チェリー誕生から6年。編集部平均年齢26歳で始めたこのサイトも、気づけばアラサーたちが運営するものに……。「童貞をひきずっている」というコンセプトで始め、その志は変わらないし、相変わらずひきずり続けてはいるものの、編集長の霜田に至っては37歳。このままアラフォーを迎えてはマズいのでは。「オトナ童貞」が「大人」になるための儀式、それはもしかして今まで考えることすら避け続けてきた「結婚」!?
そう考えた霜田と創設メンバーの小峰は、チェリー編集部内唯一の女性であり既婚者、2児の母でもある菱山に教えを請うことにした。
今回、議題に上がったのは「結婚後もお互いを男女として見られるか」問題について。実は最近、2年間同棲した彼女と「男女の関係」でいられなくなり別れた小峰。だとすると、末永く一緒にいることが前提の結婚生活は無理なのでは? と不安をこぼす……。
【編集部員プロフィール】
霜田(シモダ):1985年生まれ。一昨年結婚したがオトナ童貞性は健在。
菱山(ヒシヤマ):1991年生まれ。結婚8年目。双子の母。過去にビッチ女子大生を自称していた。
小峰(コミネ):1991年生まれ。現在未婚のオトナ童貞。
■長く一緒にいると、男女関係ではなくなってしまう悩み
小峰「実は最近、2年間同棲した彼女と別れてしまいまして」
霜田「それは辛い! 大変だったね……」
小峰「意外と傷はないのですが、お互い男女として見られなくなってしまったことが原因だったんです。だからむしろ友達に戻った感じで」
菱山「前を向いているのなら良かったです。それでも2年間の重みを癒すのは時間がかかると思います」
小峰「ありがとうございます。そこでふと不安になったのですが、たった2年で男女に見えない境地にたどり着いてしまうなんて、いわゆる“永遠に愛を誓う”結婚なんて僕には無理なんじゃないかと思ったんです。長く一緒にいることで、相手から男性として見られない、そして相手を女性として見られなくなることが怖い。そしてその先にはどちらかが不倫に走って傷つけあう未来もありそうで」
■子どもが小学生になると、不倫できる環境が整ってしまう!?
霜田「なるほど。たしかに長く男女関係でいられる夫婦の秘訣、知りたいですよね」
菱山「言われてみれば結婚歴が長い人ほど不倫で離婚というパターンが多い気がします。結婚して数年は、価値観の違いで離婚というパターンが多かったですが、そこを乗り越えた先の次なる壁は不倫。背景には夫婦間を異性として見られなくなる問題もあるかもしれません。
特に、子育てしている場合、子どもが小学生以上になってからの不倫が多いイメージはあります」
霜田「子どもの頃、お父さん・お母さんは性欲とか消えているものと思い込んでいたけど、やはりそうではないということでしょうか……」
菱山「子どもが小さいうちは時間的にも体力的にも余裕がない。子育て落ち着いて心に余裕が出てきた時、お互いを異性として見られなくなっていると外に目が向いてしまうのはありそうです」
小峰「菱山さんはお子さんが小学生ですが、実際、周囲で不倫の話は聞きます?」
菱山「自分の周りのコミュニティでは流石にないですが、取材などでよく聞くのは小学校の部活内保護者不倫」
霜田「気になりすぎるワード!!」
菱山「小学校には、野球やバスケ、サッカー、剣道などなど、保護者たちのボランティアが基本で運営されている部活があるんです」
小峰「ありましたね。小学校のミニバスとか、サッカー部。謎の一体感があるやつ」
菱山「コーチを父親、お手伝いを母親がしていることが多いので、必然的に他の子の異性の親と顔合わす機会が増えるんです。つまり、出会いがめちゃくちゃ増える」
霜田「環境が用意されてしまうんですね」
菱山「子どもが小さいうちはもし恋愛したいと思っても、そもそも異性と出会うコミュニティが少ない。だからわざわざマッチングアプリや合コンなどで積極的に不貞行為に及びにいくしかない。でも子どもが小学生になると、何もせずとも家が近くて大体の生活基準が同じような異性に出会えてしまう」
小峰「そうか、しかもそこに集うのは収入や居住地区といった恋愛の条件もすでにクリアした相手ですしね。それでコーチとして運動できるイケメンがいたら、そりゃ気になっちゃいますよね!」
■子育てを通して、自分の青春時代が繰り返される
霜田「小峰君、僕たちが学生時代に忌み嫌っていた“スポーツやっているだけでモテる奴”がまた現れるってことだよ」
小峰「でも霜田さん。ここは学校と同じなので、スポーツに興味無さそうな人に「いやあ~見ててもつまんないですよねえ」と近寄って親密になるパターンで、自分たちのポジションは守れます」
霜田「こっちもこっちで、同じ戦法をこすって地位を築いていくしかないね! それにしてもそんな近場で不倫って、絶対バレそうですけどね」
菱山「まずバレていますね(笑)。親が自分の部活を介してW不倫していて、自分は相手の同級生男子と気まずい、という子どもサイドの話も聞いたことがあります」
霜田「最悪の『ママレード・ボーイ』(※)だ!」
(※集英社『りぼん』で連載された吉住渉の少女漫画。高校生の主人公の両親がパートナーを交換して再婚し、子ども含め全員で同居するという設定。)
小峰「巻き込まれさえしなければ、ドラマとしてはめっちゃ面白そう」
菱山「子どもの小学校生活をサポートしていると、ある意味もう一度学生生活している気分になるんですよね。私も子どもを学校の部活に入れて、夫がコーチをしているので、そこのコミュニティがとても楽しい気持ちはわかります。ママ友同士で校庭見ながらおしゃべりして、校庭では運動している人がいて。私も子どもだけじゃなくて夫のことも見ている時ありますもん(笑)」
霜田「まるで部活中の彼氏を見ている女子じゃないですか!」
■相手を異性として見続けるため、自分も異性としてアピールし続ける
小峰「いやあ……やっぱりそういう現状を聞くと、ますます不倫しない・させない問題は高い壁に感じます。しかも菱山さんご夫婦にも環境が整ってしまっているってことですよね? 菱山さんは結婚8年目ですが、いまの状況に不安はないんですか?」
菱山「まったく。部活中も自分の子どもと夫しか見ていないですし。別に運動している夫がカッコイイ! とかいう感情ではなく、単純に好きな人のいつもと違う面が見えるのは、面白いですよね」
小峰「環境の変化によって相手の愛し方が変わるのは素敵すぎる。長く一緒にいる方を、異性として見るための努力や秘訣はありますか?」
菱山「まずは、こっちがちゃんと“彼女”としてのアピールをすることですかね。たとえば私の場合、夫婦でデートする時間を作ったり、夫がいる時は自分をキレイにしておいたり。服を買ったり、髪切ったりする時も『あなたのためにやってるよ』感をだしています。ウザいかもしれないけど(笑)。ちゃんと彼女として扱ってもらう。すると、相手もずっと“彼氏”としての関係を続けてくれる気がします」
霜田「自分が結婚して思ったけど、それを続けるってなかなかハードじゃないですか……?」
菱山「私、恋愛という行為そのものが好きなんですよ。だから夫ともずっと付き合っている延長。付き合っているのが楽しくて結婚したから、楽しいことを終わらせたくないんです」
■渡部さん夫婦が離婚しなかった理由
小峰「なるほど。でも“恋愛好き”って結構危うくないですか? それこそパートナー以外と不倫に走りそうですが……」
菱山「いまさら不倫で嫌な気持ちにさせたくないし、したくないってのはありますね。ここまで一緒に人生歩んできて、お互いの価値観をさらけ出して、幸せを作ってきたから」
霜田「不倫ごときに幸せを邪魔されたくないと」
菱山「だって不倫ってもし乗り越えてもマイナスからのスタートで、『この壁を乗り越えて良かった』ってなかなか思えないじゃないですか。たとえばすれ違いとか価値観の違いだったら話し合って乗り越えた先により良い夫婦関係になれるけど」
霜田「そう思うと、不倫したりされたりしても離婚していない夫婦とかものすごい精神力ですよね。こういう時に引き合いに出すのも申し訳ないですが、アンジャッシュの渡部さんとか……」
菱山「実際、不倫相手の方を全く大切にしていない感じもありましたし、夫婦にとってはもしかしたら“良い壁”だったのかもしれないですよね。世間的にはめちゃくちゃ叩かれたけど、妻に対しては逃げずに償い中ということなんでしょうね」
■より良い関係になることがゴールなら、夫婦喧嘩は必要
霜田「ちょっと気になったのですが、不倫に限らず夫婦で壁を乗り越えるための話し合いってどうしたらいいんですかね。お互い嫌だなと思うことは目を瞑って生活することもできるじゃないですか」
菱山「私は夫婦間でモヤモヤした時、『この先もモヤモヤし続けるな』と思うことは言っています。結婚生活では、お互い前を向くために生活や価値観を変えていくことは大切だと思うので。
でも、言ってスッキリすることをゴールにするのではなく、より良い関係になることをゴールにすべきだと思います。感情をぶつけるのではなく、提案ベースにすることで相手の意見も聞けるし」
■結婚生活を続けるために、自分を変える努力も必要
小峰「彼氏・彼女として変わらない部分は努力しながら、より良い関係になるために変わる努力もする。それを楽しめるかどうかが結婚生活を長く続けるコツな気がしてきました」
霜田「結婚しても全然変わらない人は、『いつまでも若い』と称されがちだけど、相手を大切にしていないという意味で、かっこよくないのかも」
小峰「変わらないことで自分の感性を守っている方いますけど、どこかで苦しそう。変わることで自分が大事にしていたものを失ってしまう怖さがあるのは、わからなくもないですが」
菱山「まあ、結婚すると女性の方が強制的に変わらなくてはならない場面が多いですからね。自分の中の気持ちなんて関係なく、名前から生活スタイルから仕事から住む場所まで。
“幸せ”のキラキラコーティングで蔑ろにされがちですが、たしかにそこに葛藤はあるんです。せめて結婚相手にはその本心の辛さはわかっていてほしい。だからこそ、男性も一緒に変わっていってほしいんですよね」
小峰「やはり環境によってアップデートは必要。そこから逃げてはいけませんね」
霜田「オトナ童貞も、童貞の気持ちのままでいいのではなく、童貞だったあの頃の気持ちを忘れないまま“オトナ”としてアップデートしていく、という意味ですからね。これからも変わり続けましょう!」