ムサ美で『バンクーバーの朝日』の制作秘話公開! 石井裕也監督と妻夫木聡が白熱映画教室!?

12月15日、武蔵野美術大学で20日公開の映画『バンクーバーの朝日』の特別上映会が行われた。上映後に石井裕也監督、サプライズゲストで主演の妻夫木聡さんがティーチインとして登場!
今回は観客が美大生のみ。普段から映像、美術、衣装の勉強をしている学生たちから、制作にまつわる具体的な質問や専門用語も飛び交う。まるで“講義”のような時間となった。

本作は戦前、一獲千金を目指してカナダへ移住した日本人野球チーム「バンクーバー朝日」が、差別に耐えながらもフェアプレーを突き通し、体型を活かした戦法でリーグ優勝を果たすなど次第にカナダ野球の伝説となっていく姿を描いた、実話をもとにした感動作だ。

 

■フジテレビ制作の大作だからこそ、余白ある観客に考えさせる映画を!

自主映画からスタートし、今回フジテレビが主催の大作に挑む石井裕也監督。彼の映画作りは何か変わったのだろうか。
さっそく「今回特にキャスティング素晴らしかったです。役柄を決める上で役者同士、監督とどんな話し合いをしたのですか?」と質問が。

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まずはキャストの代表として妻夫木さんが「監督と役について話したものの、あえて役を固め過ぎず現場に入った」と返答。
監督も「妻夫木さん演じるレジ―笠原は特に余白が必要だった。これは映画全体にも言えること。今回はフジテレビ制作の映画だからこそ、お客さんに考える余地を与えたかった」と打ち明ける。多くの賞をもらい、作品の規模が大きい映画になっても“低予算映画”となんら変わらない“石井裕也映画”の芯を感じさせた。

 

■妻夫木史上、一番大きいセット!? 大きさ東京ドーム1つ分の撮影用の町

舞台となる日本人街は、もしかしてこの豪華キャストでバンクーバーに渡ったのでは? と勘繰ってしまうほどの、息をのむリアリティ。

学生から「映り込むものがCGかセットなのかよく分からないぐらいリアルに感じました。朝昼晩と時間の移り変わりが綺麗すぎて圧倒されました」という感想が。

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それを受け監督は「映っているのはほぼセットです。野球場を含め町全体、東京ドーム1個分の巨大なオープンセットを作りました」とうれしそうに話す。

加えて外国映画で日本を舞台にしたものを見た時の時折の違和感に触れ、「その逆パターンをやっている自覚があったからカナダの人が見ても違和感ない画作りにこだわった」と衣装や走る車“街のざわめき”までこだわったという自信をのぞかせた。

それを受けて妻夫木さんは「いままで経験した中で一番大きいセットでした。テーマパークに入るように、そこに居ると自然に役に入れた」その後も普通の“映画セット”を超えた、世界を作り上げたスタッフへの感謝を含んだ言葉を続けた。

 

■妻夫木聡が語る、石井裕也監督のココがすごい…!

最近、こまめにカットを割ってテンポよく魅せる監督が多くいる。その半面、石井監督は人の感情が揺れ動くようなシーンに限って長回しが多い。その点を取上げ妻夫木さんが称賛する。

「感情の流れを壊さない監督。だからこそ余白がうまれる。人間は簡単に自分の感情コントロールできないし、複雑だからこそ面白い。楽しい時泣いちゃうこともある。悲しくても笑っちゃう時もあるじゃないですか。言葉で表現できないものを求めているし、映画が映画じゃなくなる瞬間を目指している監督なんです」と穏やかな表情ながらしっかり訴えかける姿に引き込まれる。

最後に監督と妻夫木さんに対し、学生から二人の顔を描いた画とハンコが贈られ、「来てよかった!」と感動する姿が印象的だった。

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(左は妻夫木聡さん 右は石井裕也監督)
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(学生さんが作った妻夫木さんのハンコ)

“そこに自然にいる空気感”を大切にした石井裕也監督の作品たち。その“わざとらしくなさ”が共感と感動を呼ぶのかもしれない。

“宣伝イベント”であることを忘れてしまうほどに「本当に学生たちと話したくて来た」という気持ちが溢れていたお二人。また映画を志す人たちの前で話をする日が来るのが楽しみだ。

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(文:小峰克彦)

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