ー3カ月前、童貞を捨てた。思ったほど、世界は変わらなかったー
チェリーについて

キャリア9年目・山谷花純が初主演映画にかける想い

19歳・キャリア9年目の初主演

『告白』『悪の教典』『寄生獣』……“学校という閉鎖空間で、惨劇が繰り広げられる”ゼロ年代の映画作品だ。
これら3作品にすべて出演し、過酷な物語を受け止めてきた生徒の一人であった山谷花純が、満を持して映画『シンデレラゲーム』で初主演を飾る。
本作も“落ちこぼれアイドルが無人島でデスゲームをして、優勝者のみが人気アイドルとしての地位を約束される”という過激な設定だ。
キャリアの初期には、雑誌『ニコ☆プチ』の専属モデルとしても活躍。多くのドラマや映画に出演し、今年『手裏剣戦隊ニンニンジャー』で幅広い年齢にファン層を広げた彼女。19歳での初主演を記念してインタビューを行った。

プロの姿が印象に残った『告白』

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――『手裏剣戦隊ニンニンジャー』の放送を終えて、約半年。映画初主演ですね。

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「今回の『シンデレラゲーム』の主役が決まった時は、戦隊のみんなが『おめでとう』と連絡をくれました」

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――本当におめでとうございます! 今まで、数多くの作品に出演されていますが、まずは、これまでの映画の現場での思い出深い作品を教えてください。

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「中島哲也監督の『告白』です。女優の仕事を始めて2年目に、初めて出演した映画作品でした。当時は中学1年生でしたが、各分野のプロたちがプライドをかけてひとつの映画を作り上げる姿を見て、幼いながらに、胸を打たれましたね。
初出演でしたが、この作品で映画の仕事の楽しさに目覚めました」

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――『告白』の中島哲也監督は、演出が厳しいことで有名ですね。

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「ええ、怖かったです(笑)。ただ、その分、ひとつの物事に対してとても集中できました。
『怖い』と感じるくらい、監督がまっすぐぶつかってきてくれる機会は、なかなかないので、特別な時間でしたね。
でも、当時は生徒役のみんなとよく泣きながら帰りましたよ(笑)。
今でも『告白』で一緒だったメンバーとお仕事の現場で会うと嬉しいですね」

印象に残った主演俳優は……

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――今回、主役として映画の現場に立つにあたって、意識されたことはありますか?

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「今まで、主演として真ん中に立つ先輩方の背中を見ていたからこそ、9年間女優をやってこれたのだと思っているんですよね。だから今回は、自分が教わったことをみなさんに返す番だと思い、先輩の佇まいを参考にして現場に臨みました」

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――今まで共演された方の中で、例えばどなたの背中が印象に残っていますか?

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『寄生獣』でご一緒した染谷将太さんの現場のスタンスがすごく好きでした。役の大小構わず、自分がまとう空気感を絶対にブラさない姿がかっこいいんですよね。
演者よりもスタッフさんと一緒にいることが多い方で、少し変わってはいるんですが(笑)、飾らない素朴さや、力を抜いてフラーっと現場にいられる佇まいに憧れます」

あえて「仲良くしなかった」

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――山谷さんが今回、『シンデレラゲーム』で意識した“現場でのスタンス”を教えてください。

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作風を意識して、他のキャストのみんなと、無理やり距離を縮めることや、あえて仲良くすることはしませんでした。でも、みんなが楽しくワイワイ談笑している様子を『今の女の子たちはこういう会話をしているんだ』と見ていることがすごく楽しかったですね」

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――「無理やり距離を縮めることはしない」と伺って、『シンデレラゲーム』の冒頭、初めて会った女の子同士の距離感にリアリティがあった理由がわかりました。

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仲が悪いというわけではないんですよ!(笑) 特に私が演じた沙奈という女の子は、同じアイドルグループだったエリナの後ろについてまわったり、エリナの言うとおりに動いてしまったりと、人見知りな性格だったんです。撮影期間はお互い良い距離感で現場にいられたいられたと思います」

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男性のようにぶつかり合った『シンデレラゲーム』の現場

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――『シンデレラゲーム』の作中のように、同世代同士が、映画の現場でライバル心をむき出しにする瞬間に立ち合うことはありますか?

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「うーん……それぞれ自分の中でうまくコントロールしていると思います。ライバル心を表に出す人は、現場でいい印象を持たれないので(笑)。
ただ、男の子と女の子とでは、やっぱり違いますね。
今、出演している舞台は、私以外のキャストが全員男性なんです。
男性は女性と違って、比較的自分の思っていることをストレートにぶつけ合います。
男性には『ぶつかり合うのも友情だろ』という認識がありますよね。その点は、男女の違いだと思います

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――女性ばかりの『シンデレラゲーム』の撮影現場は、男性のようにぶつかり合うことはありましたか?

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女の子は、衝突するのを避けがちなところがあるのですが、『シンデレラゲーム』では、きちんとぶつかり合っていた気がします。
リハーサルを重ねたこともあって、『芝居には負けたくない』という強い思いをひとりずつ感じましたね」

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――山谷さんご自身は、お芝居の現場で感情をむき出しにすることはあるのですか?

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「基本的には口に出しませんが……思うことはありますね。
逆に『仲が悪いほうが良いお芝居ができるな』と思う時は、本番前にあえて相手が腹を立てるような言葉をかけることもありますよ(笑)
ただ、仕事とプライベートは全然違うもの、という意識は常に持っています。だから、演技が終わった後には『さっきはありがとう、またよろしくお願いします』と言ってから別れる、ということは忘れないようにしています

“お芝居が好きでこの世界にいる”

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――ものすごく大人ですね……! 『シンデレラゲーム』は“芸能界は生き残りをかけた争いである”ということをうまく可視化していますが、山谷さん自身は普段の芸能界にいて、過酷な人間関係を感じることはありますか?

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「人間関係を意識しすぎると、純粋に“お芝居が好きでこの世界にいる”という目的が見えなくなってしまうと思うんです。それが怖いので、目をつむるようにしています。
周りと自分を比べて意識しすぎることで、好きなことが見えなくなってしまうのは、とても悲しいことです。あくまで、結果が全てですし、いいお芝居をすれば、認めてくれる方も必ずいます。だから、“お芝居が好きでこの世界にいる”ということからは、ブレないでいたいですね」

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――そんな葛藤も、今回の『シンデレラゲーム』の役に反映されているかもしれませんね。

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「この作品は、“先が見えない仕事だからこそ、みんなが持っている不安”や、“追いかけている夢に対しての欲深さ”など、ある意味人間臭い部分が、一人ずつ綺麗に描かれています。
役でありながら、それぞれの奥底に眠っている感情があらわになるのが『シンデレラゲーム』の見どころだと思います」

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――山谷さんが沙奈を演じるにあたり、監督から“奥底に眠っている感情”の使い方について、具体的な指示はありましたか?

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「監督から演出がバンバン入るというよりは、自分たちの好きなように演技をさせてもらいました。
その分、面と向かって演技をした時に生まれた表情やセリフの投げかけ方に、計算では生み出せない生々しさが宿っているように思えます。
ただ、撮影前に監督に『沙奈は本当に芯の弱くて、ブレてる女の子だからこそ最後の最後までキャラクターを固めないで欲しい』と言われたので、頭の片隅にその言葉を入れて現場に臨みました」

美山加恋と3回目の仕事でやっと連絡先を交換

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――これまでの作品でも、他のキャストの方との距離感は変わりませんでしたか?

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「他の作品も、みんな“自分のやるべきことをやる!”という姿勢なので、撮影期間にすごく仲良くなることはほとんどないですね。
今では仲良しの美山加恋さんとも、『高校入試』という作品で、初めてお会いした高校1年生の時は、軽くしゃべる程度の仲だったんです。
その後、2回仕事で一緒になったことで、仲良くなりました。3回目でやっと連絡先を交換したんですよ(笑)」

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――今や、山谷さんのブログにも美山さんはよく登場されているので意外でした。
ニンニンジャーの皆さんとの距離感はどうだったのですか?

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「彼らとは、誰よりも一緒にギュッと凝縮された1年間を過ごしてきたので、他の同世代の役者さんと比べると、別枠の存在です。
当時は家も近かったので、友達でも家族でもない、部活仲間のような関係でした。
仕事を一緒にすることはなくなった今でも、いきなり『卓球しよう』なんて連絡が来るんです。唐突なタイミングで遊びに誘える関係ってすごく特別ですよね」

『シンデレラゲーム』の主人公は山谷花純の妹に似ている!?

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――こうしてお話していると、本来のしっかりされた性格の山谷さんと、劇中でおどおどしている沙奈は性格が真逆のように思えます。沙奈を演じる上で参考にされた方などいらっしゃいますか?

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「私、3つ下の妹がいるんですけど、彼女が沙奈に似ているんです。今回、撮影が始まる前に地元へ帰って、妹を観察しました。何気ない会話をした時のしゃべり方や、話す時の口の形だったりを見させてもらったので、今回はすごく妹に助けてもらった部分が多いですね」

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――妹さんを含め、ご家族とはどんなお話をされるんですか?

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「若くして私のことを産んでくれたお母さんは、自分の中で歳の離れた姉妹みたいな感覚がありますね。仕事のことだけじゃなく、プライベートのこととか、食べ物の話とか……結構いろんなことを話します」

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――お母さんと仲がいいんですね。昔からお家にいることは多かったのですか?

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「高校まで地元の学校に通っていたのですが、仕事で東京に来ている分、家にいる間は特別な時間でしたね。授業が終わったら、家に直帰していました(笑)。
“家に帰ってきてお昼寝する”ような地味な生活が、芸能生活とのバランスをとっていたようにも思います。
基本的に家が好きなのは、上京した今でも変わらないです。取材を受けたりしている今の立場は、少し普通の子と違うかもしれないけれど、『ちょっとお仕事から離れると普通の子だよ!』と自分では思っています」

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――9年間も芸能界にいて“普通の子”のバランスをお持ちな理由の一端が垣間見えた気がします。取材を受けている自分を客観的に見ていることにも驚きました。

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「小さい頃からこの仕事をやっている分、考えなくていいことも考えてしまうんです。インタビューをされている最中はなるべく多くしゃべったほうが良いだろうなとか……(笑)」

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――ありがとうございます! 沈黙があっても大丈夫ですよ(笑)。

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「いえ、おしゃべりできてすごく楽しいです(笑)」

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山谷花純19歳・大人になったと思う瞬間は……

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――では、最後に……我々はチェリーという“青春を引きずっている大人のためのカルチャーWEBマガジン”なのですが、19歳にして、我々よりずっと大人な山谷さんから読者にむけて、一言メッセージをいただけないでしょうか?

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「私も大人じゃないので……(笑)。でも、童心を…ある意味少年の心を持っているということですよね? 人は歳を重ねるたびに、得ることよりなくすことの方が多いと思うんです。
読者の方々が、本来ならなくしてしまうものを持ち続けていることは、とてもいいことだと思います。
“なくさなかった”から出会えた人との関係を大事にして、歳を重ねていってもらいたいです!」

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――素晴らしすぎるご回答ありがとうございます!
ちなみに山谷さんご自身は自分が明確に大人になったなと自覚した瞬間はありますか?

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「初めて銀行に行ってお金を下ろした18歳の時ですね。
去年、一人暮らしを始めたのですが、銀行の使い方がわからなくて……お金を下ろす方法は、戦隊の仲間に教えてもらったんですよ(笑)。
光熱費を払うためのはがきが自分宛てに届いた時も、大人になったことを実感しましたね」

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――最後に19歳っぽい可愛らしいお話が伺えて安心しました!(笑)

(取材・文:小峰克彦 写真:浅野まき)

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※『シンデレラゲーム』の作品情報を挿入します。
『シンデレラゲーム』
2016年10月1日(土)シネマート新宿他 公開所属するアイドルユニットの解散公演を終え、悲しみに暮れる沙奈が目覚めるとそこは孤島だった。周りには同様に拉致されたアイドルたちの姿が。そこにタキモトと名乗る男が現れる。「アイドル業界から捨てられたクソゴミアイドルのみなさん、おめでとうございます!あなたたちにはこれからシンデレラゲームに参加して頂きます!」ルールは簡単。トーナメント制のカードバトルを勝ち抜けば、トップアイドルになれるという。ざわめく少女たち。亡き姉の夢を継ぎ、再びトップアイドルを目指すため、沙奈もゲームへの参加を決意する。しかし、彼女たちはまだ知らない。敗者には「死」が待っていることを…。
出演:山谷花純
吉田明加 春川芽生 佐々木萌詠 清水あいり
阿知波妃皇 其原有沙 水木彩也子 / 駿河太郎監督:加納隼
脚本:いながわ亜美
原作:新井淳平「シンデレラゲーム」AMG出版刊
企画・配給:AMGエンタテインメント(C) 2016「シンデレラゲーム」製作委員会※公開初日には、シネマート新宿にて朝10時の回上映終了後、舞台あいさつが行われる

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