジン・チェリーでは、スポーツ批評をする能力が一切ない。そのため、音楽という文化の視点から、リオ五輪をプレイバック!
各局のテーマソングを振り返りながら、“オリンピックの曲に選んでもらうための条件”“あるべきオリンピックテーマソングの姿”について徹底考察し、さらには2020年の東京オリンピック・理想の開会式を大胆予想する。

名シーンは曲と共に残る

大黒摩季の『熱くなれ』(96年・アトランタ)、ゆずの『栄光の架橋』(2004年・アテネ)など……オリンピックのテーマソングは当時の光景とともに思い浮かんでくる曲も多数。ということで、まずは、リオ五輪の今年の各局のテーマソングをおさらいしていく!

安室奈美恵の“日本を応援する説得力”

数ある各局のテーマソングの中でも、最も印象に残りやすいのがNHKのテーマソング。公共放送のテーマソングとあって、最近は、いきものがかり、コブクロ……と安全なチョイスが続いていた。
今回選ばれたのは、安室奈美恵だ。カメラを見据えてまっすぐに歩き「I’ll be your hero」と歌い上げる『Hero』のPVの冒頭は、2007年・安室奈美恵の2回目のブレイク期に発売された出色の出来の応援歌『Baby Don’t Cry』を思わせる。

そして、今回、初のオリンピックテーマソングとなったことで再確認できたのは、安室奈美恵が日本を応援したときにでる、説得力の強さだ。
おそらく、その説得力のスタート地点となっているのが、九州・沖縄サミットのイメージソングとして作られた『NEVER END』(2000年)。この曲は、当時の小渕恵三首相の要望で安室奈美恵が歌うことが決まるも、サミット直前に、首相が急逝。前年に起きた身内の不幸な事件も重なり、20世紀末に、自らと日本の業を背負って歌っていくことになったのが安室奈美恵なのである。
そこからの再ブレイクを経て、10年経っても最前線に居続ける安室奈美恵が、2016年という時代に歌う『Hero』には、不思議な重みが感じられる。「あきらめないで everyday」というJ-POPには溢れがちなメッセージも、安室奈美恵に歌われると、大きな説得力をもって、すんなりと入ってくるのである。

応援ソングを歌ってもハマる嵐の説得力

出演者とテーマソングが毎回ひも付いているのが、日テレとテレビ朝日だ。
日テレは、5大会連続でメインキャスターを務める櫻井翔の所属する嵐の『Power of the Paradise』。嵐にとって50枚目のシングルとして9月に発売される。
「何度 Try Try Try そう重ねて たったひとつの答えをこの手に」と直球の応援歌。ラブソングだけではなく、応援ソングを歌ってもピシっとハマる、さすがの嵐の説得力だ。

前作とは違った視点で夢を歌う、福山雅治

テレビ朝日は、2000年のシドニー大会以降・5大会連続でロンドン五輪中継へ参加している福山雅治が担当する。曲タイトルは、ロンドン五輪からリオ五輪までの日数にあたる『1461日』。
結婚発表直前の昨年8月に発売された『I am a HERO』が、「10年先の自分をイメージして 虎視眈々と「積んできた」んだ」と野心あふれる努力ソングであるのに対し、今回はちょっと控えめ。「僕は君を見てると勇気がでちゃうんだよ」と、“夢をかなえる人を見ている人”の視点で、大人らしく、しっとりと語られていく。

“応援ソング黄金期”のSMAP楽曲

TBSがテーマソングに選んだのは新曲ではないSMAPの楽曲『ありがとう』。曲の持つ意味が、大会の途中に解散が決定したことで、より重くなってしまったこの曲。リリースは10年前の2006年。草彅剛主演のドラマ『僕の歩く道』の主題歌だったので、少々異例の選曲と言っていいだろう。
『ありがとう』は、2003年の『世界に一つだけの花』の大ヒット以降、シングル曲のSMAPは、国民への応援ソングを歌うことが慣例となっていた時期の曲。周囲への感謝を歌い上げるこの曲は10年経った今も、オリンピックのテーマソングとしても、ピッタリとフィットする。

意外にみんな『ヒーロー』を歌っている

ちなみに安室奈美恵の楽曲は『Hero』だが、嵐も過去に、2004年のアテネオリンピックの日テレ系のテーマソングとして『Hero』という楽曲をリリースしている。そして2004年に『HERO』という楽曲をリリースしているのがEXILEだ(当時6人)。
当時のメンバーで今も残るのはATSUSHIのみ。そして、MATSU、ÜSA、MAKIDAIの卒業後、15人となった新生EXILEの初シングルとして、先日リリースされたのが、『Joy‐ride ~歓喜のドライブ~』で、フジテレビの五輪中継テーマソングとなっている。

夢を歌わせたらブレないEXILEの中でも『Someday』『Yell』と夢ソングの作詞能力も高いボーカル・ATSUSHIの作詞曲だ。聞くだけで、何もせずに家でテレビを見ているだけの自分も、金メダルが取れる気になってくる不思議な高揚感をもたらしてくれる楽曲である。

テーマソングに選ばれるには15年以上活動して、夢と努力を歌え

と、ここまで見てくると、やはり、長く活動し、世代を超えた認知度がある、国民的アーティストが選ばれる傾向にあることがわかる。
安室奈美恵(1992年)、SMAP(1991年)、嵐(1999年)、福山雅治(1990年)と、デビューはみな、90年代。2001年デビューのEXILEだけ若干ギリギリの感があるが、天皇陛下の前で歌った経験を考えると、国民的アーティストと言っても、大きな違和感はないだろう。

つまりはオリンピックのテーマソングは

①世代を超えた認知度のある大物アーティスト(活動期間15年以上)

②夢を持つことと努力の大切さを歌い上げる

のが王道といえる。

ただ、2000年には、ブレイクした直後の19の『水・陸・そら、無限大』が公式応援ソングになるという流れもあっただけに、このような昨今の大物しか起用されない流れは、安定感はあるものの驚きは少なく、若干の寂しさも残る。

テーマソングも、他に流されないチョイスのテレ東

そんな流れの中、テレビ東京だけ、ちょっと違ったチョイス。さすが、各局が同じ報道をしていても、グルメ番組を流し続けるテレ東。

テレビ東京が選んだのは、和楽器バンドの『起死回生』だ。
選ばれた和楽器バンドは2014年4月にデビューした、もちろんオリンピックテーマソング担当アーティストの中では最若手。詩吟や和楽器とロックを融合させた新感覚ロックエンタテインメントバンドだ。ギターやベースといった普通のバンド編成に加え、尺八、津軽三味線、和太鼓、箏(こと)の担当メンバーも存在し、他にはない音楽を奏でている。

『起死回生』の歌詞は「逃げ出したくなる事もある」「弱った心 自問自答」「イヤな自分も愛して 前に進め」と、夢を歌いながらも、ただ上から一方的に前向きになることを煽るのではなく、そう簡単に強くはなれない人々に寄り添っているのも印象的。

そもそもの曲タイトルが『起死回生』であり、最初の自分の位置を低くおいているところが、我々さえない“永遠のオトナ童貞のための文化系マガジン・チェリー”的にも、親密度大である。
PVも、鈴木清順映画を思わせる絢爛豪華さで、障子の前で、桜の下で、メンバーが咲き乱れている。さらにはEXILEもビックリの人数の、和装のバックダンサーたちが華を添える。

五輪をキッカケに知る、のもアリ!?

……と、楽曲・PVのクオリティも高い和楽器バンド。彼らは、2015年に「ミュージックステーション」出演を果たし、2016年に武道館ライブを成功させている注目株ではあるものの、まだ世間の認知度は高くはない。その意味で、今回のテレビ東京の選択は、冒険的な選択であり、大抜擢といえるだろう。

そういえば、まだ国民的人気、と言える前の2008年、大幅なメンバー増員がおこなわれる前のEXILEの『Fly away』をテーマソングに起用したのもテレビ東京。“知っている曲”や“知っているアーティスト”の曲がオリンピックで使われるのではなく、“オリンピックをきっかけに、曲やアーティストを知る”パターンがあってもいいのではないか、と感じる。

そして、ここでひとつの考えが浮かぶ。次回の夏季オリンピックである2020年の東京オリンピックにおいて必要なのは、この和の要素なのではないか……?と。

五輪開会式の王道は、世界平和・和テイスト・ミュージカル風

2020年の東京オリンピックでは、もちろん、日本で開会式がおこなわれる。開会式には、当然のことながら日本のアーティストが登場し、その兼ね合いもありながら、各局のテーマソングも決められていくはず……。

ちなみに、前回日本でおこなわれたオリンピックである、長野オリンピックのときは、劇団四季の浅利慶太が演出を担当。徹底的な和風演出の開会式だった。
曲はといえば、森山良子が、開会式で『明日こそ、子供たちが… WHEN CHILDREN RULE THE WORLD』を、各国の国旗をイメージした衣装を着た子どもたちのダンスの中で熱唱した。

こちらは、世界平和を子どもたちに託すという内容の曲。ちなみに、訳詞も浅利慶太が担当している。
歌手ひとりの熱唱のときは、地味な演出だと、会場全体を熱狂させるのは難しいところ。だが、実はこの楽曲を作曲したのは『オペラ座の怪人』『キャッツ』『ジーザス・クライスト・スーパースター』などで名を馳せる、アンドリュー・ロイド・ウェバー。そこに浅利慶太の演出が加わり、まるでミュージカルのような躍動感で、うまく魅せることに成功していた。

ということで、オリンピックの開会式に向くのは

①世界平和を願いつつ

②日本独自の和のテイストを入れ

③ミュージカル的な、会場全体を巻き込む演出をする

というのが、条件として見えてくる。

そこで、2020年の開会式を大胆予想! この条件に当てはまりつつ、日本の僕らもテンションが上がるような理想パターンを、チェリーが独断と偏見で予想してみた。

【理想パターン1】SEKAI NO OWARIが英語で世界平和を歌い上げる

アーティスト名からして世界を向いている、五輪にはピッタリのバンド・SEKAI NO OWARI。
昨年には、ロンドンでレコーディングされた『SOS』、サンフランシスコで録音された『ANTI-HERO』と完全英語詞の楽曲もリリースするなど、日本で受け入れられたファンタジー路線に安住せず、新たな挑戦を続けている。
しかも、ボーカル・Fukaseの英語は、レッスンを受けて、既に発音もネイティブレベルになっているというから驚きだ。ここは、世界に出しても恥ずかしくない英語レベルで、Fukaseに歌い上げてもらいたい。
さらには、ライブ会場に巨大な樹木や家のセットを作り上げるなど、他のどんなバンドよりもミュージカル的。さらには、小中学生が親子でライブを見に来る姿も多く見られ、世代を超えたアーティストとなってきている。2020年には、インディーズデビューから10年という節目を迎えるのもちょうどよい。
もちろん、詞の内容もバッチリ。2014年の紅白歌合戦でも歌われた『Dragon Night』は、実は、要約すれば『100万年に一度、敵も味方もなく一緒に仲良く歌う夜』のこと。オリンピックという世界平和を願う祭典に、ピッタリの楽曲を既に持ち合わせているのである。

【理想パターン2】森山良子と森山直太朗の親子共演

オリンピックという一大イベントでは、そのときならではの特別共演が見られれば、嬉しいもの。特に親子での共演には、そこはかとなく平和の香りが漂ってくるもの。
残念ながら、藤圭子&宇多田ヒカルという選択肢がなくなってしまった今、やはり日本が誇る親子アーティストはこの2人、森山良子と森山直太朗である。

森山良子には、1998年の長野オリンピックからの連続出場をぜひ果たしてもらいたい。それこそ、あの日、『明日こそ、子供たちが…』で世界平和を託した「子どもたち」の代表、というか自らの子どもである森山直太朗が登場するというのはストーリーとしても完璧。

そして森山直太朗には、フジテレビ系のアテネオリンピックテーマソングとなった『今が人生 ~飛翔編~』をはじめ、『生きとし生ける物へ』『太陽〜邂逅編〜』と、生きていること自体を肯定するような楽曲が多く、オリンピック向きとも言える。

さらに、実は、森山直太朗は、普通のライブだけではなく、演劇の要素を取り入れた劇場公演をおこなうなど、ミュージカル的魅せ方にも秀でたアーティストなのだ。

【理想パターン3】和アーティスト大集合

そして残った、“和テイスト”。今回、テレ東の五輪テーマソングに選ばれた和楽器バンド以外にも、日本文化を世界に発信しようとしているアーティストは存在する。その筆頭がTAO。
EXILE ÜSAが企画し、TETSUYA(EXILE)や、Shizuka(E-girls)らも参加する音楽ユニット、DANCE EARTH PARTYとのコラボ曲『NEO ZIPANG~UTAGE~』を、8月3日に発売したばかりの彼ら。

タイトルのネオジパングとは“新しい日本の音楽”という意味。
世界中を旅し、「国境を越えて、言語を越えて、ダンスだからこそできることがある」と感じたEXILE ÜSAによるDANCE EARTH PARTYだからこその楽曲とも言える。
さらに、世界的に注目を浴びる、日本の若きDJ banvoxも参加しているなど、もうこの曲をそのまま披露してもいいほど、和と世界がつながった楽曲になっている。

他にも、和太鼓集団として、奈良県明日香村で結成された、倭-YAMATOも注目株。ワールドツアーもおこなっており、日本と世界を文化でつなぐという点では、ピッタリである。

と日本の伝統文化を世界に発信する役割を担う役者は揃っている。和楽器バンド、TAO、倭-YAMATOといった、和のエンターテイメント集団を大集合させ、開会式で披露すれば、きっと日本と世界が音楽文化でつながるはず。

2020年に向けて考えるべき、日本の音楽文化とスポーツの融合

さて、今回のリオ五輪期間中の、文化的な大ニュースといえば、やはりSMAPの解散が決定したことだ。
それでも、TBSの五輪テーマソングとしてSMAPの曲は流れ続け、大きな喪失感を感じた人も多いはず。

ちなみに、SMAPとはもともとは、“Sports”“Music”“Assemble”“People”の略。すなわち、スポーツと音楽を融合した人々、という意味だ。
“スポーツと音楽を融合したグループ”が、突如消えてしまうことになった今、2020年に向けて、音楽という文化とスポーツを、どう融合させて世界に発信していくかを、改めて考えなければいけないのかもしれない。
その意味で、2016年の時点で、五輪のテーマソングに、和楽器バンドという選択がなされていることは、理想の2020年への一筋の光に思えてならないのである。

(文:チェリー編集部)

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