ー3カ月前、童貞を捨てた。思ったほど、世界は変わらなかったー
チェリーについて

池田エライザ「心の中に童貞を飼えるワケ」

雑誌『ニコラ』『CanCam』などでモデルとしても活躍し、最近では『映画 みんな! エスパーだよ!』『ReLIFE リライフ』『一礼して、キス』やドラマ『ぼくは麻理のなか』など女優としても頭角を現している池田エライザ。

今回、古泉智浩の童貞マンガの金字塔とも言える人気作品を脚本・松居大悟で映画化した『チェリーボーイズ』でヒロイン・笛子を演じた。
笛子はなかなかに刺激的な役。なぜ、池田エライザはこの役を引き受け、そして男の心を狂わせるヒロインを演じきることができたのか……?

映画の公開をどの媒体よりも喜んでいるだろう“永遠のオトナ童貞のための文化系マガジン・チェリー”では池田エライザに初のインタビューを決行。
映画の話はもちろん、自信を持てずに生きているかも知れないチェリー読者に向けて、エライザ流の思考術を伝授してもらった……!

“童貞たちのヒロイン”を引き受けた理由

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――初めまして、チェリーという童貞をひきずった男性向けの媒体です。

「面白そうなことやってますね……。園さんが好きそう(笑)」

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――ありがとうございます!園子温監督には「なんでやろうと思ったの?」って逆インタビューされました(笑)。エライザさんも、僕らに理解を示してくださる方だと期待してやってまいりました。とはいえ、今回『チェリーボーイズ』で笛子の役を受けられるのは、なかなか勇気ある決断だったと思うんですが……。

読んでみたら、面白かったですし、母性がくすぐられたんですよね。それにこの作品において笛子という役は面白いし、需要のあるポジションだと思えたんですよね」

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――それは例えばどういう部分でしょうか?

「この話は、田舎という閉塞的な環境の中で、極論に辿り着いてしまった男子達の話じゃないですか。でも、笛子はそれを『バカだなあ』って思えるポジションにいる。それって見てるお客さんの中でも、女性や、彼女連れの余裕のある男性の目線に近いなあ、と思ったんです。物語全体としても、この作品はなんかちょっと感動するし、いい話だ、という結論に達し、お引き受けすることにしました」

ピュアな学園モノの気持ちで臨んだ撮影

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――その後、演じてみていかがでしたか?

「現場としては割とピュアな学園モノをやっているような気持ちで(笑)。キュンキュンしながら撮影していきました。撮影時期が『ぼくは麻理のなか』の前半→『一礼して、キス』→『ぼく麻里』後半→『チェリーボーイズ』という感じで。割と暗いというか、陰の役を立て続けにやってからの、この作品だったので、お客さんにどう見えるかは気になるところですね」

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――ともすれば下品にもなりかねない難しい笛子という役を、とてもピュアで品があって、でも男を狂わせそうな絶妙な塩梅を保って演じきっていらっしゃったかと思います。最高のエライザアレンジの笛子でした!

「ありがとうございます。今回、笛子のファッションのビジュアルを作っていくのがすごく楽しかったんですよ。私自身が青年誌をたくさん読んでるので、男性から見たイイ女像みたいなものは、頭に入っているつもりなんですが。でも逆に、そのイイ女像まんまで『ああ、こういう女いるよね』って、あるあるの感じになっても面白くないじゃないですか」

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――そこにエライザさんの感覚を加えていった、と。

「笛子はキラキラしすぎずに、田舎のニオイもある程度するというラインのコ。『これはショッピングモールの小さいお店で買った』『これはおさがり』みたいな感じで、それぞれのアイテムに関して考えて作っていって。最終的には、笛子の意志の強さを出すために赤いジャケットに、ミニスカ、でも、ハイヒールじゃなくてブーツにしたことでいいバランスになって。笛子は肉じゃがも作るし、介護福祉士になりたいような女のコだから、ビジュアルができたら、もうあとは乙女になればいいだけなんで(笑)」

童貞を心の中に飼っている

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――青年誌を読まれるんですね。

「兄2人と弟1人という環境の中に育ってきたので、家に青年誌ばかりあるんですよね。自分でも買いますし。そういう環境だから、男の人のそういう性的なアレコレもあまり気にしないというか、童貞を心の中に飼っている感じです」

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――だから、エライザさんにはピュア性が感じられるんですね……!

「私自身、幼稚園の年少から小学校5年生まで8年間、ずっとひとりの男の子を好きでしたし。人が誰かに思いを寄せて頑張っている姿に、偏見がないんですよね」

好きになられたときの動揺

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――では、逆に誰かに好きになられたときは、どんな感情を抱かれるんですか?

「私、ファンの子に好きって言われても、『いやいやいや!』ってなっちゃうんですよ。もちろん、ありがとうとは思います。でも同時に『もっといいコおるよ? 世の中美人ばっかりだし』って思っちゃうんです(笑)」

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――そんな風に感じられていたとは意外です!

「やっぱり私自身のイメージが役のイメージにリンクすることはあると思うんですけど、普段の私は下ネタも言わないし、水着になることなんて、ほとんどありません。私服でさえ、いつもタートルを着ていて、スキニーか太いズボンを履いているような感じでほとんど肌を出さないような格好です」

「恥ずかしい」と言える人でありたい

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――じゃあ今回に限らず、過激な役のときは恥ずかしいこともあるんじゃないですか?

「ええ、たしかに恥ずかしいですけど、お受けした以上は、やれることはしっかりとやっていきたいと思っています。『どうせこんなもんでしょ?』って感じでこなすくらいなら、やらないほうがいいじゃないですか。逆にしっかりと、心は失わずに『恥ずかしかったです』って言える人でありたいなと思います。最近、私のこういう部分を見抜いたのか、暗い役を提案してきてくださる方も多いんですよね」

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――ちなみに、最近ではどなたに見抜かれた感覚がありましたか?

「廣木隆一監督が、今年公開される『ルームロンダリング』の片桐健滋監督に『エライザは根暗だよ』ってオススメしてくれたらしくて(笑)。『バレてたかー』と思いましたね。廣木監督とご一緒したのは『伊藤くんA to E』で、あのときは割と派手な役だったのに……」

自分を麻痺させない方法

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――でもこうして伺っていると、色んなお仕事が来る中で、自分を麻痺させずにいられるのものすごいことだなと感じます。

「どんなに色んなことをやって忙しくなっても、心だけは擦れちゃいけないなと思っていて。自分の見えないところにも、自分のことを思ってくれている人がいるということは忘れないようにしています」

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――どうしてそんなふうに考えられるようになったんでしょうか?

「高校生のときに『若いし、クラウドファンディングで本だしたい!』っていう勢いでやってみたことがあったんです。若さゆえの、根拠のない自信ですよね(笑)。でもその制作過程で、実際に関わって作ってくれる人たちの作業や心労に生で対峙して。そのときに、私が勢いで言ったことでも、こんなに多くの人達の時間をいただくんだなと感じたんです。そこから、その人たちの頑張るモチベーションになるくらいの自信は持ちたいなと思うようになりました」

“根拠のある自信”を持ちたくて

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――素晴らしい変化ですね。

「根拠のある自信を持ちたくて、そのために頑張る感じです。根拠のない自信を持っていた学生時代があったからこそ、余計にそう思いますね。20歳になって、根拠ある自信をもちたいなと思うようになりました。結果は時間が経って出ることも多いから、今の状況だけで自分を過信しちゃいけないし」

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――そのときに、根拠となり得るものって何なのでしょうか?

「思ってる時間、かもしれません」

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――思ってる時間、ですか?

自分のやりたいことを思ってる時間の量っていうのが如実にあらわれるなと思っています。手を抜かないとか、頑張るとか、そういうレベルのことじゃなくて、いかに厚みを出していくか。こういう取材や舞台挨拶でもそうですしね」

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――すごい、それは誰か他人のために、という感覚なんですか?

自分が成長しないと、誰のためにもなれないですから、今は『自分のために』という感覚です。例えば『あなたのために歌います』とは絶対に言えない。自分が楽しいことをやるから、一緒に楽しんでくれればいいなあ、っていう感覚ですかね。楽しむための努力や心の広さも必要ですけどね。でも、楽しむって難しいけど最高じゃないですか。今後も楽しんでいけたら、と思います」

(文・取材:霜田明寛 カメラ:yoichi onoda)


映画『チェリーボーイズ』2月17日(土)より シネ・リーブル池袋、渋谷TOEIほか全国ロードショー配給:アークエンタテインメントⒸ古泉智浩/青林工藝舎・2018東映ビデオ/マイケルギオン

(ヘアメイク /Chie Toyota スタイリスト/RIKU OSHIMA)

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