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Tiktok だけじゃない!32兆円超、中国インフルエンサーの威力とは

黄 未来(こうみく)

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黄 未来(こうみく)

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インフルエンサーと聞いて、皆さんは、何を思い浮かべますか?
InstagramやTwitterで美容の発信を行うゆうこすさん、YouTubeでおもしろ動画を配信しているヒカキンさん、Tiktokで名を馳せた現役高校生のねおさんなど……。

最近では、「インフルエンサーマーケティング」という言葉の通り、マーケティング手段のひとつとしてのインフルエンサーの活用が、日本でも徐々に市民権を獲得してきました。一方で、お隣中国では、网红(ワンホン)と呼ばれるインフルエンサーはそのような販促の助っ人的な存在を超えて、既に、ひとつの大きな業界として成長しているのです。

2016年のPew Research Centerが実施した調査によると、中国はスマホの普及率が57%以上(日本は39%)であり、8億人もの人々が、スマホを介して毎日インターネットを使用しています。よって、最近話題になっているキャッシュレスのモバイル決済をはじめ、スマホを介した様々な独自のサービスが生まれており、ユニークな発展を遂げています。しかし、それらの情報がなかなか日本に届かない理由のひとつとして、当該サービスが世界展開しておらず、中国市場のみで完結されているものが多いからです。(例:中国版TwitterのWeibo、中国版LINEのWechat、中国版リア部配信のYYなどなど)

反対に、世界展開している多くのサービス、特にSNSプラットフォームは中国では使用できません。

参考記事:華僑心理学 No.5 なぜ、中国ではLINEが使えないのか

よって、今回の記事では、そのような中国で独自の発展を遂げた中国版SNSプラットフォームの数々と、中国のインフルエンサー業界について、解説していきたいと思います。

拡大し続ける中国のインフルエンサー業界

インフルエンサーの市場規模及び属性

中国では、明確な定義はないものの、大手SNSプラットフォームにてフォロワーが10万人以上いることが、インフルエンサーたるひとつの指標となっています。中国版TwitterであるWeiboでは、総数は明かされていませんが、2018年4月現在、10万人以上のフォロワーを持つインフルエンサーの総数が昨年比51%増加、うち、合計100万人以上のフォロワーを持つインフルエンサーの総数も23%増加したと発表されています。また、彼らのファンとされるフォロワー数も累計5.9億人(前期比+25%)に達しました。このように、インフルエンサーを取り巻く経済規模は、年々拡大しており、2018年の市場規模は32兆円を越えると言われています


※参考資料:艾瑞咨询:2018年中国网红经济发展研究报告

中国系インフルエンサーの特徴

近年のインフルエンサーの特徴として、【1】ショートムービー、【2】ライブ配信、【3】Weibo(中国版Twitter)の3種類のSNSを動員して、活動をしていることが多いです。

【1】ショートムービー

現代の中国では、動画の個人発信のコンテンツとして、YouTubeのような録画・編集された長編映像ではなく、15秒前後のショートムービーが主流となっています。Tiktokをはじめとするショートムービーアプリでは、①編集を含む制作コストが低いこと、②Twitterのような拡散力に長けていること(TwitterのRT機能のように、シェアしやすい)の2点が喜ばれ、多くのインフルエンサーに使われるようになりました。

尚、最近の日本ではショートムービーと言えばTiktok、と言われるほど人気ですが、中国ではTiktokと争うほど人気なショートムービーアプリが、「快手(Kuai Shou)」というものです。それ以外にも、ショートムービーのSNSプラットフォームだけでも、10、20以上あるほど、非常に盛り上がっているジャンルです。

(左:Tiktok、右:快手)

また、日本でTiktokと言えば、中高生を中心とした若者のSNSだという捉え方が一般的ですが、中国では老若男女問わず、属性問わない幅広い層が視聴している点が特徴です。

【2】ライブ配信

ライブ配信では、
・ショートムービーと同じように編集コストが低いこと
・ファンからの投げ銭といった収益化に直接つながること
・ファンとの双方交流がしやすいこと

が歓迎され、多くのインフルエンサーに起用されるようになりました。

前回記事参照:中国でYouTubeはもう古い!?4億人が利用する「ライブ配信事情」を徹底解説!

【3】Weibo(中国版Twitter)

中国版Twitterと例えられることが多いWeiboですが、実際には、短文テキスト&画像だけではない、様々な独自機能を有しており、一概にTwitter的な存在とは言い切れません。例として、SNSでも多くのファンを抱える日本の経営者・ハヤカワ五味さんのアカウントを見てみましょう。

こちらがメインのタイムラインですが、このように、1つの投稿につき合計9枚の写真+長文を投稿することが出来ます。

また、右上のAlbumのタグをクリックすると、タイムラインとは独立したInstagramのデザインに近いアルバムが表示されます。

このように、WeiboはTwitter、Instagramといった多くのSNSをひとつにまとめたような存在として認知されています。中国ではもっともメジャーなSNSのひとつであり、インフルエンサーのオーソドックスなビジネスモデルとなる広告業も、このWeibo上で1投稿〇〇円とカウントされる形式が多いです。

中国系インフルエンサーの最新トレンド

業界推移

2018年以前は、お笑いやファッション系、美容系といったエンタメ要素が強いジャンルに偏っていました。これは、現在の日本のYouTubeの状況ととても似ています。2018年以降の中国のインフルエンサー産業の特徴として、市場全体が拡大されたことにより、様々なジャンルの需要が顕在化しました。それに伴って、多種多様なジャンルのインフルエンサーが誕生し、従来のエンタメ系のみならず、文化要素が強いグルメ系、教養の要素が強い経済系といった新ジャンルの需要が、どんどん伸びてきました。


※参考資料:艾瑞咨询:2018年中国网红经济发展研究报告

Weiboを展開するTencent社でも、文化的需要の向上に応えようと、ファンからのQ&Aに回答する有料版のYahoo!知恵袋にあたる新機能を実装。そこで、健康や不動産といった特定エリアのスペシャリストが、一般の人に対して質問の受け答えを有料で行う新しい形の専門家インフルエンサーが誕生しました

例えば、こちらの栄養士の顧さんは、健康というジャンルのインフルエンサーとして活動し、2017年の内半年間で77編の有料ブログを執筆するとともに、24回のライブ配信を実行しました。合計320万人のフォロワーというのは、日本のTwitterで言えば堀江貴文さんと同規模に当たります。健康というややニッチジャンルでも、トップクラスのインフルエンサーになれば320万人のフォロワーを獲得できると考えると、中国の市場、そして人口の大きさが垣間見えますね。

収入源及び割合

このように、企業から依頼を受け宣伝をすることによって得られる広告費を収入源にする従来のインフルエンサーのビジネスモデルは、様々な領域で分散されるモデルへと発展を遂げています。2018年6月に、複数ジャンルのインフルエンサー500人にアンケートを取った収益内訳がこちらです。

※参考資料:艾瑞咨询:2018年中国网红经济发展研究报告

この内、注目すべきなのは、ライブ配信の比率の大きさです。ファンからの投げ銭と各種プラットフォームとの専属契約金を合わせると38%を占める割合となっており、中国インフルエンサー市場における重要さがお分かりいただけるかと思います。

代表的なインフルエンサーの紹介

ここで、今をときめく中国の最新のインフルエンサーを4名紹介したいと思います。

【1】冯提莫( Feng Ti Mo)

1991年生まれ26歳の冯提莫は、2014年にゲーム実況のライブ配信プラットフォームで歌を披露してから、清純でキュートなルックスと甘い歌声がネット民の心を鷲づかみし、大ブレークしました。現在は、ライブ配信主と歌手をメインとして活動しています。

百度百科より)

【2】Papi酱( Papi Jiang)

1985年生まれのPapi酱は、2016年に早口で軽快な毒舌トークを芸風とするショートムービーにて、個性派インフルエンサーとして一世を風靡しました。2017年には、自身のムービー後の広告枠に対するオークションを開いた際に、開始からたった6分で、とある上海の化粧品会社によって3億5千万円という価格で競り落とされ、中国全土を驚かせました。現在は、女優と投資家に転向しています


百度百科より)

【3】张大奕( Zhang Da yi)

1988年生まれ、モデル出身である张大奕は、女優や歌手、タレントへの道へ進まずに、ファッション系インフルエンサーとして、EC事業に専念しました。2014年から中国版アマゾンであるタオパオでネットショップをスタート。現在は同プラットフォームにて、4つのネットショップを構えています。2017年、年に1度行われるタオパオが企画した独身の日(11/11)キャンペーンでは、日販で16億円以上を叩き出しました。インフルエンサーを越えた、ニューリテールのシンボルとして、位置付けられています。

百度百科より)

【4】MC天佑( MC Tian You)

1994年生まれのMC天佑は、2014年11月からライブ配信をスタートし、歌手・タレントとして活動しています。高専卒であり、ライブ配信主になる前はレジ打ち、屋台などさまざまな仕事をしていました。そんな彼は、地道な努力家として、ライブ配信黎明期から参入し、一歩ずつ人気と実力を積み重ねた後に、チャイニーズドリームをつかみ取ったのです。また、オンラインのみならず、オフラインのイベントでも精を出し、きめ細かいファンサービスに溢れるインフルエンサーであると知られています。


百度百科より)

まとめ

日本では、筆者の周りを見ても、老若男女問わず「安定した職場で、安定した仕事について、安定した収入を確保したい」、「じわじわと、時間をかけてでも着実に、成功を目指していきたい」という欲求を強く感じます。

一方で、中国では、インフルエンサーのみならず、インターネットのトレンド自体が日本の3倍、ないしは5倍のスピードで移り変わっていきます。よってインフルエンサーだけではなく、新しいSNSプラットフォーム、新しいサービスと、常に新しいものが絶えず産まれては消えていきます。

そんな風に、流動性がものすごく高いインターネット業界に身近で接している中国の若者は、継続した安定を求めるよりも、「上昇気流に乗って、大きく儲けたい」、「時間をかけるのではなく、タイミングを掴んで、一生分の収入を稼ぎたい」といった思いを抱いている人が多く、インフルエンサーを目指すモチベーションとなっています。

次回は、そんな次世代のインフルエンサーを目指す若者に、実際にインタビューを行いたいと思いますので、お楽しみにー!

(文:黄未来)

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