セクハラ問題を取り上げ、毎週話題を呼んでいるフジテレビ系列・木10ドラマ『問題のあるレストラン』。個性的な登場人物の中でも毎回かなりのインパクトを残しているのが、高畑充希演じる「川奈藍里」だ。キラキラ巻き髪量産型女子と称される川奈は、見た目も発言も、「ザ・女子」。そんな川奈の発する台詞が、女性の胸に刺さると話題なのだ。
先週放送された第五話は川奈がメインで描かれた回。それだけにネット上でも大きな反応があった。第五話で女子たちの心をドキッとさせた名言を振り返る。
■『女の価値は人生いくら奢って貰ったかで決まるから。割り勘は女の敗北。負けた女は最終的にデニムの裾がよれよれの男にパチンコ代取られるか、カメラはじめてクラゲの写真撮るか、どっちかだから』
付き合う相手で自分の価値が決まると考えている川奈。一見イラっとくるような台詞だが、じっとその話に耳を傾けた女子も多いのでは。たしかに「大切なのは中身」と言うけれど、相手の職業や社会的価値を無意識に見てしまっているのも現実……。
■『え?なんで皆さん水着着ないんですか?あたしいっつも心に水着着てますよ。おしりとか触られても全然何も言わないですよ。おしり触られても何にも感じない教習所卒業したんで。痩せろーとかヤラせろーとか言われても笑って誤魔化せる教習所も出ました。免許証お財布にパンパンです』
す、すごい。社会に適応していくことを教習所の卒業に例える脚本・坂元裕二さんの素晴らしきセンス。そしてレストランの集客に悩んでいる相手に対して、「なんで水着着ないんですか?」の川奈。
彼女の女子論はまだまだ続く。
■『痴漢されたらスカートを履いてる方が悪いんです。好きじゃない男の人に誘われて断るのは偉そうな勘違い女なのでダメです。セクハラされたら先方は温もりが欲しかっただけなので許しましょう。悪気はないのでこっちはスルーして受け入れるのが正解です』
愛想良くしている方がうまくいくこともある。それを知っているから、川奈のように諦めて受け入れてきた女性も実は多いのかも……。
それにしても川奈、強すぎる。
■『どうしてしずかちゃんはいつもだめな男と偉そうな金持ちの男と暴力ふるう男とばかり仲良くしているか分かりますか?どうしていつもお風呂場覗かれてもすぐに機嫌直すか分かりますか?どうして女友達がいないか分かりますか?彼女も免許証、いっぱい持ってるんだと思います』
「ドラえもん」のしずかちゃんの話。たしかに、と思ってしまった。子どもの頃に違和感なく見ていたしずかちゃんのポジションも、たくさんの“免許証”によって成り立っていたのかもしれない。
そんな自論を展開していた川奈だが、この第五話では、付き合ってもいない相手に勘違いされ、彼氏面され、挙句の果てに相手を否定したら殴られてしまった。「スルーして受け入れる」ことが正解なのか、考えさせられる回だったと思う。
川奈ほど極端ではないにしても、“キラキラ巻き髪量産型女子”の鎧を着て、笑顔でスル―しながら、実は傷ついている女性はたくさん存在するのかもしれない。実際に、周囲の女子大生たちが男性の際どいトークに苦笑いで対応する姿を何度も見てきた。
私自身も4月から社会人になる。何も入っていない財布に“免許”は増えていくのかもしれないけれど、たくましく生きていけたらなと思った。
(文:平岡 サヤ)