ー3カ月前、童貞を捨てた。思ったほど、世界は変わらなかったー
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映画・空白「これが日本のリアルなのか?」外国人記者の視点

今年の東京国際映画祭「Nippon Cinema Now」部門で特集上映が行われる吉田恵輔監督が、映画祭に先駆けて記者会見に登壇。最新作『空白』についてQ&Aを実施した。
『空白』は、中学生の少女の死から始まる物語。古田新太演じる娘を失った父と、松坂桃李演じる事故のきっかけとなってしまったスーパーの店長を軸に描かれる、吉田恵輔オリジナル脚本の作品だ。
外国人特派員会見での会見だったため、集まった多くの外国人の記者からは、これが日本のリアルなのか、といった観点での質問が多く飛び交った。

広がる誹謗中傷と学校の隠蔽体質

まずは外国人記者から監督に「日本人は悪い噂は好きなのでしょうか?」という質問。
被害者遺族であるはずの古田新太演じる添田の家にも張り紙による誹謗中傷がされているシーンなどを例に、吉田は「日本人って張り紙が好きだなあと思って(笑)」と、コロナ禍で、多くの誹謗中傷などが張り紙で行われたことに言及した。

また、もうひとつは日本の学校教育の現状について。本作では、亡くなった女子生徒に対して、もしもいじめが起きていたら大変だから調査すらしない、という学校の“隠蔽体質”が描かれる。
外国人記者から、その酷さに話が及ぶと、吉田監督は「この映画で起きていることは、日本の現実に起こっていることよりかわいいと思います」と回答。

現在報道されているいじめの事件に関して、映画にできるかもしれないと思い、調べてみると、あまりの闇の深さに「学校も一部グルじゃん」と思えるほどの感覚になったことを告白。とても映画にして人に見せられるようなものではないという思いに至ったことを吐露した。

報道の切り取り、誹謗中傷、学校社会の隠蔽体質、交通事故加害者の自責の念……本作で描かれていることはとても軽いとは言えない。
登場人物たちはある種の“地獄”を味わうわけだが、『ヒメアノ~ル』や『愛しのアイリーン』をはじめ、最近の吉田監督作品には、なかなかにシビアな状況設定の作品も多い。
吉田監督は「何本か作ってると、麻薬のようで、地獄がどんどんでかくなっていかないと、気持ちよさが感じづらくなっているので、今後が不安です」と笑った。

『空白』のキャッチコピーには「空っぽの世界に、光はあるか」とある。
会見では「僕自身、光を感じるのに、相当地獄を経ないとこれが光だ、って感じられなくなってくるんですよね」とも語った吉田監督。監督が感じ取った微かな光が『空白』には刻み込まれているのかもしれない。

※吉田恵輔監督の「吉」は“つちよし”が正式表記

○映画『空白』

出演:古田新太 松坂桃李
田畑智子 藤原季節 趣里 伊東蒼 片岡礼子 / 寺島しのぶ
監督・脚本:吉田恵輔 ※「吉」は「つちよし」が正式表記
音楽:世武裕子
企画・製作・エグゼクティブプロデューサー:河村光庸
制作プロダクション:スターサンズ
配給:スターサンズ/KADOKAWA
製作:2021『空白』製作委員会
公式サイト:https://kuhaku-movie.com/
©2021『空白』製作委員会 

○第34回東京国際映画祭
開催期間:2021 年 10 月 30 日(土)~11 月 8 日(月)
会場:日比谷・有楽町・銀座地区

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