ー3カ月前、童貞を捨てた。思ったほど、世界は変わらなかったー
チェリーについて

見城徹、堀江、与沢翼…大ヒット本編集者が内幕暴露!20代からの「超大物」の口説き方【後編】

若くして大物を口説き落としてきた箕輪さん。第一回目のインタビューでは、「当初まったく企画に乗り気でなかった」という見城徹さんを口説くまでの過程を、第二回目ではホリエモンと与沢翼に熱狂していた日々のことを収録した。今回は著者や外部スタッフだけでなく社内に至るまで、信頼を勝ち取るための秘訣を伺った。与沢翼の撮影を嫌がるレスリー・キーをどのように説得していったか、息を飲むような交渉の裏側を公開。
 

日本一ハマれば人は付いてくる

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――まさか研修期間にそんな波乱があったとは(笑)。そのスタートからどうやって社内の信頼を勝ち取っていったんですか?

僕は入社のときの履歴書に「いかに稼ぐかよりいかに面白いか考えたい」と書いたんです。なのに研修中の態度が悪かったのか広告部になった。それならって頭を180度切り替えてできるだけ「金を稼ぎたいな」と思っていて。

『エッジ・スタイル』っていうギャル誌の広告をやっていたときも、キャバクラの斡旋会社や出会い系の会社にアポ取って飛び込み営業で行ったりして、そういう業界のちょっと儲かっていそうな会社はほとんど自力でまわってバシバシ広告取っていきました。日報とかは書かないけど結果に直結する部分は頑張れるんです。常にどこから金を引っ張れるか考えて世の中を眺めていたので、与沢が札束を捨てるようにバンバン扱っているのをテレビで観て、「コイツからは金が取れるな」と思い、最後は与沢に会いに行ったわけです。

――ラスボスが与沢だったと(笑)。それまで結果を残していたからこそ『ネオヒルズ・ジャパン』も一冊まるまる任されたんですね。しかも広告部にいながら。

いま編集部に異動して改めて思うと、広告部員に一冊やらせるのってワケ分からないと思います。しかも通常の広告部の仕事もやりながら編集者として一発目がこれですから。広告タイアップで簡単なページは作っていたけど、編集の専門用語もよく分からない。社内の編集部員や外部スタッフに「全部教えてください」って聞きながらやっていました。

――いろんな人が関わる雑誌制作で指示を出す立場にいたわけですが、編集初心者だったことはスタッフにも伝えていたんですか?

はい。『ネオヒルズ・ジャパン』のときも『たった一人の熱狂』のときも、僕が与沢や見城さんに日本一ハマっていて、それぞれの本についても日本一考えていたから、本を作る知識はなくても明確なイメージは持っていた。それはスタッフにも伝わっていたと思うし、誰一人文句を言わずに付いてきてくれました。

――しかも巻頭グラビアで与沢を撮っているのはレスリー・キー! 箕輪さんのインタビュー(『KAMINOGE vol.25』参照)を読むと、撮影日の前日になってレスリーが「撮りたくない」ってキャンセルしてきたそうで。

実は『ネオヒルズ・ジャパン』は『ゲーテ』を意識して作っていて。レスリーの事務所にオファーを出したときも「雑誌『ゲーテ』のようなイメージです」とか伝えていたのが、まわりまわって『ゲーテ』の撮影ってことになっていて(笑)。当然、レスリーは被写体の趣味とか誕生日とか調べて信念を持って撮る人だから、与沢のことを調べた前日に「絶対イヤだ」ってなったみたいです。
 

与沢を撮りたくなかったレスリー・キー

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――ボクもこの表紙を最初に見たときに『ゲーテ』だなって(笑)。レスリー・キーを説得した箕輪さんのセリフがまたすばらしい。「与沢にとって1円稼ぐっていうことはアスリートが0.1秒記録を縮めることと同じだ。そういう欲望を追及するのはレスリーさんも同じじゃないですか」と。この言葉、よく考えつきましたね。

ホントに熱狂していたからその言葉は思っていたことを言っただけなんです。レスリーに対して、これは見城さんとかに対しても同じですが、セリフとして言ったことはひとつとしてない。

レスリーも「当日に話は聞くけど納得できなかったら帰る」って言っていたので、僕が説得するシーンは何度もシミュレーションしました。レスリーが何も喋らないバージョン、怒鳴ってきたバージョンとか。分からないじゃないですか、外国人だし。レスリーに熱狂しているわけじゃないから、見城さんのようにここに響くっていうところが僕には全然分からない。

もちろん見城さんに初めてお会いしたときも「こう言われたらこう返そう」とはずっと頭の中でシミュレーションしていました。で、いざ会ったときには事前のシミュレーションはすべて忘れて普通に喋る。でも会社の面接とかでもそうですよね。事前にパターンを考え尽くして、直前にすべて捨てる。
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――ああ、僕が就活生に面接対策で言っていることもまさにそういうことです。ネオヒルズのときは社内も箕輪さんを応援してくれていたんですよね?

はい、社内も全面的に応援してくれて。与沢に詐欺師みたいなイメージがあったから最初は社長も「出さない」の一点張りでしたが、熱を持って説得し続けたら最終的には「じゃあ、やってみろ」と快く協力してくれましたね。

――次々に大物を陥落させていきますね……。箕輪さん、ズバリ「好かれる技術」を教えてください!

どうだろう、好かれているのかな? やっぱりカッコつけたりしないことが大前提じゃないですか。ちゃんとスーツ着て真面目で苦々しい顔しているような大人って大体嘘つくじゃないですか(笑)。

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――仮面をかぶるなと。

やることないのに仕事やっている感を出したりとか。僕は「やることないから一日中ヤフーニュースをずっと見ていました」とか取引先にも言うし。嘘つかなかったらそれだけで人は信用してくれると思いますよ。信用してくれたら、仕事はすごくスムーズに進むと思います。

それに見城さんにしても堀江さんにしても、突き抜けて優秀な人ほど子供のようにそのまんまな気がするんですよね。怒るときは怒るし、好きでしょうがないときは脇目もふらずそのことに熱狂するし。

――熱狂することが大切なんですね。箕輪さんも、自宅で見城さんの話しかしないほどに熱狂していたわけですもんね。

嫁は与沢のときには「与沢」っていう名前を聞くだけで吐き気がするって言っていて。それくらいウザかったと思うんですよね。

――本作りに熱狂するかたわら、家庭内の平和を保つために奥さんをどう説得しているんですか?
ボロボロですよ。荒れ果てた地獄のようです。そっちは完全に負けているし、勝負の仕方が分からない(笑)。

熱き想いを語りながらも取材陣を身構えさせない。初対面の霜田とも一瞬で打ち解ける。まさに丸裸の人だった。大物を口説くだけでなく、それをヒットにどうつなげていくか……。目から鱗の制作秘話に、気づくと霜田も熱狂していた。

(取材・文:小倉宏弥)

kenjousan

プロフィール:箕輪厚介(みのわ・こうすけ)
1985年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、2010年に株式会社双葉社に入社。

女性ファッション誌『エッジ・スタイル』の広告営業を手がけるかたわら、13年には与沢翼責任編集『ネオヒルズ・ジャパン』を創刊し、Amazon総合ランキング1位を獲得。14年4月からは編集部に異動。トークアプリ「755」で語られる見城徹の言葉を元にした『たった一人の熱狂-仕事と人生に効く51の言葉-』、堀江貴文『あえて、レールから外れる。逆転の仕事論』などを出版。共にAmazonビジネス・経済書籍ランキングで1位を獲得。

■関連
たった一人の熱狂-仕事と人生に効く51の言葉 (著:見城 徹 双葉社)
あえて、レールから外れる。逆転の仕事論 (著 堀江 貴文 双葉社)

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