ー3カ月前、童貞を捨てた。思ったほど、世界は変わらなかったー
チェリーについて

福原充則『秘密の花園』で“芸劇おっぱい”吸い尽くし宣言 そのままの形では返さない?

唐十郎の戯曲を演出

“永遠のオトナ童貞のための文化系マガジン・チェリー”で連載中の福原充則さん演出の舞台『秘密の花園』が1月13(土)から、2月4日(日)まで東京芸術劇場シアターイーストで上演されている。

(c) 田中亜紀

こちらは、現代演劇のルーツといえるアングラ世代の戯曲を、気鋭の演出家が大胆に読み直す、東京芸術劇場“RooTS”シリーズのひとつ。
これまで三浦大輔がつかこうへい作品(『ストリッパー物語』)、『マームとジプシー』の藤田貴大が寺山修司作品(『書を捨てよ町へ出よう』)を演出するといった組み合わせが続き、今回はその第5弾として、福原充則さんが唐十郎作品『秘密の花園』を演出した。

1982年に書き下ろされ、これまで多くの演出家によって再演されてきた戯曲に、福原さんはどう対峙したのか? “永遠のオトナ童貞のための文化系マガジン・チェリー”では、初日の上演終了直後に、編集長の霜田が福原さんを直撃。話を聞いた。
難解とも言われるこの戯曲に関して、チェリー読者用の語彙を使って説明してくれた福原さんとの対話の様子を動画と文章でお届けする。

(※以下の文章は、動画の内容の一部と、動画には入り切らなかった内容をテキスト化したものです。あわせてお楽しみください)

好きなものをやることは怖いこと

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――今回、東京芸術劇場“RooTS”シリーズをやることになって、福原さんご自身が、この『秘密の花園』を選んだと伺いました。

福原「好きなものを、ただやる、ということにいつも罪悪感があったんですよね。裏切られたら嫌だな、というか。1番好きな子に裏切られたら怖いから、3番目に手を出す……みたいなことしてきて。そんな人生に辟易としてきたので、芝居も女も1番好きなものに素直に夢中になろうっていうのが、ここ最近のテーマだったんです(笑)」

初日終演後の唐十郎とのやり取り

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――唐十郎さんも見にこられていましたが、初日公演を終えての福原さんの実感としてはいかがですか?

「唐さんには『よかったよ』と言ってもらえて、ありがたかったです。深いお話は出来なかったので、まあ、好きな女性のケツに手の甲で触った……くらいの感じですかね。僕は徐々に徐々にのタイプなんで、次は手のひらで胸に……みたいな感じで近づいていければなと思います(笑)。ちょっと、(唐さんを)こういういじり方していいのかわからず、舌蜂鈍ってしまってすみません……」

時代を経ても変わらない“好き”の狂気

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――いえいえ、チェリーに向けた表現を使っていただいてありがとうございます(笑)。もともとは1982年に書き下ろされた戯曲なわけですが、2018年にやってみて感じたことはありましたか?

人が人を好きになるときの、狂気をはらんでいく感じっていうのは、実は時代を経ても、変わらないんですよね。基本は、惚れた腫れたの話なので」

(c) 田中亜紀

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――脚本も変えずに上演されてるんですよね。

「そもそも戯曲に対して“変える”っていうのがよくわからないんですよね。『演出家って戯曲変えていいんだっけ?』って思うところがちょっとあって。じゃあ、自分で書けよと思っちゃう(笑)。変えなくても演出で面白くできると信じてるんです」

戯曲を変えなくても面白くできると感じたキッカケ

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――それって、そう思ったきっかけがあったんですか?

「親族代表っていうコントユニットで、作家さんから提供されたコント台本で上演する、っていうスタイルだったんです。そのときにメンバーの野間口徹さんが、1字1句変えようとしないんですよ。正直、“笑い”って難しいから変えたくなるし、一言変えるだけで簡単に笑いの量が増えるのにな、って思うこともあったんです。でも、それでも変えずに、例えば“30秒のシーンを1カ月”くらいの感じで、延々と稽古をし続けていくと、びっくりするような答が出ることがあるんです。『ここを半間空けると笑えるんだ』みたいなことにようやく気づけたりするんですよね。そのときの経験で、戯曲をいじらなくても演出でどうにかなる、役者の演じ方で面白くなるって思ってるんですよね」

結果だけ踏襲せず、過程を踏む

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――それでは演出の話も伺えればと思います。初演は小林勝也さん演出のものですが、参考というか、考える材料にしたりはしたのでしょうか?

「『なぜ初演はこんな風に演出したんだろう?』と考えることはしましたね。でも、結果だけおいしくいただかない、ということは意識的にしています。自分たちも稽古場で過程を踏むというか、色々試したりして、その結果たどり着いたゴールが一緒だ、と感じたら初演を踏襲した部分もありますね」

今回限りの“芸劇おっぱい”を吸い尽くす

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――水を使った演出もすごいですね。

(c) 田中亜紀

「元がそういう芝居なんで、最低限やらなきゃいけないな、と。まあ僕よりもスタッフさんと、劇場さん側の決断のほうが大変ですよね。それでも、いきなりワケのわからない人がやってきて『水使わせてくれ』って言ってもダメだと思うので。今までずっと自分が頑張ってきたことを認めてくださって、ご褒美をもらえたのかな、と思っています」

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――福原さんのこれまで築いてきた信頼が東京芸術劇場を動かした、と。

「まあ、長年仲いい女のコに『いい加減おっぱいくらい触っていいよ』と言われた感じですかね(笑)。芸劇がポロンと『ここまでならいいよ♡』って。でもそういうときって、だいたい次もいいのかなと思って触ろうとすると、怒られたりするじゃないですか。だから、今回だけの“芸劇おっぱい”だと思って吸いつくそうと思います。そのままの形でお返しするつもりはありません(笑)

あえて取らなかったコミュニケーション

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――キャストの皆さんのお話も伺えればと思います。稽古場はどういう雰囲気だったのでしょうか?

「今回、近年稀にみるくらい、コミュニケーションは取らずに作っているんですよね。深くコミュニケーションを取る前に、言わなくてもわかってもらっている感覚があって。そのコミュニケーションの無さを楽しんだところがありましたね。いっぱい話をして気持ちが繋がる人もいいけど、『こいつとは話さなくても伝わる』っていうときのエロさってあるじゃないですか。いやもちろん、エロさで作ったわけじゃないですけどね(笑)」

人に好かれることはパワーを使う

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――あの田口トモロヲさんも出演されています。

「トモロヲさんのことは、もう何十年も……30年くらい好きですからね。でもトモロヲさんも大変だなと思いました。俺みたいな奴がみんなトモロヲさんのことを好きで、それを引き受けてきたわけじゃないですか。人に好かれるってパワー使うと思うんですよね」

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――ちなみに福原さんとトモロヲさんが初めて会ったときはどんな感じだったんですか?

「『鉄男』(※)に影響を受けていて、『好きです』という話をしたら、トモロヲさんが『まあ、見てる奴と見てない奴がいるからね。見てる方ね、君は』って言われて。まあ、当たり前なんですけど、それを『仲間ね』って言われていると解釈して嬉しくなってましたね(笑)」

(編集部注
※鉄男:1989年に公開された塚本晋也監督・田口トモロヲ主演の映画

恋愛で鬱屈している人たちへ

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――きっと、今後チェリーの読者たちは、そういうテンションで、福原さんにいくことになると思いますのでよろしくお願いします!

「パワー使うほどに好かれたいな、と思います(笑)」

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――最後にチェリーの読者に向けた、『秘密の花園』への誘いをよろしくお願いします。

「チェリーを見ている人たちは、基本、恋愛とかで鬱屈している人たちだと思ってるんですけど(笑)。『秘密の花園』は、その鬱屈が爆発する話なんですよね。わかりづらい戯曲だと言われていますが、チェリーを見ている人たちにとっては『何がわかりづらいの?』というくらいに、入ってくると思います。僕も好きな、モテない男の妄想の話だと思っているので、そういうつもりで観にきていただけると、ものすごく共感できると思います」

(取材・文:霜田明寛)

<関連情報>
秘密の花園:1月13(土)~2月4日(日) 東京芸術劇場シアターイースト
http://www.geigeki.jp/performance/theater153/

Photo Credit:(c) 田中亜紀
【東京芸術劇場ボックスオフィス】
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