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著書の中で「はあちゅう批判」をしていたほどの僕が、彼女と親友になるまで

霜田 明寛

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霜田 明寛

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“はあちゅう”が嫌いでした。

でも、彼女の新刊を読んで、この人の友達にしてもらえてよかったと、心から思っている僕がいます。

たぶん、今僕は、はあちゅうさんの仲いい男子ランキングTOP3、どう謙遜してもTOP10には入っているはずです。(自分で言うのもイタいですし、友情関係や好きな気持ちに順番をつけるのはさもしいと思いつつも、わかりやすく言ってます)

もちろん僕にとっても、はあちゅうさんは数少ない親友です。おそらく、毎日LINEで自分の画像を送りつけ(このコーナーの更新のためです)お互いに、ほぼ誰にも言っていない話を共有し合っておきながら、恋愛関係には一切発展しないこの関係性を、簡単に説明する言葉を見つけるとしたら“異常”です。

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最近ではこんな声も。

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こんな感じで、ときどき、つきあってるんじゃないか、とか言われたりするほどの仲の良さです。

 

“若くして、超絶美人でもないのに出てきている女”を世間は叩く

ただ、もともと、出会う前は、“仲良くなれそうな気がしない”というのが本音でした。

同じ学年で、大学の入学・卒業年も一緒(はあちゅうさんは留学・僕は留年)で在学中に本を執筆……と共通点が多く、でも自分なんかよりも影響力を持つ彼女は嫉妬の対象でもありました。

 

僕でなくても“若くして、超絶美人でもないのに世に出てきている女”を僻んだりして、マイナス感情を持つ人はたくさんいることと思います。

(ちなみに、これは、まだ本人には言えてないのですが、僕は彼女に出逢う2年前に書いた本『マスコミ就活革命~普通の僕らの負けない就活術』の中で、若干のはあちゅう批判をしているほどです。)

それが、何の因果か、僕が27歳で初めて入ることになった会社は“はあちゅうのいる会社”でした。もしかして、実際に会ったら仲良くなれるかもな、というほのかな期待をもって出社したその日。

彼女が僕の席に来て発した第一声は

「ブログ用に写真撮っていいですか」

既に胸の前にスマホをかまえている彼女がそこにいました。

いやいやいや、名乗りもしないってことはなんですか、「私がはあちゅうであることは知ってますよね」前提!?

そりゃあ、あなたがはあちゅうってこと知ってますけど!? やっぱ有名人気取りかこの女!  そして俺はブログ用の写真素材か!

そんな感情を抱いているうちに、彼女はさっと指示出しをし、できあがったのがこのブログ記事です。

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ここからしばらくはお互いに様子を探りあう“ポーカーフェイス期”が続きます。

■そもそも“はあちゅう”とは

それから2年が経ちまして、まあどうやって仲良くなったのかは他の機会に譲るとして、今ではプライベートはもちろん、一緒に取材を受けたり、学園祭でトークショーをしたり、『ゲスアワー』という動画を撮ったりと、仲良くさせてもらっています。

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でも、いまいち、なぜこんなにも仲良くなれたのかはわかりませんでした。ですが、今回この新刊『半径5メートルの野望』を読んでわかった気がします。

ということで、前段が長くなりましたが、ソーシャルトレンドニュースブックレビュー第2回は、『半径5メートルの野望』(はあちゅう)です。

(ちなみに僕は出会う前から、彼女が本を出す度に、“はあちゅう界隈”の人が、こぞってブログなどで本を紹介するのがイヤで、「はいはいステマ乙」と思っていた側の人間なのですが、今回はこの本が素晴らしすぎるので、そんなことは気にせず紹介させて頂きます)

そもそも、「はあちゅう」さんとは、2004年のブログ黎明期、慶応大学1年生の時に、クリスマスまでに彼氏を作るブログを立ち上げて、そこで注目を浴びた人です。

そこから、本を書いたり、電通に入社後はコピーライターとして活躍、トレンダーズに転職後は自社メディアである『キレナビ』の編集長を務め、並行して個人での執筆活動やメディア露出などを続けてこられました。

そして、この本では、そんな自分の経験から、彼女の28歳なりの人生訓が紡ぎ出されて、つめこまれています。

■一度のラッキーを逃さずに、10年かけて実力に

たぶん、はあちゅうさんのことを、“ブログをキッカケにチャンスをつかんだラッキーガール”くらいに思っている人はたくさんいることと思います。

僕自身「あんな実力もないネットで出てきた偽物の女と仲良くしてるなら霜田と縁を切る」みたいに言われたこともあります。(結果、僕はそう言ってきた人のほうと縁を切りました)

確かに、もしかしたら、最初のブログのヒットはラッキーもあったかもしれません。ただ、この本を読んでわかるのは、そんなラッキーは吹き飛ぶくらいに、その後、つらい思いをしていること(彼女の腕にリスカの痕がないのが偉い、くらいのレベルです)。

そして、あまりに綿密で地道で、ひくほどの努力を10年続けて、その最初に与えられたラッキーを、いつの間にか実力に変えている、ということです。

ブログ、ユーストリーム、ツイッター……etcと新しいネット上のサービスが定着しようとしている時に、必ずやそのアイコンになるような若い人が注目されます。

しかし、多くの人が一時期のバブルだけで表舞台からは消えていく中、はあちゅうさんだけは残り続けています。いや、“残っている”レベルではなく、ネットから出て、今回の、ブログ色ゼロのこの本にも象徴されるように、どんどんと活躍の幅を広げているのです。

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少し話がそれますが、ジャニヲタの僕は、ジャニーズのデビュー時期の悲喜こもごものストーリーが大好きです。

特に好きなのは、V6の岡田准一さんとNEWSの手越祐也さん。この2人は、ジュニアになって間もない、右も左も分からない時期に、いきなり抜擢されデビューしています。

長年ジュニアをやりながらも、デビューできない人もいるので、当然のことながら、そちら側のファンからは「なんであいつが選ばれて……」みたいなことを言われます。でも、2人はそこから戸惑いながらも努力を続け、人気を獲得していきました。

世の中には2タイプの人がいます。意図せず大きな舞台を与えられたときに、その大きさに自らが飲み込まれ、潰れていく人。もう一方は、その舞台の大きさに、自分の大きさを必死であわせようとしていく人です。

2人が後者であることはもちろん、はあちゅうさんも自分が与えられた舞台に必死に合わせようと、10年もがき続けた結果、実力がその大舞台の大きさにあってきた人なのではないでしょうか。

■理不尽な大人の圧力を乗り越えて世の中に出る若い人

ちなみに、僕が涙したのは、31P『自分を見返したい人をつくって、忘れる』というところで、ある理不尽な大人に嫌がらせを受け「もうこの業界で生きていけると思うな」と言われたという話。

僕自身もちょっとだけ芸能界にいたときに、同じようなことを言われたことがあったんですよね。

はあちゅうさんがそう言われた時に、こう思ったと書いてあります。

「じゃあ、そんなしょうもない業界を超えたところで、圧倒的に勝ってやる」

このエピソードのように、20代で若くして世の中に出ようとすると、潰してこようとしてくる大人はたくさんいます。できるなら、こういう心ない大人たちは消えて欲しい。でも、一方で、だからこそ、その圧力を乗り越えて、世の中に出てこられる若い人には価値が生まれるのだとも思っています。

この話を受けて、はあちゅうさんはこんなメッセージにしています。

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「幸せになることが1番の仕返し」

こう見ると強い人みたいで、嫌な女に見えるかもしれません。

でも、はあちゅうさんは本当は繊細で、誰よりも人の目を気にして、そして、人に気を遣う、どちらかというと、いい意味で弱い側の人間です。だからこそ、雑な感性の人たちの、心ない言動に、普通以上に傷ついてしまいます。

そんなこの人を象徴するように、カバー裏にはこんな文字が。

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「本当に強いことと、強いフリをすることにどれほどの違いがあるだろう」

■かわいいなんて云えないよ(美しさ)

さて、失礼ながら、この記事の冒頭でさらっと、はあちゅうさんのことを「超絶美人でもない」と書いてしまいました。

女子アナになりたいという女子大生を指導し、ミスキャンの連載を持ってるような僕は、女性の容姿の持っているパワーを否定しないし、むしろ大好きです。

でも、本当に美しいのは、最初の時点での容姿レースでおくれを取っていた人間が、その先にいる人間を、努力で追いついて、そして追い越す瞬間なのではないかと思っています。

だから。

いつも、割と顔を近づけて喋る僕が、だいたい半径60センチメートルくらいのところから見るはあちゅうさんは、とんでもなく美しいです。

(文・霜田明寛)

半径5メートルの野望(著:はあちゅう 講談社)

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