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「まずは僕に興味を持ってもらうこと」アメフト・栗原嵩に見るスポーツPRの新しい形

あまの さき

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あまの さき

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日本でのアメリカンフットボールの推定競技人口は、約2万人。野球やサッカーが700万人をゆうに超えていることから考えると、かなり少ない数字だといわざるを得ません。
要因の一つに挙げられるのが、競技としての認知度の低さ。この現状を打破しようとPR活動に取り組んでいるのが、現役アメリカンフットボーラーの栗原嵩選手です。

栗原選手のアメリカンフットボーラーとしてのキャリアは高校時代にスタートしました。持ち前の身体能力の高さから入部後すぐに頭角を現し、大学時代にはU-19日本代表や甲子園ボウルでの優勝を経験。卒業後はパナソニックに入社し、アメフトを継続、3年目には最優秀選手賞を受賞しています。
その後、かねてからの目標だった世界最高峰のアメリカンフットボールリーグNFLに挑戦するため渡米。2年連続でボルティモアレーブンズのルーキーキャンプに招待されるなど、“最もNFLに近い日本人”と称されました。

現在は国内社会人リーグであるXリーグで、プロアメフト選手として活躍中の栗原選手。彼が行っている活動、そこに懸ける想いについてお話を聞いてきました。

広めるために、できることは全部やる

自分を入り口としてもらうために……

――栗原選手が、アメリカンフットボールの認知度アップのために動こうと思ったきっかけはなんだったのですか?

「自分が今の日本のアメフト界のトップ選手だからです。
生意気に聞こえるかもしれませんが、アメフト界の中で有名であるだけでなく、アメフトを知らない人でもアスリートの栗原は知っている、くらいにならないといけないと思っています。
選手として最高のパフォーマンスができる人が多く露出する方が、競技としての魅力も伝わるし、影響力もある。今までも、またこれからも、日本アメフト界においてのレシーバー (栗原選手のポジション)としての総合力で誰にも負けるつもりはありません。だからこそ、これまでアメフトと接点のなかった人たちに興味を持ってもらうことが僕の役割なんです」


――では、現在栗原さんが取り組んでいることを教えてください。

「まずはアメリカンフットボールを知ってもらうことが大事だと考えています。日本にいると競技を見る機会もないまま過ごしてしまうから、残念なことにラグビーとの違いが分からない人も多い。

入口はアメフトの試合を見ることでもいいし、僕を知ってもらうことからでもいいと思っています。そのために何が1番の近道かというと、やはりテレビをはじめとしたマスメディアなんですよね。一発で知ってもらうことができる。

僕はテレビに出演する時、“アメリカンフットボール選手”と紹介してもらうか、試合中の映像を流してもらうことを条件とさせていただいています。ゴールデンタイムに流れたら、それが嫌でも目に入る。今のアメフトの認知度から考えると、それだけでも十分なインパクトがあります」

栗原流・SNSの活用法とは?

――マスメディアでの興味喚起から、最終的に目指すものは?

「テレビを見て興味を持ってくれたら、SNSで僕のことを調べてくれる方が思っている以上にいらっしゃいます。僕はTwitterもやっていますが、Instagramを見てくれている方が多い印象です」

@tomoaki_yui

Takashi Kurihara 栗原 嵩さん(@iam_tk_81)がシェアした投稿 –

「SNSを利用して、メディアを介して興味を持ってくれた人たちに競技情報を届けたいので、より多くの方にフォローしていただくことが大事です。そこは意識して投稿するように心掛けています」

――具体的にはどんなことを?

「もともとアメフトに興味がない人たちにとって、最初の段階では僕がアメフトができるかどうかは正直関係ないと思うんです。

では、何を見るか?といえば、そのアカウントやアスリート栗原嵩が、単純に面白いかどうかですよね
他の人たちとは違うユニークな点を見せていかなきゃいけない。僕の場合は、“ボディービルダーのような筋肉で俊敏に動けること”を積極的に見せるようにしています。単にアメフト選手栗原嵩ではなく、アスリート栗原嵩としてインパクトを与えることが大切だと思います。SNSでは僕のアメフトでのプレイがすごいと思われるよりは、むしろ“栗原嵩というアスリートってなんか面白そう”というイメージを持ってもらえるように意識しています。

そういった僕のSNSでの情報発信を入口に、アメフトという競技全体に興味を広げてほしい。『今週末、栗原が試合に出るっていってたから、ちょっと行ってみるか』となってくれたら理想的ですね」

少しずつ感じる変化

――PR活動を通じ、変化は感じていますか?

「最近は、子どもやお母さん達にも知ってもらえるようになってきました。

中でも嬉しかったのは、子ども連れのお母さんに声を掛けていただいて、『栗原さんを見て子どもたちがアメフトを始めた』『将来はアメフト選手になりたい』と言ってもらえたんです。

今の日本でこういう形でアメフトをやっているのは僕だけ。誰もやっていないことをやり始めると、少なからず肯定的な見方ではない人が出てくることも事実です。それでも、こういった形で、ちょっとずつでもやっていることが実を結んでいると感じられるようになっているのはすごく嬉しい。競技を知って、見てくれる人を増やすのはもちろんですが、楽しくアメフトをやろうとしてくれるのが、とても重要なことだと思っています」


――競技人口の増加にも目を向けているんですね。複数の大学でコーチを務めていらっしゃるのも、その一環ですか?

「東京大学と京都大学でスポット的に、法政大学は正式なコーチをしています。
僕は人との出会いにも恵まれて、NFLに挑戦するという貴重な体験をさせてもらいました。この経験を、自分の挑戦だけで終わらせてしまうのは無責任。学んだことを後進に伝えていく義務があると思っています。そのため、昨年からは筑波大学大学院でコーチングの勉強もはじめました。ゆくゆくは、NFLを目指せる選手を育てたいですね」

「自分の後を継ぐ選手を増やしたい!」

――その他、アメフトの認知拡大に必要だと感じていることはありますか?

「自分のようなスタイルでやりたいという選手が増えたら面白いんじゃないかなと思います。

これはアメフトをやっていない人には分からないかもしれませんが、フットボーラーの扱いは決していいものではありません。でも、僕はXリーグでプレイしていても、企業で働いているわけではなくプロスポーツ選手という立ち位置。だからこそ、メディア露出する時には各スポーツの一流選手と肩を並べることができるんです。『アメフト選手でもここまでできるんだぞ』っていうのは、日本のスポーツ界にインパクトを与えられたんじゃないかな。そういう経験を、もっとみんなにしてほしいですね。

もちろん自分もまだまだ上を目指すつもりです。今後はアメフト選手という枠に限定せず、アスリートとして一流の存在になりたい。そうすることで、アメフトの認知度向上に貢献できると思っています」

「アメフトはめちゃくちゃ面白いスポーツ」だからこそ


「アメフトはめちゃくちゃ面白いスポーツ。まずは1回見てもらいたい」と語る栗原選手。その真剣な眼差しからは、人生を懸けて競技に取り組んでいるからこそ、もっと盛り上げていきたいという強い想いを感じることができました。

選手としてプレイしながら、認知度拡大と競技人口増大のための若手の育成に努める栗原選手は、スポーツPRの新しい形を体現しているといえるのではないでしょうか。

IBM BigBlueの今後の試合日程
6月10日(日)14:00~ vs ノジマ相模原ライズ @富士通スタジアム
6月28日(木)19:00~ パールボウル決勝戦 @東京ドーム
※出場は6月10日の試合の結果により決定します。

【栗原 嵩(くりはら たかし)】
1987年11月7日生まれ、東京都出身。
駒場学園高等学校から法政大学を経て、パナソニックインパルスに入団。2013年からはIBMビッグブルーに移籍。日本人では初となるNFL入りを目指す。現在もXリーグで活躍するかたわら、複数の大学でコーチを務めるなど後進の育成にも力を注ぐ。
Instagram:@iam_tk_81 / Twitter:@TeeKeyy
所属事務所:株式会社ディンゴ

(文:あまの さき)

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