「チンポ!」と叫ぶと、小学校の教室ではつまみ出されます。では、芸大生が「チンポ」と言ったらどうでしょうか。もしかしたら、アートとみなされるかもしれません。まあ、言ったらさすがにマズいかもしれませんが、石膏で性器を作り続ける人たちはアーティストと呼ばれます。
現在YouTube上で話題になっている、「ポチン」という生き物たちのアニメーションムービー『ムケチン』。その後、映像監督として活躍する芸大生の卒業制作として創られたもので、しかも、目的は「性教育の在り方に一石を投じるため」と言われるとなんだか崇高なものに見えてきませんか……?
ムケチン
『ムケチン』とは、ポチンワールドに住むポチン(という架空の生き物)たちの物語。主人公はこちらのムケチンです。可愛いわんちゃんに見えるけれどよく見ると……?
ちなみに、“ムケている”ムケチンの友人には“カムっている”カムチンがいたりとキャラクターも多彩です。
シリーズものになっているこちらのアニメは、一編あたり1分~2分半程度にまとめられているのですが、個人的におすすめといいますか、特に性教育的なのは第8話の「ムケチンのふあん」です。
仲間の元へ現れたムケチンが、「僕なんだかとってもムラムラするんだチン」「なんだかへんなくしゃみが出るし、これって病気なのかなあ」と不安をもらす回です。
これがその「変なくしゃみ」。白いものが出てしまっていますね。これは一体……?
完全に顔にかかってしまっているけれど、みんなは特に怒る様子もありません。
そこに現れた長老的な「ムケじい」。
「それはな、ムケチン。みんなだれしもが出るものなんじゃ」
と諭します。するとピンクのリボンをしたカマチンが
「わたしの場合、床に腰を押し付けていたときによく出るの!」
と、さらっとイケない知識を披露。
他のポチンたちも各々のくしゃみについて話をしてくれて、ムケチンも一安心するというお話です。白いものがなんなのかは、あえてここでは言語化しませんが、愛くるしいキャラクターたちと、表現している内容の過激さのギャップが素敵です。
そしてアニメーション内に流れるゆる~い空気も魅力。ちぐはぐなように見えてなぜかしっくりきてしまう、本当に不思議アニメーションなので、つい何度も再生ボタンを押してしまうのです。
それにしても、卒業制作という、特にお金が儲かるわけではない(むしろ赤字)ものにおいて、これだけのものを作るのは相当な想いが根底にあるはず……!
制作した、麻王監督は1988年神奈川県横浜市生まれ。2012年に東京藝術大学美術学部デザイン科を卒業し、今は映像監督として活躍するアーティストです。ということで、次回は、この麻王さんに直撃インタビュー! ムケチン制作の裏話を聞いていきます!
(文:ノリコ・ニョキニョキ)
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そしてついにムケチンのLINEスタンプが発売! LINEの審査を突破するためか「チン」の文字はありません。