下半身問題から悩み相談にチェンジ
さて、3週にわたって「この世の問題について下半身を軸に紐解く」ということをテーマに書いてきたつもりでしたが、なぜかお問い合わせの方に悩み相談のメールが届いたので、今週はそれに答えたいと思います。
39歳・売れない役者 やめるべき?
メールをいただいたのは「39歳、男、役者」のMさんから。前置きが非常に長く、かつ私に気を使ったのか、下ネタが多用された自己紹介が続くのでそこはカットさせていただいて要点をまとめると、
「役者である」
「売れてない」
「自分は辞めようと思ってる」
「周りは辞めたらもったいないと言ってくれている」
「意見ください」
本名が書いてあったわけではないので、実際にどれくらい売れていないのかわかりませんでした。私の知り合いに、ほぼ毎週テレビで見かけるけども「売れてない」と悩んでいる人もいます。でもここでは、役者の仕事だけでは生活が出来ていない人と仮定して話を進めます。
そもそも世の中とうまく噛み合わなかった人が、噛み合いたいと願うことの矛盾
まぁ役者なんていうのは続けるだけなら簡単な仕事だと思うので、辞めたいと言い出すのは「売れる・売れない」の問題に関して悩んだ結果なことが多いです。
しかしいつも思うのですが、役者に限らず、そもそも世の中とうまく噛み合わないことで、映画、音楽、演劇、美術、ダンス等々の創作に興味を持った人間が、作り手になった途端に世の中に受け入れて欲しい、世の中と噛み合いたいと願うことは矛盾があるような気もします。
「世の中とうまく噛み合わないことで創作に興味をもった」という前提に異を唱える作り手もいるとは思うのですが、そういうタイプの方のことは私は詳しくないので、Mさんもそうだとしたら、あまり参考にならないことを言うかと思いますが続けます。
売れようが売れまいが続ける続けないとは関係ないことだと思います。
それでも売れないことを理由に辞めたいと思ったのなら、辞めた方がいいと思います。
世界は混沌としているようで、規則正しい
私なんぞから言えることは、この世界は混沌としているようで、規則正しい法則で動いているように思うのです。広大で複雑に思える宇宙も規則正しい原子や分子や電子や原子核や素粒子やらの積み重ねで出来ているわけで、人生も無限の選択肢と可能性があるようで、なんらかの法則に則って、粛々と進行していると思っています。
39才になるMさんにとって、今いる場所があなたの宇宙の立ち位置なんだと思います。ノーベル賞ものの大発見であなたの隠れた才能を見つけてくれる人でもいない限り。
どうせ地獄なら色々な地獄を
そして、人生はどうせ長い地獄だから、いろいろと種類の違う地獄を体験した方がまだやり過ごせると思います。「売れない役者地獄」だけがあと何十年も続くのはどう考えてもつらいので、「アラフォーからの中途採用難しい地獄」等の新しい地獄に移って、心機一転、苦しんだ方が健康的地獄ライフだと思います。世界は思った以上に広大な地獄が広がっています。「井の中地獄の蛙、大海地獄を知らず」じゃカッコ悪いですよね。
私も一応、脚本家・演出家という肩書きを十数年名乗っていますが、その実は細かい地獄を転々としているだけです。だからどっかの地獄でMさんとすれ違うこともあるでしょう。
あ、地獄巡りをしているうちに、あなたにとって希望を感じさせてくれるものが何なのか思い出す時が来るかもしれません。
それが「演じる」ということだったなら、今とは違う理由でもう1度、役者をやればいいかと思います。
(文:福原充則 イラスト:佐藤由紀奈)
チェリー編集部より
福原充則さんが脚本を担当し、
清野菜名さん、菊池亜希子さんらが出演するドラマ『まかない荘』、
メ~テレ・テレビ神奈川などでこの4月から放送中。
以下リンクよりGYAO!でも見ることができます!
http://gyao.yahoo.co.jp/p/01072/v00004/
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