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“写ルンです”に夢中のデジタル世代 今ドキ感性に響くそのワケとは

奥村千尋

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奥村千尋

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インスタグラムなどのSNSが日常に溶け込んでいる現代。
スマホの普及に伴い、様々な人が普段から手軽に写真を撮るのが日常の風景になりました。

それと同時に、画像加工アプリなども「より使いやすく・お洒落なもの」を目指してしのぎを削っており、簡単にイケている写真が撮れるように。
一時期はセピアのレトロな雰囲気や、思い切り彩度をあげた鮮やかな写真が流行り、インスタのフィードを埋め尽くしていましたよね。
最近では、韓国などからブームが派生した「ピンクフィルター」で、ふんわりとした雰囲気の写真を多く目にするようになりました。
 

 

 
このように、加工のテイストにはその時々のブームがあり、そのたびに新しい加工アプリなどをダウンロードしている人も多いはず。

ですが、気になってくるのは最近の「ピンクフィルター」のように、人気が定着すればするほど、インスタのフィードは「ピンクフィルター」に染まり、“よくある写真”へと印象が埋もれがちという事。

“インスタ映え”を何よりも重視する人たちにとって直面しがちなジレンマともいえるのではないでしょうか。

そんな普段から、スマホを使いこなす“デジタル世代”に、今熱い注目をあびているのが……。

デジタルを超え得る!?『写ルンです』のアナログな魅力

 

 
おしゃれな加工写真が飽和状態になった現代に、新しい風を吹き込むこととなったのがインスタントカメラの『写ルンです』。

1936年に発売開始され「手軽なカメラ」のパイオニア的存在でしたが、デジタルカメラやスマホの普及で人気が下火となっていました。
ところが数年前から、インスタグラムでのハッシュタグ「#写ルンです」がじわじわと若者を中心に広がっていき、次第に、若者の支持を集めるモデルや著名人も使用し、ここ数年で一気に人気に火がつくことに。
2016年に発売から30周年を迎え、最近ではお洒落なデザインのコラボモデルやプレミアムキットが発売されるなど注目度の高さがうかがえます。

そんな『写ルンです』がデジタル世代に愛される理由とは一体なんなのでしょうか。

体験にお金を払いたい

買い物も調べ物も、タクシーの配車ですらスマホ1つで完結できる時代。
『写ルンです』はまったく正反対をいく存在です。

1つのカメラにつき撮れる枚数が決まっているので、シャッターを切る一枚一枚に「この瞬間を撮りたい!」というこだわりが強くなります。
また、写真を撮った後も「可愛く写っているかな?」なんて確認することはできず、写真屋さんから現像された写真を受け取るまでのお楽しみ。
いざ受け取ってみると、ぶれていたり、写りが暗くてだれか分からなかったりと失敗はつきものです。
なんとなく撮った写真が上手く撮れていたり、ここぞ!と思って撮った写真が失敗していたり……。
失敗も含めて、シャッターを押してから現像されるまでの体験が、今のデジタル世代には新鮮なのです。

インスタでの異質感

『写ルンです』がリバイバルを遂げているもう一つの理由は、インスタグラムと好相性だということ。
加工では出すことのできない独特の風合いは、まるでスクープ写真のような自然な表情を偶然とらえたように写ります。
ウソのない生々しさや、見返すだけで、楽しかったその瞬間を思い出させてくれるような“臨場感”が今のデジタルには出すことのできない味わいとなるのです。
アナログならではのリアル感、それが加工された写真で溢れるインスタグラムへ投稿された時の“異質感”こそが『写ルンです』をSNSにシェアしたくなる理由なのではないでしょうか。

『写ルンです』で撮った写真をSNSにアップするためには、写真屋さんでデータ化したものをCD-Rに焼いてもらい、再度スマホやパソコンに取り込むという手間もありますが、それでも共有したいと思わせる魅力が『写ルンです』のなんともいえない写真の質感にはあるのです。

実際に使ってみた

筆者も試しに『写ルンです』を購入し、友達との静岡旅行に持っていくことに。
 

 

 

 
逆光で暗く写ってしまったファミリーレストランの看板や、夕方の日が暮れかけの海岸など。なんとなく撮っただけなのに味わいを感じさせてしまう『写ルンです』に、技術など関係なく、みんなで「良い写真だね」と思えるモノが撮れることに感動しました。
現像してみると、白くぼやけていたり、撮影者の指が写りこんでいたりと(笑)失敗作も多かったのですが、その中には「一見、失敗作っぽく見えるのに良い写真」というのがまぎれていて、まさに“偶然の産物”だからこそ、自分の想像をこえた“作品”と呼びたくなるような写真に出会えるのかもしれません。

友達に見せたところ「すごく良いね!」などのリアクションが返ってきて、撮影者としても皆の反応がとても嬉しかったです。

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シャッターをグッと押すと聞こえる「カシャッ」という軽やかな音と、現像をしている時のどんな写真が出来あがってくるのかを想像する時間。そして、それを友達に共有し、喜んでもらえること。

その全てが新鮮で、まさしく『写ルンです』は、写真を撮ってから友達と共有するまでの“体験”を楽しめるアイテムでした。

これからの夏の季節は、友人との旅行や、イベントなど、楽しいことが目白押し。
ますます『写ルンです』で撮ったアナログ写真を楽しむ若者は増えてきそうです。

(文:奥村千尋)

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