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「毛を剃ることに上から目線になりたくない」青春剃毛映画『スイートプールサイド』松居大悟監督インタビュー

毛深い女子と、毛の生えてこない男子。女子は男子に「私の毛を剃ってくれない!?」と頼み、2人の秘密の関係が始まる……。『惡の華』で知られる漫画家・押見修造の初期作品がまさかの実写映画化! 脚本・監督を担当するのは『アフロ田中』『自分の事ばかりで情けなくなるよ』などで、注目を集める28歳の俊英・松居大悟。この一見特異な設定を、普遍的な青春映画に昇華させた。物語の軸は“剃毛”なのに、なぜだか青春の悶々を思い出して泣けてくる……! この傑作を完成させた松居監督に話を聞いた。

――男子が女子の毛を剃るという設定だけ切り取ると、刺激的な題材ですよね。この原作を映画にする上で気遣った部分はありますか?

毛を剃るということに上から目線になりたくなかったんですよね。フェチというより、普遍的なコンプレックスの話を撮りたかったんです。押見先生の作品って、自分の身の回りの世界に切実な高校生の目線に寄り添っているところが、とても共感できるんですよね。遠くの国で起こっている戦争よりも、自分の毛の問題の方が一大事な時代って誰にでもあるはずで。そういう時代を笑い飛ばしたくなかったんです」

――松田翔太さん演じる主人公の兄の目線も含め、監督の青春時代への温かい気持ちが、作中に溢れていたように感じました。原作は2004年ということで、当時、監督は高校を卒業されたばかりですが、当時の高校生としての目線や体験も反映されているのでは、という気がしました。

「正直、脚本を書くのは毎回辛いんですが、今回はどんどんと発想が溢れ出てきましたね。主人公の太田の毛の周到な隠し方は、僕の実家でのエロ本の隠し方です(笑)。あと、太田がベットの上で、ヒロインの綾子のことを思いながら「太田綾子ぉー!!」って叫びながら悶えてる場面がありますよね。好きな女のコの名前を自分の苗字にあてがって叫ぶというのも僕の過去の経験からきてますね。ただ、そのせいなのか、今、この作品がダメだったらクリエイターとして終わるな、という危機感も持っています」

――クリエイターとして終わる……ですか?

「大学時代から自分の劇団で舞台をやっていたので、お客さんに気を遣ってしまう創作をしてきたんですよね。こうすればウケるかなと思って調整してしまったり。でも、今回は自分の感性を丸裸にしてつくったので、それが理解されなかったら……。多くの人に届いてほしいです」

――青春の悶々をちゃんと経験した人には、絶対に届いていると思います。特に、原作にはなかった、主人公が剃った後のヒロインの毛を持ち帰って食べるというシーンが、青春の衝動的な輝きとしてごく自然に入ってきて、突飛な行動ですが、感動すら感じました。

「あのシーンは、“好き”の感情が“恥ずかしい”を超えた瞬間なんですよね」

――“好き”が“恥ずかしい”を超えるとはどういうことでしょうか?

「好きだという本能と、それを抑えこもうとする理性のエネルギーとのぶつかりあいってあると思うんです。その、ぶつかりあいが起こり続けて、結果、本能がこぼれだしたとき、その、こぼれた本能ってすごく美しいと思うんですよね」

周囲の目を気にしての恥ずかしさとか、悶々として好きな人のことを考えている時間とか、そういうハタから見たら何も変化は起きてないようなグチャグチャしたところに、キラキラは溢れている。そんなグチャグチャの中から、すっと、キラキラをすくい取って見せてくれた松居監督。

“キラキラっぽいもの”をそのまま突きつけてくる青春映画の溢れる中、そんな作品たちに埋もれてしまうのはもったいない快作となっている。

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(松居大悟監督)

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■「スイートプールサイド」作品情報

監督・脚本:松居大悟

音楽:HAKASE-SUN

原作:押見修造「スイートプールサイド」(講談社刊)

出演:須賀健太、刈谷友衣子、落合モトキ、荒井萌、太賀、井之脇海、谷村美月、木下隆行、利重剛 / 松田翔太

配給:松竹メディア事業部

制作プロダクション:松竹撮影所

公式サイト:http://sweetpoolside.jp/

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タイトル:『スイートプールサイド』

全国公開中

(C)2014松竹株式会社

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