ー3カ月前、童貞を捨てた。思ったほど、世界は変わらなかったー
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実写版シンデレラ公開!全日本男子は王子を見習え!

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この季節、特によく見られる嫌いな男、というのがあります。
それが、肩書きとか自分のいる地位に頼ってモテようとする男、なんですけど。

例えば、明らかに自分は1・2年目で、会社では活躍してなさそうな感じなのに就活中の女子大生にOB訪問を受けて、ドヤ顔で話をし続けている男。

大手商社に入社してすぐに合コンをしまくり、「●億の石油を売っている」などと、数字だけ規模が大きいけど、全く面白くない話をしている中身の無い男。

肩書きだけじゃなくて、お金に頼ってモテようとする男も近いものがあります。
こないだ、あるミスキャンパスのコが、ネオヒルズ族の社長に飲み会の帰りにこう誘われたそうです。
「バッグ買うけどウチくる?」

その“けど”は順接なのか逆説なのか、日本語の意味からして危ういですけれども、やはり金や肩書きにものをいわせて女を抱こうとする男たちは多いワケです。
ちなみにそのミスキャンは「もし、そのバッグがエルメスのバーキンだったら……」と一瞬よぎったらしいのですが、そこはさすがに断って帰ったらしいです。

けしからん男たちではありますが、ただ逆に、男たちも幸せでウハウハなのかというと、実はそういうワケでもないのです。
そういうワケでもない理由は、そんな男たちに、集まってくる女たちの質に起因します。もちろん美人も多いでしょう。ですがそういう基準での質の話でありません。

そのミスキャンは、自分の周りで、ネオヒルズ族のバッグ戦術にひっかかった女の話をしながらこう言いました。
「やっぱり、そうやって肩書きを誇示する男には、肩書きが好きな女がやってくるんですよ」

そして、こういう女たちは、その男が肩書きを失ったあと、もしくは、一度そういう男とつきあってみるという女子同士のゲームに勝利し、周囲に誇示する期間を一通り楽しんだあとに、すぐに離れていくわけです。

そんな話を聞きながら、ある有名ブランドを自分ひとりでたちあげ、大きくした男性社長のことを思い出しました。その方と飲んでいたときに、アラサーの美人彼女を紹介して頂いたのですが、その女性がトイレにたった瞬間「あいつが俺の何を好きなのかわかんないんだけど、どこだと思う?」と聞かれたのです。

自分がステップアップし、肩書きを得ていくごとに、自分のどこを見て好きと言われているのかわからなくなるという不安。ステップアップしているはずなのに、なぜか不安は大きくなっていく。
これは、“持っている男”特有のもので、そうすると彼らは、何も持っていなかった時代、学生時代の頃の恋愛を懐かしく思い出したりするのです。

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さて、そんな春の風吹き荒れる中、4月25日(土)に公開される、実写版映画『シンデレラ』を観てきました。基本的には、童話・シンデレラに沿ったストーリーなので、十数年ぶりにあのお話に触れたわけですが、ひとつ感じたことがあります。

シンデレラストーリー、なんていう言葉があるように、今までシンデレラは“選ばれた女子の話”だと思っていたのですが、これは実は“見る目があった男の話”なのではないかと。もう少し言うと、見る目があった金持ち男の話、なんですけどね。
そう、『シンデレラ』は、自分の権力と金に群がってくる無数の女の中から、ちゃんと愛してくれる女性を見つけられた男の話なのです。。

舞踏会に出て、少しでも王子の気をひこうとする女たちは、『年収●万円以上じゃないとイヤ』などと言いながら婚活パーティーに足をはこぶ現代の女性たちにも被ってみえてきます。
CINDERELLA
そして国中の女たちが、ガラスの靴を無理やりにも履こうとする中で、そんな人たちには目もくれず、シンデレラを見つけ、プロポーズする。きっとその後も2人は幸せに暮らしていくことが予想されるわけですが、なぜ彼はそんなことができたのでしょうか。

まず、王子はシンデレラに対して、自分を「王の見習い」だという自己紹介をします。これは絶妙にウソではないラインでありながら、自分の肩書きを見せびらかして誇示しないという素晴らしい自己紹介です。

そしてそもそも、王子は「王子扱いされたくない」と言い、肩書きで見られることに疲れていることがわかります。

この王子の肩書き毛嫌い具合、自分の名前より先に会社名を言う大手商社の男たちに、王子の爪の垢を煎じて飲ませたいレベルです。
CINDERELLA
そして、そんなスタンスでいる王子には、素晴らしい出会い方がやってきます。王子とシンデレラの出会いの最大のポイントは、
“王子様だと知らずに好きになった男が王子様だった”という点です。

シンデレラはその男を王子だと意識せずにひかれ、たまたま、その男が“王子”という肩書き“も”持っていたのです。

そう、ですから、肩書きを得るなと言っているわけではありません。
1番男としてカッコイイのは、肩書きを得た後に、それを隠して女性と接することなのです。
それで出会い、恋に落ちたならきっと、ありのままの自分を好きになってもらえたということでしょう。

王子はシンデレラと2人のシーンでこんなことを言います。
「ありのままの僕だ」

昨年の『アナと雪の女王』の大ヒット以降、「ありのまま」という言葉が消費されすぎ、またひとり歩きしすぎてしまった感があります。が、そのブームのあと、1年たってディズニーがやったのは、シンデレラという王道ストーリーを新たな装いで復活させ、そこに「ありのまま」というメッセージを再びこめることでした。

王子を見て思いました。
ありのままとは、肩書きやお金を得てしまったあとも、自分の感覚を麻痺させないでいることなのではないか、と。

(文:霜田明寛)

シンデレラ © 2015 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
4月25日(土)全国公開

ウォルト・ディズニー・ジャパン公式サイト

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