ー3カ月前、童貞を捨てた。思ったほど、世界は変わらなかったー
チェリーについて

女優になりたかったニッチェに、解散の選択肢が浮かんだ日

かわいい野菜のキャラクターたちが、リアルな下ネタのエピソードトークを繰り広げるという異色のアニメーション『スーパーベジタブルブギ』が、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016に出品された。
芸人のニッチェの2人と曇天三男坊、そして俳優の斎藤工が自ら制作し、アフレコも担当した作品だ。最初はアプリ向けの動画として制作されたこの作品が、なんと、ゆうばり映画祭で上映。映画祭には、斎藤工を除く3名が来場した。
もともと女優を目指していたニッチェの2人としては、映画祭への来場は感無量なのでは……?
ということで、“永遠のオトナ童貞のための文化系マガジン・チェリー”では、ゆうばり映画祭での上映を終えたニッチェと、曇天三男坊に話を聞いた。どうやら、オトナの下ネタに笑える層と、映画祭の観客との間には乖離があったようで……。

斎藤工さんとの仲良しエピソードから、女優を目指していたニッチェの2人が、芸人としてブレイクするために準備した未来の予定表の話、
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そして2人の後輩にあたる曇天の“かわいがられる技術”まで……もりだくさんでお届けのインタビュー!

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こんな形で映画祭に来てしまった

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――まずは、ゆうばり映画祭に呼ばれた感想を教えてください!

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近藤「昔からやっている由緒ある映画祭に関われるのは嬉しいですけど、正直『こんな形でか…』『この作品でか…』という思いが強いですね(笑)」

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曇天「上映は最前列に子どもがいたんですけど、子どもはゼロの顔をしていましたからね……」

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近藤「『4P』を笑ってもらうまでには、教育が追いついてなかったんでしょうね……」

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曇天「教育が悪いんですね」

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江上「教育が追いついたとしても、4Pを教えられることはないでしょ!」

斎藤工の“都合のいい女”になった私たち

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――というと、もともとは、映画祭まで持ってくるつもりはなかったということなんでしょうか?

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江上「実は最初、私たちは『せっかく作るなら映画祭狙う?』って言っていたんですよ。そしたら斎藤工が『欲が出るからやめよう。自分たちのやりたいことをやろうよ!』って言うから、あの内容にしたんですよ」

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近藤「そうしてできあがったら、『ゆうばり映画祭出しちゃおうよ』って工が言い出したんですよ。通らないだろうと思ったから『そうだねえ』って適当に返したら、『映画祭決まりました。僕は行きません』って言ってきやがったんです!」

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曇天「工に振り回され続けてますよ!」

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近藤「都合のいい女みたいですよ!抱きたいときだけ抱いて!」

斎藤工はウンコって言いたい

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――作品は全編に下ネタが散りばめられていましたが、あれは皆さんが、斎藤工さんに下ネタを言わせるように仕向けたという感じなんでしょうか?

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江上・近藤・曇天「いやいやいやいや!」

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江上「斎藤工は、顔がかっこいいイジリー岡田ですよ」

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――どういうことでしょうか?(笑)

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江上「声と顔がいいから成り立ってますけど、顔がブサイクだったら捕まってますよ!」

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曇天「顔が俺だったらヤバいですよ!」

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近藤「曇天は再現VTR出てたもんな、宮崎勤の」

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――皆さんの、不在の斎藤工さんいじりから、仲の良さが伝わってきます。そもそもの第一印象はどんな感じだったんですか?

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江上「工さんと、初めて会ったときは、一緒にコントをやっていたんです。すごく低姿勢で、いい人だなあ、という印象でしたね。ただ、練習を重ねていくうちに、ある時期からベロンと皮が剥けはじめたといいますか。段々、すごくいい声で『俺はウンコとか言いたいんだよ……』って言うようになったんです。正統派イケメンだって言われていて、苦しい時期だったのではないでしょうかね。ただ、もともと、芸人リスペクトをしてくれる人ではあったんですよね」

斎藤工の芸人リスペクト

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――芸人リスペクトですか。

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江上「常に『芸人さんはすごい。役者なんて芸人には敵わない』みたいな感じなんですよ。本人も、ウケるか、スベるかっていう空気をすごく気にする人ですね。まあ、でも、飲み会でも曇天には変なフリをするよね」

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曇天「そうなんですよ!他の人には変なフリしないのに」

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江上「ちゃんと人を見てフってるからね、あの人。曇天はずっと緊張してるから、コミュニケーションとしてやってくれてるんだよ、工さんは」

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――いやあ、でも飲み会の場ではわからないですが、今回の作品の曇天さん、めっちゃ面白かったですよ!この緑のキャラクターを担当してるのは誰だろう、ってずっと気になってました。

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曇天「ほら!」

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江上「ありがとうございます。実は、あの作品はストーリーの流れはあるんですが、脚本でびっしり決められているわけではないんですよね。曇天のボケは普段はつまらないんですが、キャラクターに喋らせることでハードルが下がったのかもしれませんね」

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曇天「やめてくださいよ!せっかく褒めてもらったのに!」

女優になりたかったニッチェに、解散の選択肢が浮かんだ日

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――さて、せっかくの映画祭という場なのでうかがいたいのですが、ニッチェのお二人は日本映画学校で出会われて、もともと役者志望だったんですよね。

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近藤「ええ、12年くらい前ですね」

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江上「もう、この12年の間にすっかり芸人になってしまいましたから、映画祭には『おじゃまします』みたいなテンションですよね」

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――この12年間の中で、役者への思いはいつ頃おさまっていったんですか?

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江上「ぱっとは、消えなかったですね。とくに私は、芸人始めてから5年間くらいはずっと『芸人やめたい』『役者やりたい』って言ってましたから」

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――そんな江上さんに相方の近藤さんはどう接していたんですか?

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近藤「ちょうど5年くらいたったときに、1回『解散しよう』って言ったんです」

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――え、解散ですか!

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江上「ええ私が酔っ払って『女優になりたかったんだよ私は、やりたくねんだよ、こんな仕事』って言ったら、近藤さんに『じゃあ、解散しよう』と言われました。『もういい加減にしろよ!』ってめちゃくちゃ怒られて、酔いがすっと冷めて、謝りました。そこから、心を入れ直しましたね」

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――近藤さんから見て、やっぱり心を入れ直したあとの江上さんの芸は変わった感じがしましたか?

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近藤「ええ、違っていたと思います。もちろん、もともとちゃんとはやっていたんですけど、江上さんは、どこかに逃げ道を作っていたんですよね。『できなくてしょうがないじゃん。だって私、女優やりたいだもん』という感じのね。『だって、私この仕事やりたくないから』って言ってるうちは伸びませんからね」

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江上「そんな節目が結成5年であって、そのあと、2・3年でテレビに出たり、賞をいただけるようになった感じです」

10年やって、食えなかったらやめると決めていた

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――芸人をはじめて7,8年目ということですね。

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江上「ええ、ラッキーだったなと思います。10年芸人をやって芽が出なかったら、芸人をやめるって決めていたので。『いつかこうなるといいな』だと、どうしても流れちゃうんで」

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――10年というタイムリミットを最初から決めていたんですね!

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江上「私たちは、30歳になっても芸事のお金だけで生活できなかったら絶対にやめるって、最初から決めていたんです。そうすると、逆算するようになるんです。10年で食えるようになるためには、5年でこの位置にいって、このライブで優勝して……といった感じで。そうすると、バイトは週に3日だね、部屋はボロくてもいいから、ネタを作ることに時間を充てよう、なんてことも決まってくるんです」

向いていることで大成すれば、全ては繋がる

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――素晴らしいですね……。その計画は今のところ、計画通りにいっている感じなのですか?

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近藤「今のところ、3年前倒しくらいで叶っています。実は計画は紙に書いていて、その紙は、まだ私が持ってるんですよ」

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江上「芸人をはじめるときに一緒に書いた紙なんですけどね。『準レギュラー』『レギュラー』『冠番組』なんて芸人としての目標が書いてあるあとに、私は『連ドラ』って書いてあるんです(笑)。10年より先もあって、60歳くらいまで書いてあります。でも、30歳までにご飯が食べられるようになる、という目標が叶っていたら、もうあとはおまけみたいなものなんです」

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――至言ですね……。

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江上「女優になりたくて専門学校にいっていたときに先生に『芸人になったほうがいい。テレビに出られるようになったら女優も絶対できる』って言われて、『ホントかよ』って思ってたんですけど、今は結果的にそういうことになっています。芸能界って繋がっているので、自分がいちばん向いている何かで大成できれば、全てできるんです。斎藤工くんだって、結局コントに出たりしてますしね。何かで大成しさえすれば、全ては繋がるんです」

曇天の“かわいがられる技術”

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――ここまでの素晴らしいお話を聞いて、曇天さんはいかがですか?

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近藤「どうだ、耳が痛えだろう!」

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曇天「いやあ、すごいですね。僕なんて、一切考えずに、ただニッチェさんという先輩の電話に出たら、斎藤工さんに出会えて、仲良い雰囲気出してたら映画にも出してもらえて、こうして夕張に来てますからね」

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江上「ラジオとか、斎藤工さんの回の『おしゃれイズム』にも出れてなあ」

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近藤「色々棚ぼただな!」

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曇天「僕みたいに、何にも計画してないのに、こんなパターンもあります、ということで……」

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――ただ、こうしてみなさんのやり取りを見ていると、やはり曇天さんに“かわいがられる技術”があるのかな、とも思うのですが……。

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近藤「あ、でも、言うほどかわいくはないんですよ」

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曇天「いやいや、かわいいはずです!」

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近藤「かわいくはないですね。太鼓を持つわけでもないし、マメなわけでもないし、笑ってるわけでもないし」

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江上「ただ、私たちが、なぜ曇天を呼ぶかといったら、ご飯をめっちゃおいしそうに食べるからなんです。初対面のとき、そこが意外だったんです。どうせこいつは、まずそうに食べるか、『僕もう食べてきちゃったんでいりません』なんていうか、だろうな、と思ったんです。そうしたら『うまいっすね!こんなもの、俺、初めて食いました!』みたいな感じで食べるんです」

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曇天「いや、ほんとにうまいもん食わしてくれるんですもん!」

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江上「でもね、若い子でそれを表現できるやつがいないんですよ」

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近藤「食に対する欲がないのよね」

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江上「だから、私は曇天を呼ぶんです。決して喋りが面白いからではありません」

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曇天「おいおい!他にもあるでしょ、褒めるとこ!」

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――では曇天さん、最後にそのご飯をおいしそうに食べる顔、を再現していただいてもよろしいでしょうか?

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(取材・文:霜田明寛)

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■関連リンク
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江上敬子(ニッチェ)

近藤くみこ(ニッチェ)斎藤工

曇天三男坊

友情出演:ミラクルひかる

部活DO!「エンタメ工作部」部員&スタッフ一同

【脚本】
はしもとこうじ

公式サイトhttps://bukatsu.hikaritv.net

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