ー3カ月前、童貞を捨てた。思ったほど、世界は変わらなかったー
チェリーについて

久保田紗友が考える思春期の定義【カウンセリング編集長・霜田明寛の女優映画相談所】

人生の悩みは、すべて映画が解決してくれる。
そう、あなたの出演映画も誰かの悩みを解決するのだ!

これまで多くの映画を紹介してきた“永遠のオトナ童貞のための文化系マガジン・チェリー”の新連載は、若手女優のお悩み相談企画。チェリー編集長の霜田明寛が、その肯定型インタビューとも称されるカウンセリング的なインタビュー術で、お悩みを聞き、その悩みに対して、ゼロ年代の日本映画で答えていくというコーナーです。さらには、女優の最新出演作を題材に、「その映画を見るとどんな悩みを解決できるか」まで一緒に考えます!

彼女たちの悩みの解決の糸口は、彼女たちの生きてきた時代の映画と、彼女たちが出ている映画の中にある!!


ということで、2回目の今回は、前回の萩原みのりさんに続き、菊地健雄監督最新作『ハローグッバイ』から、久保田紗友さんが登場。NHK朝の連続テレビ小説『べっぴんさん』でも強い印象を残した久保田さん。7月期は連続ドラマ『過保護のカホコ』も控える中、15日(土)公開の『ハローグッバイ』で、映画初主演。成績優秀ながら、学校でも家庭でも孤独を感じる女子高生・葵を演じました。

【久保田紗友】

2000年1月18日生まれ。北海道出身。
13年ドラマ「神様のイタズラ」、「三人のクボタサユ」共に主演で出演。15年~16年NTTドコモ「iPhone・iPad」のCM に出演し、抜群の存在感で注目を集める。16年「世にも奇妙な物語」「模倣犯」、17年NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」に抜擢されるなど、今後も期待の新人女優。第11 代早稲田塾ガールでもあり、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 ビジョンケア カンパニー「アキュビュー®」のCM にも出演。

【主な出演作品】
『僕は友達が少ない』(‘14) 『アゲイン ~28年目の甲子園~』(‘14) 『先生と迷い猫』(‘15)
『疾風ロンド』(‘16)
所属事務所:ソニー・ミュージックアーティスツ

【霜田明寛】
1985年9月25日生まれ。東京都出身。
早稲田大学在学中に執筆活動を始め、23歳で、自身のアナウンサー就職活動への挫折経験をもとにした著書『テレビ局就活の極意 パンチラ見せれば通るわよっ!』で作家デビュー。20代で3冊のマスコミ就活本を著し、就活生の一部から熱狂的な支持を得る。読者から多くのアナウンサー内定者を輩出した評判が広まり、大学や企業の就活セミナーに登壇するようになる。
また、ジャニーズ、日本映画、ミスキャンパスといった分野にも造詣が深く、自身が編集長を務めるWEBマガジン“永遠のオトナ童貞のための文化系マガジン・チェリー”で、それらを紹介する傍ら、テレビ・ラジオなどにも出演。映画監督や俳優への「肯定型インタビュー」には定評があり、映画イベントなどを中心に司会も務めている。
所属事務所:KNOCKS,INC.

監督に放おっておかれた!?

霜田:『ハローグッバイ』拝見しましたが、久保田さんの演技、素晴らしかったです! あの、葵の孤独な目! 裕福ではあるけど、親には放おっておかれるし、友達もいないし孤独という役を見事に体現されてましたよね。今こうしてお目にかかると、葵のときとは違う目をされているので安心しました(笑)。なぜ、あんな孤独な目ができたんでしょうか?

久保田:ありがとうございます。現場で、監督に、意図的に放おっておかれた、というのも大きいと思います(笑)。もちろん、言うときはガツンと言ってくださるんですが、基本はOKは出してもらえるものの、指示はされなくて。もうひとりの主演である萩原みのりちゃんには、たくさんアドバイスなどをされていたんですが……。

霜田:それって不安になったりしませんか?

久保田:なりますね(笑)。毎日寝る前に「なんで何も言ってくれなかったんだろう……」って悩んだりもしました。ただ、スケジュールがタイトだったこともあって、オンオフがなくて、自分の中の8割くらいを常に葵がしめていたんですよね。だから、葵として考えられることを、ただただ考えていたという感じですね。それで、新しい感覚にも出会えたし、そこを含めて今の自分を撮っていただいたという感覚です。

戻ってくると「おかえり」

霜田:同世代のキャストの方々とはどんな風に接しいていたんですか?

久保田:実は撮影前のリハーサルの期間は、あえて同世代のキャストの方たちとは喋らずに、距離をおくようにしていたんです。

霜田:まさに、葵がそういう距離感の役どころですもんね。

久保田:はい。でも現場に入ってからは、監督にも「コミュニケーションとってみたほうが意外にやりやすかったりするかもよ」と言われて、みんなで給食の時間みたいに席をくっつけて、お弁当を食べたりしていましたね。現場に戻ってきたコには「おかえり」って言葉がとぶような、あたたかい雰囲気でした。

友だちは多ければいいのか?

霜田:ちなみに『ハローグッバイ』は、女子高生たちがSNSでつながっていて、それに煩わしさも感じるという話でしたが、久保田さんは普段そういうことはあったりしますか?

久保田:うーん、私、この業界での友だちが少ないほうで……。女のコで、かつ、本当にフィ―リングが合うコとしか、連絡先の交換もしないようにしているんです。数としての友だちが多くなくても、自分のことをわかってくれる友だちさえいれば、私は生きていけるし、って思っちゃうんですよね。

ひとりでいるのは嫌だけどひとりが好き

霜田:伺ってると、久保田さんが演じた葵に近い感じもしますね。

久保田:演じていて、葵か、はづきかでいえば、私は、葵に近いなと感じました。矛盾して聞こえるかもしれないんですけど、「ひとりでいるのは嫌だけど、ひとりが好き」なんです。

霜田:面白いですね……。詳しく聞かせてください。

久保田:自分のことを見つめなす時間がないと自分が自分でなくなっちゃう気がして、その時間も必要なんです。ただ、1人で考えすぎると、逆に考えすぎになっちゃっていい方向に進まないので、人とも一緒にいたい。でも、当たり前ですけど、人といると、その分相手に気を使ってしまったり、合わせなきゃいけないことも出てくるし……。

霜田:なんだかお悩みっぽくなってきましたね!(笑)

久保田:はい、私の悩みは“自分の考えがちゃんとあってもそれを出す勇気がまだない”ってことなんです。

霜田:まあ、まず、自分の考えがちゃんとある、って時点ですごいことではありますが、きっと仕事柄、色んな人と接すると思いますし、揺れたりもするってことですよね。

久保田:自分の考えはあるんですけど、例えば、自分の意見を言う前に、相手が違う意見をいうと、自分の意見を自分の中に閉まってしまうんですよね。

霜田:人を否定しない優しいコじゃないですか! 人に合わせるのが得意、というのも立派な長所だと思いますよ! ただ……閉まっちゃった意見はどうなるんですか?

久保田:閉まって……潰しちゃいます。

霜田:潰しちゃうんですか!

久保田:自分がAの道がいいと思ってても、Bの道がいいよ、って言われると、Bの道を選択してしまいますね。

霜田:自分の選択の正しさを信じきれなくなっちゃうんですね。

久保田:はい、自分に自信がないんです。もちろん、例えば、先輩に意見をいただいたとして、それは説得力もありますし、心からその通りだなって思うこともたくさんあります。ただその意見を取り入れすぎて、気づくと、自分の意見がどこにあったかわからなくなってしまうんです。他者に影響を受け続けているだけじゃ、自分は確立されませんし……。

自分を貫くことが世界のためになると信じられればいい

霜田:もうそこまで考えられているだけで、だいぶしっかりされているとは思いますが、今の久保田さんには、自分の意見をちゃんと言ってる女性がカッコイイ作品がいいと思うんですよね。

久保田:たしかに……。

霜田:そしてもうひとつ、たとえかっこよくても久保田さんくらい、優しく周囲の顔色をうかがえる方だと、その意見を通すことが、周囲のためになってないと遠慮しちゃうと思うんですよ。なので、言い方は悪いですけど“我を通す正義”といいますか、自分を貫くことが世界のためになるって、感じられると、腑に落ちて、貫く勇気も湧くと思うんですよね。

久保田:ええ、そう思います!

霜田:そこで……ご紹介するのはこちら。『愛を語れば変態ですか』です! 黒川芽以さん主演『視覚探偵 日暮旅人』の脚本家・福原充則さんの舞台の映像化作品です。

久保田:へえ……すみません。知らなかったです。

霜田:黒川芽以さん演じる主人公の女性は、最初、表面上、人に合わせるのがめっちゃ得意なんです。ただ色々あって彼女は後半に自分の意見を爆発させるんですよ。おまけに貞操観念がゆるめの女性なんですが、自分の欲望を爆発させることが世界のためになると信じていて。その演説シーンが、セリフの妙と黒川さんの演技力のセットで、「この人の欲望を通すと、世界平和に繋がるかもしれない」と思わせるものがあるんですよ。

久保田:見てみたいです!

霜田:よかったです! この作品の黒川さんしかりなんですけど、 “自分を貫くことが世界のためになる”タイプの選ばれし者が、この世界にはいて、久保田さんはきっとそれなんですよ!

久保田:あ……ありがとうございます(笑)。

久保田紗友が感じる思春期とは……

霜田:ということで、最後に、この映画『ハローグッバイ』がどんな悩みを解決できるのか、ということを考えていければと思うんですが……。久保田さんは、今回、この作品を通して何か感じたことってありましたか?

久保田:やっぱり、自分と同い年の役だったので、自分を見つめ直すきっかけになりました。環境や友だちのことが絡まりながらも、自分のことについて考える時期が思春期なんじゃないかと思っていて。やっぱりみんなひとりで考え込んでるんじゃないかと思うんですよね。

霜田:ちなみに、久保田さんが、これまでで一番悩んだ時期っていつ頃ですか?

久保田:高校入学のタイミングで、上京してきたときですね。実は、私、家族も一緒に上京してきてくれているんです。だから、後戻りできないっていう危機感と、責任感が色々とごちゃ混ぜになっていて。でも、大きいお仕事を決めたいけど、なかなかオーディションも受からないという時期だったんです。そうすると、高校生活という新しい環境の不安定さもあって、何か物足りなく感じてしまう時期がありましたね。とはいえ、そのときだけ、そういう悩みが訪れるわけではなく、定期的にくるんですけどね(笑)。

霜田:そうですよね、完全な解決なんてないですよね(笑)。

久保田:ええ、だから17歳なりにこの映画に触れて、高校生の友情の不安定さなんかは実感もわきましたけど、また大人の方は別の見方ができるのかなとは思います。

霜田:確かに、ひとりで思春期に思い悩んでいた頃の自分が、あの中にいるような気がしました。まあ確実に、超特急の小笠原海さんが演じた尊くんのような立場ではないですけど(笑)。そういう意味では、大人でも、葵にも、はづきにも立ち返れる部分があって。それこそ、ああいった小さい出逢いや冒険のようなものがあったらいいなあ、と思いました。それにしても、久保田さんがご家族も一緒に上京されていたとは知りませんでした。相当に愛されてますね!

久保田:ええ、愛されてます(笑)。

霜田:それなのに、あの孤独な愛されていない目の演技! やっぱりすごいですよ!

久保田:ありがとうございます(笑)。

今日のまとめ『ハローグッバイ』は……

(文:チェリー編集部  ヘア&メイクアップ:宇賀理絵 スタイリング:瀬川結美子 写真:浅野まき)
衣装:NAIFE

■関連情報
映画『ハローグッバイ』
7月15日(土) ユーロスペースほか全国順次公開!
キャスト:萩原みのり 久保田紗友
もたいまさこ ほか

監督:菊地健雄

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