6月20日から公開の映画『極道大戦争』。
噛みついた人間がヤクザ化してしまう “ヤクザヴァンパイア”の主人公(市原隼人さん)を支える、謎の居酒屋店主という役柄を演じたでんでんさん。
今回は、威勢が良くも、つかみどころのない人物像で、ごった煮な三池ワールドにコメディの色を入れました。
公開前の試写会では多くの女子高生から大絶賛を受けたという『極道大戦争』。
広い世代に「こんな映画みたことない!」と衝撃を与えることは間違いなさそうです。特に公開後の若い人の反応も気になるところ。
前回のでんでんさんへのインタビューでは、本作の見どころやお芝居への考え方の部分をお伺いしましたが、今回は役者になる前の会社員時代のお話や、若い人へのメッセージをお伺いしました。
でんでん、会社員時代は30分前出社!?
――役者やお笑い芸人になられる前は、なんと、大手百貨店・丸井で会社員をされていたそうですが、どんな会社員生活だったんですか?
役者になりたかったから、高校卒業して渥美清さんのとこ行ったんだけど、弟子入りが叶わなくて、これからどうしようかと思ってたんだよ。
そしたら遠い親戚で丸井に勤めている人がいて、その人のツテで、夏場にあった就職試験を受けたんだよね。
入社した後も同じ代の人より、半年くらいの遅れがあったから、出勤時間の30分、40分早く入って自分で店頭のガラスを磨いたりしましたね。
点数稼いでてさ、今考えるときっといやなやつだったんだよ(笑)。
当時は「ファッションとインテリアの丸井」ってキャッチコピーだったんで、社内でも「ファッションの第一歩はネクタイだ!」ってなぜかネクタイを売るのが提唱されててね。
結果ださないと商品部が品物をくれなくて、売上げが上がらないから、まずうちの店長に「いま水玉が流行ってますから」って朝礼でネクタイ売ったんだよ。
そしたら店長が「俺も買うからみんな買えって」って言い出して、店内だけで売り上げ目標達成したり(笑)。
商品部に「そんなに売れるかよ!」って言われたけど、「売りますから!」って宣言したりして。
結局約束守ったからどんどん商品を回してくれるようになったんだよね。
いつもボーナス前の査定は、自分と同じ階級の中では1位か2位だったかなあ。あっこれは自慢話になっちゃうから書かなくていいです(笑)。
――すいません、素敵すぎるお話なので入れさせてください……!
会社を辞めなきゃよかったと何度も思った
――楽しい会社員生活だったんですね。
うん、 結局4年いちゃった(笑)。
本当は役者になりたかったから「いつ辞めよう……いつ辞めよう……」って思ってたんだけどね。
当時はいまみたいに仕事辞めたら「人生終わり!」 みたいな空気じゃないから、みんな平気でやめてた記憶が。
でも辞めた後は辞めなきゃよかったって何度も思ったね。
後悔しすぎて、会社を辞めてない夢をみたりしたよ。いつも「あーよかった! 会社辞めてない!」って思ったところで目が覚めて(笑)。
――会社を退職後は何か役者以外でお仕事されたんですか?
劇団入って同じ研究生と一緒にちりがみ交換とかはしたなあ。
その頃は若いから夢と希望にやや燃えてて(笑)。すぐしぼんだんだけどね(笑)。
一生に一度の人生なんだから、「やりたいこと」にしがみつけ!
――役者になりたいと思ったのいつ頃なんですか?
小学生のころだね……当時はみんなテレビでクレイジーキャッツを観て、げらげら笑ってたんだよ。
その時に俺は笑う側じゃなくて、笑わせる側になりたいって思ったんだ。
でもみんなも本当になりたい夢は、漠然と小学校の頃に思い描くんじゃないかな。
小学校の時に先生に「将来なりたいもの」とか書かされるじゃない? まあ、その時に役者とはあえて書いてないけど(笑)。
――役者になりたいと思っている若い人や、いまは会社員をしているけれど、実はそれ以外の夢を持っている若い人も多くいらっしゃると思うのですが、そんな方々に向けてメッセージをお願いします。
一生に一度の人生なんだから、好きなことやりなよ。しがみついてなよ、そのうちなんとかなるから。俺なんか30からはじめたんだし(笑)。
あとは相反するんだけど、そんなに役者は魅力的な仕事じゃないぞって伝えたいね。
あ、役者の仕事がどうとかではなく、他にもすてきな仕事がいっぱいあるよって意味だよ。
――「しがみついてなよ、そのうちなんとかなるよ」というお言葉はご自身の経験からきているのですか?
ぶっちゃけて言うと、他にやることもなくなっちゃったからね(笑)。
40や50も過ぎちゃって、アッという間に歳くって、こんな年齢まで来ちゃった。
まあそうは言っても、そんなことでも一生懸命やることが大変なんだけどね。
三日坊主という言葉もあるけれど・・・(笑)。
とにかく、何か「これだ!」って思えるものみつけなよ。
――ありがとうございます!
サラリーマン時代、夢を忘れなくとも仕事でしっかり結果を出していたでんでんさん。
人としての型を人一倍、固めたからこそ誰にも真似できない、型破りなお芝居ができるのではないでしょうか。
また、本作のスピンオフアニメ『極道酒場でんでん~極道大戦争外伝~』ではデフォルメされた、でんでんさんが大暴れしているとのこと。こちらも見逃せません……!
型を破るどころか、日本映画の概念をぶっ壊すムービー『極道大戦争』は6月20日から公開です!
(取材:霜田明寛 小峰克彦 文:小峰克彦)
【作品情報】
『極道大戦争』
6 月20 日(土) TOHOシネマズ 新宿 ほか全国ロードショー!
(C) 2015「極道大戦争」製作委員会
監督/三池崇史
脚本/山口義高
出演/市原隼人、成海璃子、リリー・フランキー、高島礼子、
渋川清彦、優希美青、ピエール瀧、でんでん、ヤヤン・ルヒアン
配給・宣伝/日活