明石家さんまにその才能を見出され、芸人として人気を博したジミー大西。その後、バラエティ番組の中で画の才能があることがわかり、岡本太郎にも画家になることを勧められ、転身したという異色の経歴の持ち主である。
今回、その半生が、明石家さんま企画・プロデュ-スによるNetflixオリジナルドラマ『Jimmy~アホみたいなホンマの話~』で描かれた。
ドラマの中では、色々な問題を抱える、童貞の日のジミー大西が、様々な人に囲まれ、芸人として、人として成長する様が描かれているが、その生き様に“永遠のオトナ童貞のための文化系マガジン・チェリー”は大きく共鳴。
人生の不幸が笑いに変わるとしたら、不幸でいつづけないといけないのか? 結婚したら男は落ち着かなくてはいけないのか? 54歳の人生の大先輩・ジミー大西さん御本人に会いに行き、人生の秘訣を教わった。
後輩にも敬語“腰を低くする”生き方
――ジミーさん、こうしてお目にかかると、腰の低さがすごいですよね。
ジミー「さんまさんに、若いときから『ジミーは後輩にも敬語を使ったほうがいい』って言われてきたんですよね。『自分を偉そうに見せたかったら使わなくてもいいけど、ラクな方を選べ』って。僕は腰を低くして生きてったほうがラクだなあと思って。後輩にもおごってもらえますしね」
――後輩にもおごってもらうんですか!
ジミー「ええ、だから今の僕は、先輩にもおごってもらえて、後輩にもおごってもらえるという素晴らしい状況です(笑)。だからNGK(なんばグランド花月)近くの喫茶店なんかにいると、だいたい誰か芸人が来ますから、来たら『おはようございます』って挨拶するだけでお金はいりません。ただ最近では、僕がお店の中に入ってるのを見つけると『おごらないといけなくなるから、入ったらあかん』と思って、通り過ぎて違う店に行く人もおるみたいですけどね(笑)」
――大人になっても、そうやってかわいがられていくのはジミーさんのすごい力ですよね。
ジミー「僕は今54歳なんですが、まださんまさんにお年玉もらってますからね(笑)。周りには『50過ぎてお年玉もらったらあかんで』って言われるんですけど……」
ええかげんに生きてたら、笑いにはならない
――『Jimmy〜』の第1話では、若き日のジミーさんが、さんまさんから、つらかった人生を笑いに変えろ、というアドバイスをもらうシーンが印象的でした。ただ、その後もジミーさんの人生は続いてきたわけですよね。あのあとも、つらいことがあっても笑いになるぞ、という強靭な精神で生きてこられたのですか?
ジミー「いやいや、もう、僕はみなさんと一緒で、つらいときはつらいですし、悲しいときは悲しむし、失敗したら落ち込みますよ。でもあの言葉を言われてから、一生懸命生きてれば、笑いになるんだ、ということは信じています。一生懸命生きているから、失敗も起こるし、それが笑いになる。ええかげんに生きてたら、笑いにもならないですから」
太陽を浴びていればなんとかなる
ジミー「今回、ドラマを通して僕の人生を客観的に見てみると、自分で感動もしました。でも、もちろん、その渦中で一生懸命に生きている時は、感動しているわけではないです。一生懸命生きている最中はわからないんですよ」
――つらいときは落ち込む、というのが超人にも見える明石家さんまさんとの差なのかもしれないですよね。ジミーさんは落ち込んだときはどう切り抜けてこられたのですか?
ジミー「まあ、でも太陽に当たってたら大丈夫なんですよ。ほんまにしんどいときでも、太陽の光を浴びていたら病みません。太陽を見ているうちに、悩みを忘れちゃうときもありますしね(笑)。謙虚に、一生懸命生きていて、太陽を浴びていたら、なんとなく、かわいらしい奴じゃないですか(笑)。誰かが笑いに変えてくれますし、大丈夫ですよ」
一生懸命生きてれば、誰かが笑いに変えてくれる
――ジミーさんの中では“自分で笑いに変える”というより“誰かが笑いに変えてくれる”という感覚なんですね。
ジミー「ええ、『お前は生きてさえいれば、どっかで面白いことがあるのに、それに自分で気づけへん奴や』とはよく言われますから。でも、誰かが笑いに変えてくれればいいんです。それに今はこれだけネットメディアやSNSもありますから。誰かが『ジミーがこんな変なことしよった』って気づいて載せてくれれば、それが笑いに変わっていきますからね。一生懸命生きていたら、そういうことが起こり続けていくだろうと信じてます」
――それこそ、このドラマ自体が“誰かが笑いに変えてくれた”最たるものですよね。
ジミー「ええ、そもそも僕が借金をしていて、さんまさんはそれを返させようという思いもあって、このドラマを企画したんだと思うんです。僕はコントしはるのかな、くらいの感覚でいたのですが、まさかこんなに大きなことになるとは思っていなくて。でもこのドラマを見て笑ってくれる人がいたら、それこそ、僕の一生懸命生きている姿が笑いに変わったということなので。人生の節目節目で、お笑いに助けられて生きてきたなあという感覚です」
“落ち着かない大人”でいつづける方法
――若き日のジミーさんをドラマで見て、今は落ち着いたなあと感じたりもしましたか?
ジミー「いやいや、まだ落ち着いてないですし、そもそも落ち着くという感覚がよくわからないんですよね。さんまさんも落ち着いてはないと思いますし、自分も落ち着いてないですから、このまま2人は平行線でずっと落ち着かないで生きていくのではないかと思います」
――僕らとしては、落ち着いてつまらない大人になってしまうよりも、ジミーさんたちのような落ち着かない大人に憧れるんですが、そうなる秘訣みたいなものはありますか?
ジミー「やっぱり、女性を好きでいつづけることじゃないですかね」
――ええっ、ジミーさんはご結婚もされてますが、それでも落ち着かずにいられるんですか?
ジミー「ああ、僕は風俗で恋をしていますから(笑)。ある風俗店には4枚も僕のサインがあるくらいです。奥さんも、風俗はどうぞ行ってください、というタイプなので」
性欲は発散し、太陽を浴びよう
――風俗で恋をして、奥さんには愛を注ぐ、というイメージなんでしょうか?
ジミー「いやいや、奥さんに対しては、愛とか恋とかそういう類のものではないですよね(笑)。2、3年も一緒にいれば、まずは恋みたいなものは落ち着きますよね。でも、その、2、3年が過ぎても、僕は頭の中は『セックス、セックス、セックス、女、女、女』って言葉ばっかりが渦巻いてますから。その欲を毎日ぶつけられても奥さんも嫌でしょう。だから僕は風俗に行くんです。僕の場合は海外に住んでいたこともあって、距離をおいていましたから、それもよかったとは思いますけどね。長続きの秘訣は距離を保ちながら、風俗に行くことです」
――とても勉強になります!
ジミー「性欲を溜め込んでても、イライラしてしまったり、ロクなことないですよ。スカッとしたあと、太陽をぼーっと見ていたら、気分がいいじゃないですか。そこに幸せがあるんですよ」
(取材・文:霜田明寛 写真:浅野まき)
■作品情報
「Jimmy~アホみたいなホンマの話~」(全 9 話)
Netflix にて全世界190 カ国独占配信中
企画・プロデュース 明石家さんま
中尾明慶 玉山鉄二
尾上寛之 六角慎司 宇野祥平 中村靖日 八十田勇一
・木南晴夏・中村育二・濱田マリ
生瀬勝久 手塚理美 温水洋一 池脇千鶴 / 佐藤浩市 /
山崎銀之丞 徳永えり 楊原京子 金井勇太
ジミー大西 明石家さんま
監督:光野道夫
脚本・脚本監修:大岩賞介 脚本:山浦雅大 麻倉圭司
主題歌:MISIA(アリオラジャパン)「最後の夜汽車」 作詞・作曲:甲斐よしひろ
制作プロダクション:共同テレビジョン
制作:吉本興業 製作:YD クリエイション In Association With Netflix
©2018YD クリエイション