岩井俊二・初のアニメ『TOWN WORKERS』が松たか子『四月物語』を思わせる…!!

iwai2

“日本を代表する映画監督”と言われて、皆さんは誰を思い浮かべますか?
黒澤明、小津安二郎、山田洋次、北野武、周防正行、中島哲也……などなど、様々な名前があがることだと思いますが、私は岩井俊二監督の名前をあげたいと思います。

岩井監督はミュージックビデオ出身の映画監督。『リリイ・シュシュのすべて』や『スワロウテイル』などの作品が有名であり、第19回日本アカデミー賞優秀作品賞を受賞した『Love Letter』は特に韓国で爆発的な人気を獲得。近年ではAKB48の『桜の栞』のミュージックビデオを手掛け、話題になりました。
エンターテイメント性を残しつつも、独特の映像美が魅力の岩井作品は、映画好き・アート好きを中心に多くの支持を集めています。
「日本では他にアート志向で有名な監督があまりいないから、サブカル趣味の女の子とキャフェでお話しする時は非常に助かっている」なんて失礼なことを言う文化系男子も結構いるはずです。(僕はそんなひとりです)

そんな岩井監督が、アニメーションに初めて本格挑戦したことをご存じでしょうか?
その名も『TOWN WORKERS』。
一話あたり5~6分、独立した三話のショートストーリーからなる連作短編アニメで、WEB上で公開されています。
名前からして“某超大手アルバイト雑誌”の依頼で製作したであろうこのシリーズ、「単なるプロパガンダになってるのでは!?」と危惧したりもしたのですが、さすが天才岩井監督、そんな大人の事情を一切感じさせない、なかなか優れたショートショート集に仕上がっています。
(2004年に公開された映画『花とアリス』も、もとをただせばキットカットの日本発売30周年を記念して作られた短編Webムービーが土台になっているので、岩井監督って器用に受注仕事をされているんですよね。ステレオタイプな芸術家のイメージとは少し違うようです)

今回はその中でも私が個人的にオススメしたい第二話『君の夢を読む』を紹介します!

『君の夢を読む』

作成者:townworkbaitojapan

おおまかなストーリーはこんな感じ。

女子高生の成瀬さんは近所のコンビニでバイトをしています。
そこに新しく入ってきた青年、前田くん。
高校生ながらも勤続二年目の成瀬さんは年上の前田くんの教育係になることになりました。
レジの打ち方などを前田くんに教えてあげます。

iwai1

作成者:townworkbaitojapan

接客に少しもたつく場面がありつつも、前田くんのバイト初日は無事終了。
帰り道、ふたりは家が同じ方向とわかり、一緒に帰ることになります。
「漫画好きなの? すっごい、漫画買うお客さんだなと思ってた」と言う成瀬さん。
そう、実は前田くんはもともと、店の常連客だったのです。
よく行ってた店に、バイトで働くことになったというわけ。
ふたりは顔見知りだったんですね。

iwai2

作成者:townworkbaitojapan

その後、話の流れで前田くんが漫画家を目指していることを告白。
公園で前田くんの描いた漫画を読む成瀬さん。
『君の夢を読む』というキザなタイトルは、これが理由でした。
成瀬さんは前田くんに感想を告げ、最後に成瀬さんが「賞とったらなんかおごってよ」と言って、ふたりは別れる……

こんなストーリーです。
岩井俊二フリークの人の中には、同じことを思われた方もいるのではないかと思いますが、この作品、どことなく1999年の作品『四月物語』を彷彿とさせる雰囲気がありますよね。
(『四月物語』は松たか子演じるヒロインが、田辺誠一演じる“憧れの先輩”を追って東京の街に出てくる、という物語です。一時間程度と映画としては短い作品ですが、武蔵野の街とそこにある一軒の書店を舞台に展開される少女漫画チックなストーリーと美しい映像描写が、今もなお多くのファンの支持を集めています)

『四月物語』もこの『君の夢を読む』も、ストーリー的にはよくある“実はふたりはすでに出会っていた”系の物語で共通しています。なんてことのないように見えた行動も、実は主人公とヒロインの間に何らかの関係性があったことが判明し、それによって今までの行動が違った意味を持って見えてくる、みたいな作品です。
(最近の作品だと映画化もされるくらいに人気を博したアニメ作品の『中二病でも恋がしたい!』なんかはこれに当たりますね)

また、『四月物語』は書店、『君の夢を読む』はコンビニという違いはありますが、“店内で物語が展開されていく”という点では、二作品ともに共通していると言えます。
『四月物語』の持つ“新しい街というドキドキ感”と『君の夢を持つ』の持つ“新しいバイト先というドキドキ感”も、どことなくイメージがしますよね。

さて、以上は岩井俊二ファンとしての見方ですが、ファンじゃない人にも響く普遍性を、この『君の夢を読む』という作品は持っているんじゃないかと私は思います。
それは、6分ちょいという短い時間の中に、「あー、あるよねそういうの!」と共感できる要素がたくさん詰まっているからです。
後半ではそんな共感ポイントを紹介したいと思います。

以上、アルバイト(時給950円・据え置かれ中)なのに、結構こき使われてる人間がお送りしました!
(続きは後日公開)

 

今、あなたにオススメ
PAGE TOP