ヘルタースケルター効果!? 岡崎京子展に20代キラキラ女子が集結

 

岡崎京子といえば、1983年(昭和58年)にデビュー後、80年代から90年代にかけて「an・an」や「CUTiE」等有名雑誌で活躍した、時代を代表する人気漫画家である。その時期に生まれていなかった方でも、『リバーズ・エッジ』や、主演沢尻エリカ・監督蜷川実花で映画化された『へルタースケルター』などを知っている方もいらっしゃるのではないだろうか。そんな岡崎京子の原画や実写映画の衣装を含んだ展覧会が世田谷文学館で24日始まった。

 

原画約300点から見えてくる漫画家のお仕事。

本展の最大の見所は、300点をこえる原画の大展示。実際の作品の原画やイラストが所狭しと展示されており、圧巻の見応え。連載や掲載を多く抱え多忙だった岡崎京子。ある原画にはスクリーントーンの端っこや消しゴムのカスがちょろり。常に「生み出す」ことを続けてきた漫画家としての半生の過酷さとダイナミクスが伝わってくる。人気漫画家安野モヨコにも影響を与えたといわれるその作品たちは、鮮やかな色彩で、繊細なのに野性的という矛盾した魅力を持ち合わせていた。

 

岡崎京子1

真紅のベールに包まれた『へルタースケルター』の世界。

原画の森を抜けると、真っ赤なベールの世界に。2012年に映画化され大ヒットした『へルタースケルター』の特設コーナーだ。実際に映画やポスターに登場した真っ赤なロングドレスの衣装も展示されている。

dress

漫画のセリフが教えてくれる、イマの“ふつうの女の子”の生き方。

展覧会の入り口は、岡崎京子のこんな言葉から始まっている。

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“いつも一人の女の子のことを書こうと思っている。いつも、たった一人の。ひとりぼっちの。一人の女の子の落ちかたというものを。”

 

岡崎京子の漫画に出てくる登場人物は、一見普通でキラキラした素敵な女の子達なのだけれども、実はいつも何かを抱えている。不倫、欲望、家族離散、ボーイフレンドとの仲、都会の孤独、仕事、友情――作品ほどまでにセンセーショナルではなくとも、多くの作品を見ていく中で、必ず「あ、自分と重なる!」と共感できるキャラクターを1人は探し出せるはずだ。筆者は展覧会の中で、2人のキャラクターに出会えた。

1993年に連載が始まった代表作の一つ『リバーズ・エッジ』。1991年の湾岸戦争や経済不況など暗く殺伐とした時代のもと、メディアだけでなく現実の出来事にもリアリティを感じることができない主人公たちを描いた。

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“表のメディアで流れている情報とそれを受ける人々とが上手く関係できない時に、ある種のノイズとしてウワサという情報が生まれ、共振され、拡大していくのではないでしょうか?”

 

と岡崎自身が雑誌で述べたように、高度なテクノロジー社会や資本主義の中で個人が均質化し、居場所を見失っていく状況を、彼女はウィリアム・ギブスンを引用して「平坦な戦場」と表現した。そんな状況下で、漫画のキャラクター達は、自分の欲望と現実社会に向けてそれぞれの答えを出し、サバイバルしていく。『へルタースケルター』の主人公・りりこのように、「あたしはあたしがつくる」と全身整形するのも一つの答えだったのだろう。彼女たちは、副題にある「戦場のガールズ・ライフ」を生きているのだ。

まさに今の若い人々が生きているのは、この状況の真っただ中なのだといえるだろう。むしろ、テクノロジーもより発達し、もっと戦場は危険になっているかもしれない。

なら、私たちは、どう生きていくか? 岡崎京子が作品を通じて若者に教えてくれるメッセージの一つなのかもしれない。担当者の方によると、20代の若い女子の来場者も多いということだ。

 

岡崎京子4

こんな、グッと胸に突き刺さるような問いかけも。皆さんなら、どう答えますか。

(文:村はるか)

 

 

岡崎京子展 戦場のガールズ・ライフ

会期:2015年1月24日(土)~3月31日(火)※毎週月曜日休館
会場:世田谷文学館2階展示室
料金:一般800円、65歳以上・高校・大学生600円、小中学生300円
電話:03-5374-9111

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