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組織の正義と個人の正義が相反したときどうするのか/映画『ドローン・オブ・ウォー』

静かな映画だ。静かな、静かな戦争映画だ。

主人公は殺戮を行い、スクリーンの中では確実に大量の人の死、が発生している。
しかし、映しだされるのは、主人公が無人戦闘機(ドローン)を操作する小さなコンテナの中のオペレーションルームと、操作画面上のアラブ地域と、そして日常。ほぼそれだけだ。

『ドローン・オブ・ウォー』 10月1日(木)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー

『ドローン・オブ・ウォー』
10月1日(木)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー

『ドローン・オブ・ウォー』サブC

『先制的自衛権』という、よく考えないと、理にかなったように聞こえる言葉によって、人を殺すことが正当なこととされ、その行為を日常的に繰り返していく主人公たち。

敏感な人ほど、傷ついていく。想像力のある人ほど、画面の向こう側の死、に自分を責めていく。

「引き金を引いたのは、君ではない、コンテナにいた全員だ」責任を、個人ではなく組織全体に薄めることによって、上官は兵士たちの自責の念を和らげようとする。

そう、これは組織と個人を描いた映画でもある。組織によって、いち個人が、力を持たされたとき、それを正義に使うのか悪に使うのか。

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さすがに、人を殺す力を与えられる人はなかなかいないだろうが、大きな予算、決定権、人事権……それらを、急に組織に与えられることは、現在の日本の日常でもままあることだ。
それらが、大きなものであればあるほど、その力を与えられた個人が、いかに麻痺せずにいられるか、が問われている気がする。もちろん、組織にではない、世界に、大げさに言えば、自分の神に問われているのである。

そして、組織の正しさと個人としての正しさは必ずしも一致しない。
組織にとっての正義が、自分にとっての正義と相反するとき、どうするのか。
昇進といった目先の利益を提示され、それが自分の正義を放棄したことの代償に得られるものだった場合、どうするのか。

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見えない誰かに殺される、という想像を絶する恐怖を描く映画でもある。
でも、主人公の行動は、ほんの少しの希望も与えてくれる。僕らは見えない誰かに救われていることもあるかもしれないのだ、と。

(文:霜田明寛)

■関連リンク
『ドローン・オブ・ウォー』(原題:GOOD KILL)
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10月1日(木)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー
公式サイト: www.drone-of-war.com
配給:ブロードメディア・スタジオ
©2014 CLEAR SKIES NEVADA,LLC ALL RIGHTS RESERVED.
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監督/製作/脚本:アンドリュー・ニコル 『ガタカ』『TIME/タイム』
製作:ニコラス・シャルティエ 『ハート・ロッカー』
出演:イーサン・ホーク 『6才のボクが、大人になるまで。』
ブルース・グリーンウッド ゾーイ・クラヴィッツ他
【STORY】
アメリカ空軍のトミー・イーガン少佐の赴任地はアジアでも中東でもない。
ラスベガスの基地に設置されたコンテナ内で無人機ドローンを遠隔操作し、1万キロ余りも離れた異国でのミッションを遂行している。クリックひとつでミサイルを発射する爆撃は、まるでゲームのように現実感が欠落しているのだ。
一日の任務を終えると、車でラスベガスのきらびやかな歓楽街を通り抜けて、整然と区画された住宅街のマイホームへ帰り、美しい妻モリーとふたりの幼い子供との生活に舞い戻る。繰り返されるこの毎日がトミーの日常であり、異常な現代の戦争の姿だった。

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