チェリー誕生から6年。編集部平均年齢26歳で始めたこのサイトも、気づけばアラサーたちが運営するものに。「童貞をひきずっている」というコンセプトで始め、その志は変わらないし、相変わらずひきずり続けてはいるものの、編集長の霜田に至っては37歳。「オトナ童貞」が「大人」になるために、男女観をアップデートしなければ!
今回のテーマは、世間を賑わせたあの有名人の不倫騒動について。メディアの不倫報道との付き合い方から、幸福論まで、白熱した議論が飛び交う!
【編集部員プロフィール】
霜田(シモダ):1985年生まれ。一昨年結婚したがオトナ童貞性は健在。
菱山(ヒシヤマ):1991年生まれ。かつてビッチ女子大生名義で活動していた。双子の母。
小峰(コミネ):1991年生まれ。現在未婚のオトナ童貞。
2023年上半期、最も心動かされたゴシップネタ
菱山「今回、ぜひ3人で語りたかったのが、広末涼子さんの離婚騒動。有名人の不倫は1mmも自分に関係ない話なのに、どうも登場人物それぞれに感情移入してしまって。申し訳ないけどドラマのように見てしまいました」
霜田「どんどん状況が変わっていって、人によって広末さん側に感情移入するのか、キャンドル・ジュンさん側に感情移入するのか分かれましたよね」
菱山「私の場合は、広末さん可哀想なのでは? という派です」
小峰「そうなんですね。なんとなく、キャンドル・ジュンさんの会見の斬新さがすごいな~という感想ですね」
霜田「僕もどちらかというとキャンドル・ジュンさんの会見を見て、彼の好感度が上がったタイプです」
菱山「やっぱりあの会見で、世論が割れましたよね。まさに切り取り方で印象が変わるという、現代のあらゆる炎上の縮図のようで」
霜田「どういった点で、菱山さんは広末さんを可哀想だと感じましたか?」
菱山「記者と1対1で話すなどのメディア対応は感心していましたが、やはり最大の違和感は広末さんに言わずに会見をしたことですかね。そして広末さんのことを、良い妻だし僕は理解しているけど、不安定なところがあるとまとめたところですかね。ああやって自分知らないところでマイナス面を発信されたらもう逃げられないな……という恐怖感さえ感じました」
小峰「たしかに。過去に何度も離婚話はあったという夫婦のプライベートも話していましたしね」
「別れたい」は突然やって来ない
菱山「そうなんですよ。何度も広末さん側から離婚を切り出されているのも怖くて。『別れたい』と言っているのはもう限界のサインで、女性側のメンタルが不安定なことと相関はない気がしていて。最後の切り札である『別れたい』をスルーできるって、もはや力関係が発生しているのでは? と邪推してしまいました」
小峰「正直、男性は女性からの『別れたい』に鈍感な部分はあると思います。僕も過去に恋人から『別れたい』と言われた時に、なぜ突然!? と思ってしまうことはあって、これまでのサインに気付けなかったんです」
菱山「私も過去に別れ話を切り出したら『浮気してるんだろう』と疑われて驚いたことがあります。『別れたい』と感じさせるタネを今までたくさん撒いたのはそっちでしょ!? とムカつきましたが(笑)」
霜田「男性が撒いてしまいがちな別れに繋がるタネってどんなことがありますか?」
菱山「自分のことを軽んじられたと感じさせることでしょうね。恋人同士だったらデートに普通に寝坊するとか、二日酔いで来るとか。親しき中にも礼儀ありではないですけど、何をしても許してくれる存在的な扱いを続けるということは、下に見ている証拠。それに対して『嫌だ』とアピールしても『また拗ねてる』くらいに思われるともう成す術がないですよね」
小峰「馬鹿にされている気持ちにはなりますよね」
菱山「何度言っても変わってくれない、聞き入れてくれないから本気で別れたくて浮気や不倫をする気持ちは少しわかります」
「怪物だーれだ?」
小峰「なるほど。たしかに、社会に対して説明やプレゼンが上手い男性のパートナーが『メンヘラ』と呼ばれがちなケースは、自分の周りでも見てきた気がします。一見すると彼女が悪いように思えるけれど、実情は彼氏の方がヤバかったみたいな」
菱山「今回のキャンドル・ジュンさんの会見を見て、私はどうしてもそのパターンに当てはめてしまったんですよね。見せ方が上手いと言ったらかなり失礼ですが……」
霜田「でもキャンドル・ジュンさんって別にメディアを上手く使ってきた方ではないですよね。むしろ、不倫相手の鳥羽さんのほうがうまくメディアを使ってあそこまでいった方なのでは。僕の個人的なエピソードですが、かつて『素敵なキャンドル屋さんだな~』と思って入ったお店が、偶然キャンドル・ジュンさんのお店だったことがあって。しかも店内には一切キャンドル・ジュンさんの名前や写真などなく、後から知ったという。名前を使わず、キャンドルのこと全く知らない素人の心を動かしたんですよ」
小峰「普通だったら、お店に広末さんのポスターを貼ってみたり、ロケ地で使ったりキャンドル・ジュンアピールしたいものですが……(笑)」
菱山「たしかに。今回は会見という角度でしか見えなかったから、私が勝手な印象を受けたのだと思います」
小峰「世の中には『ベストマザー賞なのに』という広末さんを非難する声もありました。それだって勝手に押し付けられた印象で中身をジャッジしているだけですよね」
霜田「そもそも広末さんは10代の頃からピュアの押し売りされていましたしね」
小峰「人は見たいようにしか物事を見ないし、切り取られたことを信じてしまいますが、気を付けたいですね」
菱山「まさに映画『怪物』(※)と同じ」
(※2023年公開。小学校で起きたある事件を3人の視点から描く、是枝裕和監督作品。)
霜田「これを勝手に語り合ってジャッジしている我々の行為自体が一番の“怪物”かもしれませんよ……」
ボロボロになった時、倫理観よりも感情を肯定してほしい
霜田「あと今回の件で気になるのが、そういった恋人・夫婦のいざこざがあった時に受け皿になる男性、つまりは不倫相手がいるじゃないですか。そのポジションってどういった人がなれるんでしょうね。そう言えば小峰君は、恋人がいる女性からモテるパターン多くない!?」
小峰「モテにカウントしていませんが、女性から恋人の愚痴を聞くパターンは多いかもしれないです。最近も彼氏が浮気していたという話を聞かされるために深夜の焼き肉屋に呼び出されたこともありました(笑)。多分、日ごろから寛容なオーラを出しているからな気がします。こいつに何喋っても否定しなそう、みたいな」
菱山「だから深夜でも呼び出せる……」
小峰「都合がいい男なんですよね(笑)」
菱山「もう恋人に否定され続けてきた状況だからこそ、すべてを肯定してくれる人に全力で甘えたいというのはありそうですよね」
小峰「たしかに、先日の焼き肉女子から『でもやっぱり彼氏のことは好き』と言われても『そういうもんだよね~』としか言わなかったかも(笑)。『それって幸せになれるの?』とか聞かない」
菱山「正解ですね。そのシーンに正論やアドバイスはいらないですよ。何しても何言っても許してくれそうな態度が良い」
霜田「小峰君と話していると大学生のモラトリアムに戻れる感じがあるのかも」
小峰「いつまでも大学生マインドでヤバいですよね(笑)。僕は倫理観よりも感情を肯定する男なんだと思います」
自分より高すぎるレベルの美女との交流は、もはやドラッグ
霜田「そういった場面ではある種の無責任さが求められるし、その分、こちらも期待してはいけないですよね」
菱山「いやでも期待しちゃいますよね……! しかももし、相手が広末さんレベルの方だった場合は」
小峰「そもそも有名人との距離が近い飲み会には行かない方がいいんですよ。最近は自分と明らかに釣り合わない美女がいる飲み会には行かないようにしています。期待して心が乱れるのが嫌なので」
菱山「強い意思ですね……」
小峰「なんだかこの年になってくると、たとえものすごく美女と一晩過ごせたとしても、その記憶だけで生きていけないってことがわかってきたんです。感動は継続しない」
霜田「でも、一週間くらいは楽しく生きて行けそうじゃない?」
小峰「いや、自分とあまりにレベルの違う方との交流って、もはやドラッグみたいなんですよ。もっと欲しくなってしまうし、日常に入れてはいけない。幸せのハードルがおかしくなってしまうんです」
菱山「成り上がりの起業家が高級ラウンジに入り浸って抜け出せなくなってしまう原理と同じですね」
小峰「そういう爆美女からの刺激と恋愛感情を混ぜてはいけないんですよ。身も心も渡してしまってはいけない。もしも関係を持ったとしても、自分は幻覚を見ていると言い聞かせるのが一番幸せだと思います」
人は自分で漬けたぬか漬けの美味しさを知り、大人になる
霜田「ものすごい視点。小峰君の自己肯定感の低さも際立ちますが」
小峰「でもこれってすごく重要なことだと思っていて。自分の幸せのハードルを無闇に上げてはいけないと思うんです。自分のポジショニングをわかっていないと、大事なものを失うことになる。多分、東京に住んでいたら何度か自分のポジションを見失いそうになる経験ってあると思うんです。そこに狂ってはいけない」
菱山「ああ、それはわかるかもしれないです。私ももう派手な飲み会に行って人の気持ちを受け取ったり、自分がすり減ったりが疲れてしまう。だから最近は本当に半径1キロぐらいでずっと暮らしています」
小峰「ですよね。僕も、最近幸せだと感じるのが、自分で自分のために作った晩御飯がレシピ通りの味になった時とか、ぬか漬けが上手くできた時とかです。飲み会に行って外食しまくっていた頃よりも明らかに幸せなんですよ」
霜田「すごい。自分が居心地の良い幸せを見つけている」
菱山「そういう幸せを見つけられたのも、若いうちに一通り遊んできたからこそな気がします。もうこの味知ってるからいいや、という気になりますよね。何かをずっと追い求めるってとてもストレスだし。諦めではなく、納得ですよね」
霜田「人は一周するとある程度落ち着くものなのですね」
菱山「そう思うと、若い時にさんざん遊んでいて良かったって思います。遊んでいないまま父親・母親になると、それこそ自分の幸せがどこかにあると探し求めてしまうから不倫にも繋がる」
小峰「ちょうどいま僕の周りは結婚・出産ラッシュで。でも、焦って『とりあえず俺もしなきゃ』みたいな感じで結婚しちゃうと『やっぱりこいつじゃなかった』と不倫に走る人もいますよね。結局ずっと自分を失い続けそうなオーラが出ています」
菱山「確かに。自分にとっての幸せを理解して、納得感を持って結婚しないと夫婦関係は崩壊するのかも」
霜田:「『結婚して落ち着いた』わけではなくて、落ち着いたから結婚するのかもしれませんね」
小峰「なるほど。港区の飲み会ではなく、ぬか漬けの味に幸せを感じられるようになった僕も、前よりは結婚が現実的になってきた気がします」