グランプリに選ばれたのは、ミス立教大学の鎌田あゆみさん。3年生ということもあり、将来について聞かれると「今は就職活動でいっぱいいっぱいなので、先の目標はまだわかりません」と語った。
さて、ミスキャンパスというとアナウンサー志望者の登竜門、というイメージ。実際、ミスキャンパス出身のアナウンサーを挙げると、テレビ朝日の竹内由恵アナ、久冨慶子アナ、TBSの田中みな実アナなど、枚挙にいとまがない。
ただ、今回のミスオブミス2013のファイナリスト10人に、将来の目標をアンケート調査したところ「アナウンサー」と明言したのは、なんと10人中2 人。もちろん、ミス中央大学の2年生・西澤由夏さんのように「アナウンサーになるならミスコンに出たほうがいい、と友人に勧められて出場した」という王道 パターンもあるものの、思ったよりも少なめ!?
今回の出場者は、10人中8人が1・2年生。まだ就活も遠く、将来を明確に考える時期ではない、という状況も考慮はできるものの、ミスコン出場者の傾向が、以前と比べて変わりつつあるのだろうか!?
そこで、直接、真意を聞いてみると……ミス獨協大学の1年生・黒川璃々子さんは「人に見られる仕事はしたい」と、アナウンサーも含め、幅広く考えている様 子。また、ミス横浜国立大学の2年生・吉田仁美さんは「小学4年生の時から、アナウンサーになりたかったです。もちろん、諦めたわけではありませんが、今 は現実のハードルの高さを知って『お嫁さん』って言っています」との答え。そんな彼女たちの答えからは、「アナウンサーになりたい!」と堂々と宣言するこ とに対する遠慮も感じられた。
なぜ、このように、彼女たちの中に、自分の夢を公言しない空気が醸成されつつあるのだろうか?「夢はかなう!」と歌うJPOPに溢れ、「夢にきらめけ!」と熱血教師が煽るドラマの流行る時代に、多感な中高時代を過ごしてきたはずなのに!?
そこで、さらに話を聞いてみると、TwitterやFacebookなどのSNSの普及で、他者の目線に敏感になっていることに加え、意外にも、自分に自 信を持てないミスたちが増えているという傾向が。ファイナリスト10人に「自信はありますか?」と聞いたところ、「ある」との答えはゼロ。ただ、「ミスコ ンに出ることでついてきた」という条件付きの答えは、過半数を越えた。
例えば、ミス実践女子大学の1年生・山形純菜さんは、ミスコンに出た理由を「自分に自信が欲しかったから」と語る。ミスコンを終えた今「ほんの少しだけ自信はついて、最初は人前でうまく笑えなかったのが、今は自然に笑えるようになりました」とのこと。
ミス同志社女子大学の3年生・木村美和子さんの「今、こうして東京の大会にいられることが奇跡だと思っていて。でも、今回のミスコンを経て、自信が 0.1%は増えたかも」という発言からもわかるように、あくまでも彼女たちは、ミスコンに出たことで舞い上がることなく、謙虚に語り続けた。
それぞれの大学でのミスコンを終えた後に、さらに頂点を決める大会へ出場するという稀有な経験をした、若きミスたち。今回の経験で、少しでも自分に自信がついたことで、アナウンサーに限らず、望む方向に人生を展開させてくれることを願ってやまない。
(文・霜田明寛)