ー3カ月前、童貞を捨てた。思ったほど、世界は変わらなかったー
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『リアル鬼ごっこ』で大注目・桜井ユキ 篠田麻里子と盛り上がるも作品話はあえてせず

7月11日より公開の映画『リアル鬼ごっこ』で、トリプルヒロインに勝るとも劣らない存在感を放つ女優・桜井ユキさん。インタビュー前編では、1987年生まれの桜井さんが、24歳で女優への道を決意した際の心境や、女優として日常おこなっているマル秘テクニックについて話をしてもらった。今回の後編の記事では、『リアル鬼ごっこ』の現場での話や、桜井さん自身が好きな映画などについて伺っていく。

実年齢と約10歳差! 女子高生を演じるということ

――劇中でも輝いていた女子高生の制服姿で来て頂き、ありがとうございます!ただ、失礼ながら、1987年生まれというプロフィールを見てびっくりしました。
「そうですよね、だいぶいってますもんねえ……」

――す、すいません! そういう意味ではなく!
「いやいや冗談です(笑)。でも今回みたいに『実年齢よりも若く見えた』っていうときもあれば、作品によっては『(実年齢よりも)老けて見えるね』って言われるときもあるんです。そのときそのときにあった見え方ができればいいなと」

――確かに、『新宿スワン』の役と比べると、今回は10歳くらい違って見えます。やはりそこは意識的にやられているんですか?
「そうですね、それぞれの年の表情や身振り、動きを意識して、自分の中に落としこむという作業はしています。特に今回は気を付けないと、ちょっとイタい方向にいっちゃうかもしれないっていう心配があったので(笑)。女子高生がどういう立ち振る舞いをして、どういう心理状態で……ということを思い出して、自分に落としこむ感じでした。特に、女子高生ならではの無防備感は意識しましたね」

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――無防備感とはどういうことでしょう?
「女子高生って、周りを気にしなくて生活ができて、発言ができる、なんか無防備な感じがあるじゃないですか。そこは役を作りこむというよりも、過去を思い出す作業が多かったですね」

実は初体験! 華麗なアクションシーンの裏側

 
――さらに、今回は華麗なアクションも披露されています。ここまで本格的なアクションは初めてですか?
「初めてです。篠田麻里子さんはお上手だったんですけど、私は劣等生で……。でも、役どころでいうと私のほうがリードしないといけないので……、必死でした」

――劣等生だったんですか?
「肉体的にもキツかったですし、見た目がかっこよくならなくて……。撮影の一ヶ月位前にアクションの練習の機会があったんですが、アクション監督には『本番までにどうにかがんばってね』と言われてしまい……。それから本番まで自主練したり、アクション監督のサポートの方に、撮影の合間で練習にお付き合い頂いたりしました」

篠田麻里子さんと地元トーク

 
――そんな努力の上に成り立っていたシーンだったんですね……。篠田さんとはお話されたりしましたか?
「そうですね。年齢も近いですし、出身地も福岡で一緒なんです。『あの店おいしいよね』なんて地元話をしたりしました。仕事中なので方言は出ませんでしたが、やっぱり福岡の方の空気感ってあるので、それを感じられてほっこりしました」

――作品に関することは、篠田さんや、他のお二人(トリンドル玲奈さん、真野恵里菜さん)らとお話されたりしましたか?
「それはあえてしませんでした。この作品は、最終的には見てくださった方が決める部分も大きい、解釈の余地の大きい作品だと感じて……。

監督には聞こうかどうか迷ったんですが、それもあえて聞きませんでした。知りすぎないようにしました。お三方から解釈について聞かれることもなかったので、おそらくみんなが考えた上で、あえて話さず現場に身を任せていた感じなのではないでしょうか(笑)」

「何かが残る」園作品が好き

 
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――特に今回の桜井さんの役は、トリプルヒロインをつなぐ超重要な役どころですよね。この役が決まったときは相当なプレッシャーだったんじゃないですか?
「それが、園さんが監督をされた『みんな!エスパーだよ!』のスペシャルドラマ版の現場で、監督にサラッと『次、よろしく』って言われたんです。なので正直“いつのまにか決まっていた”っていう感覚で……。その後に台本を読んで、コトの重大さに気付いた感じです(笑)」

――園監督といえば、これまでに抜擢した女優さんが、その後相次いでブレイクしていっていますよね。自分では言いづらいとは思うんですが、今回、桜井さんのどのあたりが園さんの心を掴んだんだと思いますか?
「そこはホントに何とも言えなくて、わからないんですけど……。園さんからもハッキリと選んだ理由を聞いたこともないですし……。でもやっぱり、園さんとやっていると、すごく心地いいというか、演じやすいんです。園さんの世界観が好きで、私と合うところがあるのでは、と思っています」

――見る側として、桜井さん自身がお好きな園さんの作品ってどのあたりですか?
「『愛のむきだし』『地獄でなぜ悪い』のような、常に疾走している感じの作品が好きですね。内容のすべてを理解できるというわけではないのですが、なんだかドキドキしたまま、最後まで見ちゃう(笑)。でも何か残っている、みたいな作品たちですね。それでも好きって思える中毒性があるんですよね……」

人生ベスト映画はまさかの……

 

――園監督の作品以外で好きな作品ってあったりしますか?
「タイタニックです」

――え、タイタニックですか??
「『人生ベスト映画はタイタニック』って言うと、いつもみんなから『ベタすぎるし、女優として言わないほうがいいよ』って言われるんですよ(笑)。でも、何回も見たくなる映画って、そうそうないと思うんです。映像美に音楽に王道のストーリーに、隙がないじゃないですか。私はタイタニックは譲れないですね」
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――ありがとうございます。タイタニック1本でいいですか? なんかもうひとつ併記しといた方がいいですかね?(笑)たとえば、憧れの女優さんの作品とか……。
「女優さんでいうと、樹木希林さんが好きで、憧れでもありますね。もちろんお芝居をされているんですが、それがお芝居に見えないリアリティというか……。全体の空気感を壊さないけれど、希林さん自身の独特な雰囲気はどんな役でもきちんと伝わってくるんです。なんでこんなに心をもっていかれるんだろう、っていうくらいひきこまれてしまいます」

――そんなにひきこまれてしまうんですか?
「はい、『わが母の記』では、希林さんが泣くシーンを見て、毎回大号泣しちゃいます」

――毎回ですか?
「はい、何度も見て、展開も泣く瞬間もわかっているんですが……。縁側で、役所広司さんとお芝居されているシーンで泣いちゃいますね。そのシーンを見たいがために何度もDVDを借りてます。買えよって話ですよね、ごめんなさい(笑)」

『わが母の記』や『歩いても 歩いても』で、樹木希林さんは、優しい目をしたかと思いきや、ふっと遠くを見つめ、スクリーン全体に緊張を走らせる。『リアル鬼ごっこ』は、様々な世界観の共存する作品だが、桜井さんは、それぞれの世界観に馴染みながらも、独特の雰囲気を醸し出し続け、そしてスクリーンに緊張感をもたらす。その意味で、樹木希林さんをあげたのはとても納得のチョイスだった。

24歳で女優への道を決意した桜井さんの女優人生において、おそらく最初の転機となるであろう作品『リアル鬼ごっこ』。「一度乗ったら、降りられない! 恐怖のジェットコースタームービー!!」という宣伝文句がピッタリの作品だが、全編通して、そのジェットコースターを走らせ続ける役割を、桜井さんが担っているとも言える。同作品は7月11日(土)公開。

(文:霜田明寛)

■関連リンク
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映画『リアル鬼ごっこ』 7月11日(土)、全国ロードショー
「一度乗ったら、降りられない! 恐怖のジェットコースタームービー!!」
(C)2015「リアル鬼ごっこ」学級委員会

監督・脚本:園子温 原作:山田悠介「リアル鬼ごっこ」(幻冬舎文庫・文芸社刊)
出演:トリンドル玲奈、篠田麻里子、真野恵里菜、桜井ユキ
イメージソング:GLIM SPANKY「リアル鬼ごっこ」(ユニバーサル ミュージック)
配給:松竹、アスミック・エース R-15
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