虎穴に入らずんば虎子を得ず、
女子に入らずんば、女子を得ず……!
オープン3周年を迎えた“永遠のオトナ童貞のための文化系マガジン・チェリー”だが、これまで寄稿してきたのは男性だらけ!
「男性が男性に情報を発信する……こ、これでは童貞性が強まるだけで、ちっとも女子とお近づきになれないのでは……! むしろ、どんどんと自分の殻に閉じこもってしまっている……!」と、3年たってやっと危機感を抱いたチェリーは、女性に寄稿してもらうことに。
まずは、男性でもハマれそうなものを紹介してもらい、少しでも“女性は何にテンションが上がっているか”を学ぼう……ということで「思春期の頃から銭湯が好き」というミス東大・篠原梨菜ちゃんに自ら、銭湯&サウナを紹介してもらいます!
今回は前回の“ぽかぽかランド鷹番の湯”レポートに続く第2弾!あれ、ちょっと前回と毛色が違うぞ……!?
――18歳だった。先が見えないことへの不安と、先を決められていないことへの高揚感が、私の中を出たり、入ったりしていた。――
そんな感情をセンチメンタルに思い出してしまったのは、この「千代の湯」が、母校・東京学芸大学附属高等学校の最寄り駅である学芸大学駅のすぐ近くにあるから。
実は、ここを訪れるのは高校3年生のとき以来。軒先のシンプルで新しめののれんが懐かしい!
……と、高校時代の思い出語りは後ほどにして、レポートします!
千代の湯レポートスタート!
受付を済ませたら、早速お風呂に向かいます。
脱衣所のロッカーがかっこいい! ロッカー番号が漢数字で大きく印字されています。ロッカー番号までおしゃれとは何事ですか!
脱衣所でシャンプーを忘れたことに気付いた!なんて時でも大丈夫。ロッカーの一角が四角くくりぬかれており、受付とつながっています。脱衣所から番頭さんとやりとりができますよ!
準備を整えたところで、いよいよ大浴場へ!
見てください、このモダンな大浴場……! お湯とタイルの水色と、床のピンク色のコントラストが美しい。大浴場全体が、統一感のある洗練されたデザインになっています。
普通の浴槽のほかに、少しぬるめの炭酸泉もあります。炭酸泉には疲労回復の効果があるそうです。タイルの青が鮮やか! 青い壁に囲まれた浴槽に浸かっていると身体だけでなく心も落ち着きそう。
モダンな浴場の片隅に、銭湯でよく見る風呂桶が! 黄色いプラスチックの風呂桶に、昔ながらの銭湯の面影を感じます……! さすがにケロリンとは書いてなかった!
赤富士のペンキ絵も立派です! モダンな大浴場の奥に赤富士がどどんと構えています。その貫禄に思わず逆富士山ポーズ!
洗い場も4年前と変わらず隅々まで綺麗に保たれています!
ちょっと、高校時代を思い出します
テンション高めの写真が続きましたが、やっぱり色々と思い出してきました。
高校3年生の6月。最後の体育祭の日。全校生徒がグラウンドに出て、いざ祭りスタートというタイミング。
激しく雨が降り始めてしまいました。
あわててテントの下に移動したものの、皆雨に打たれてびしょぬれに。風邪をひきそうになりながら待機したものの、高校最後の体育祭は中止に。
私たちに、もたらされたのは、降り注ぐ雨と、急におとずれた、茫漠な時間。
せっかく早く帰れるから皆でカラオケでも行こうか、でも雨に降られちゃってこのままでいたら風邪ひきそうだねと話しながらクラスの女子たちとやってきたのが、ここ千代の湯です。外観からして昔ながらの銭湯というイメージはなく、モダンで綺麗だなと思いながら中に足を踏み入れました。
千代の湯は昼間のうちから老若男女で賑わっていて、セーラー服の女子高生たちでも気兼ねなく入れる雰囲気でした。お風呂でさっぱりしたあと、クラスの女子たちで集まってカラオケに。高校最後の体育祭の中止というアクシデントから一転、楽しい昼下がりとなりました。
その時はお風呂にゆっくり浸かるというより、早く遊びに行きたくてすぐ上がってしまったような記憶があります。今だったらジェットバスから炭酸泉まで全部じっくり入るので、ちょっともったいなかったかも。
再び、レポート!
お風呂から上がったところで、ロビーで販売されている飲み物を物色タイム! 自動販売機にオリオンビールがあって、オリオンビール好きとしてはテンションが上がります! 高校生のころは気づかなかった新しい発見! 大人になったんだなあと感じさせられます。
迷った末、3月末に惜しまれつつ引退(販売終了)となる明治フルーツ牛乳をゲットしました。滑り込みセーフ! おなじみのフルーツ牛乳が銭湯で飲めなくなるのはちょっと悲しいです……。
ロビーにて、千代の湯Tシャツなるものを発見! 私、オリジナルTシャツの類にめっぽう弱くて、見かけるとついつい買ってしまうんです。紺の方のロゴがかっこいい。オリジナルTシャツって3000円くらいするイメージですが、お値打ち!(1500円)
10年前に生まれ変わった千代の湯は、綺麗でモダンな内装ですが、黄色い桶や昔ながらのペンキ絵など連綿と受け継がれてきた銭湯文化のエッセンスをしっかりと受け継いでいます。まさに温故知新という言葉がぴったりな、地域に愛される銭湯です!
そして、銭湯後は……
高校時代と同じように、銭湯に行ったあとは寄り道を。夕方早めに銭湯に行って、そのあと食事とお酒を楽しむって贅沢な夜の過ごし方じゃないですか?
夜桜がきれいな目黒川付近で、いい感じのお店を探しつつお散歩です。お風呂に入った後の爽快感の中、夜風に当たりつつ眺める桜はいつもより3割増しで美しい!
桜色のシャンパンロゼで乾杯!
ほぼすっぴんで入れるカジュアルなバルは、女子の銭湯帰りごはんにぴったりです!
と、レポートしてみたけど、高校3年生の時、千代の湯に行ってからカラオケに行ったみたいに、今、銭湯に行ってからみんなでバル女子会なんかしたら、思い出として、何を話すのだろうか。
――22歳になった。もしかしたら、あのときより、人生の“先”は見えてきてしまっているのかもしれない。
不安感ゆえの生き急ぎは、だいぶなくなった。銭湯も、あの頃よりじっくりと入るようになった。
それを大人になったと言うのかもしれないけど、どこかに寂しさも残る。
取材で飲んだロゼの味は、少し苦かった。
まだ「お酒が美味しい」とは言い切れない自分に、あのときの自分を感じて、ちょっと安心している。
この春、私は、社会人になる。
(文:篠原莉菜 写真:小峰克彦)
■銭湯情報
千代の湯
住所:東京都目黒区鷹番2丁目20−3 ベルメゾンタカバン
TEL:03-3712-1271
営業時間: 15:30~25:00
定休日:毎週月曜日