全裸の生田斗真が車のボンネットの上にくくりつけられ、開脚させられている。股間には紙が1枚張りついているのみ。2月15日(土)より公開の映画『土竜(モグラ)の唄 潜入捜査官 REIJI』の冒頭のシーンである。
生田斗真演じる警察官・菊川玲二が潜入捜査官(モグラ)になって犯罪組織に潜り込む、というスト-リーのこの映画。この冒頭のシーンに加え、玲二の設定が童貞であるとわかった瞬間、確信した。
これは、ジャニーズが役者としてひと皮むけるタイプの作品だ……!
生田斗真はもちろんのこと、容姿端麗のジャニーズ事務所のタレントが女性経験のない童貞役、と聞くとしっくりこない人も多いかもしれない。だが、10年ほど前から現在に至るまで、ジャニーズが童貞を演じる例は多く存在する。
例えば、2002年に放映されたドラマ『木更津キャッツアイ』では、嵐の櫻井翔が童貞役を演じている。また、その翌年に山下智久と嵐の二宮和也が出演したドラマ『Stand Up!!』は、童貞の高校生達が結束し『純潔保存会』というグループを結成するというものだ。
いずれのドラマも高視聴率ではなかったものの、根強いファンを持つ作品に。特に、当時デビューはしていたものの大ブレイクには至っていなかった嵐のメンバー2人にとっては、ファン層が広がるきっかけともなった。
さらに、現在TBS系列にて放送中の深夜ドラマ『ダークシステム 恋の王座決定戦』ではHey! Say! JUMPの八乙女光がドラマ初主演。明確に童貞とはうたっていないものの、モテない男役の設定だ。好きな女の子を親友にとられてしまったがために、盗聴機能のついたマシーンを作って親友の部屋に置く、というきわどい役を爽やかに演じ、新境地を開拓している。
これらの“ジャニーズの演じる童貞役”はリアルな気持ち悪さがないため、女性としては楽しく“ファンタジーとしての童貞世界”を楽しめる。また、男性にとっては、ジャニーズタレントを身近に感じ、共感を抱くキッカケにもなる。
中でも文化系の男子にとっては、ジャニーズという雲の上の存在が、自分たちの近くまで“降りてきた”感覚を味わえる。鑑賞後もその距離が縮まることはなく、このような傾向の作品が増えたことが、近年のジャニーズの男性ファン増加にも貢献している、と言えるのではないだろうか。
今回の『土竜の唄』は奇しくも『木更津キャッツアイ』と同じく、宮藤官九郎氏の脚本。宮藤お得意の童貞描写で、生田演じる玲二は、より男性に共感されやすいキャラクターに。少なくとも、多くの女性と関係を結ぶことが物語の主軸となる『人間失格』『源氏物語 千年の謎』といった過去の生田の主演映画よりも、かわいげのある姿が刻まれている。
特に、童貞脱出がかかった、世にもかっこよくないベットシーンは多くの男性が共感必至である。
かっこいい男が、かっこよくない姿をさらすとき。実は、それが一番かっこいいのだ。
映画『土竜の唄 潜入捜査官 REIJI』は2月15日より全国東宝系にて公開。
(文:霜田明寛)
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映画『土竜の唄 潜入捜査官 REIJI』公式サイト