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是枝裕和監督 カンヌ受賞も「根っこは変わらない」

『誰も知らない』『そして父になる』などで知られる是枝裕和監督が、最新作『万引き家族』で第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞。帰国し、羽田空港で記者会見をおこなった。

1995年に『幻の光』で映画監督としてデビューした是枝監督だが、もともとは早稲田大学卒業後、制作会社テレビマンユニオンに参加したテレビディレクター。環境庁のエリート官僚の自死を取材した『しかし…福祉切り捨ての時代に』(1991年/ギャラクシー賞優秀作品賞受賞)をはじめ、多くの良質なテレビドキュメンタリー作品を送り出している。

是枝監督は映画監督として評価を高めてからも、自分をテレビの側におき、テレビディレクターとして定義してきた。
しかし、今回受賞したのは、映画監督としての栄誉ある賞・カンヌ国際映画祭のパルムドール。さすがに、その感覚に変化や揺らぎはあったのかを尋ねると「変わらないですね」と即答。パルムドール受賞に「とても嬉しいですけど」と前置きした上で「根っこは変わりませんし、それが僕の強みでもあれば、もしかすると弱点かもしれませんけど」と自身を分析。

「基本的には今までと同じスタンスで、映画と、可能であればテレビにも関わっていければと思います」と自分の未来についても、控えめに、しかしながら強く語った。

また、カンヌではそのテレビディレクターとしての性質が災いして、公式上映後でのスタンディングオベーションを楽しめなかったというエピソードも。

「テレビディレクターの性なのかもしれませんが、基本的に観察してしまうので。公式上映のスタンディングオベーションで拍手をいただいていても、すぐに終わらないと『なんだこいつ、まだ拍手が欲しいのか?』と(自分に対して)思ってそうな人がいないか探してしまうんですよね」と語り、笑いを誘った。

上映後の、外国の記者からの取材でのやり取りでは「タッチ(感動)とラブ(愛)という言葉が多かった」という『万引き家族』。

日本では6月8日公開予定だったが、今回の受賞を受けて6月2日・3日に先行上映。劇場も100館以上増え、300館規模での公開が決定している。

(文・取材:霜田明寛)


映画『万引き家族』
2018年6月8日(金) TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
監督・脚本・編集:是枝裕和
音楽:細野晴臣(ビクターエンタテインメント)
出演:リリー・フランキー 安藤サクラ / 松岡茉優 池松壮亮 城桧吏 佐々木みゆ
緒形直人 森口瑤子 山田裕貴 片山萌美 ・ 柄本明 / 高良健吾 池脇千鶴 ・ 樹木希林
配給:ギャガ

(C)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.

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