ー3カ月前、童貞を捨てた。思ったほど、世界は変わらなかったー
チェリーについて

第46回 妄想!? 平成最後の紅白はコレだ!

さて、2018年のテレビ界の話題も、残すところ『NHK紅白歌合戦』くらいになってしまった。
今年は平成最後の紅白である。さぞや激動の平成30年史を総括するのに相応しいラインナップかと思いきや――そうでもない。サザンやユーミンが出場するものの、双方ともこれまでもちょいちょい出ていたし、考えたら昭和の時代からご活躍されてるので、特に“平成”感はない。北島三郎サンも特別枠で出られるが、こっちはもっと昭和の人だ。

――というワケで、今回のTVコンシェルジュはいつもと趣向を変えて、全編、妄想で語らせていただきます。題して、「平成最後の紅白・妄想編」――。僕らが待ち望んでいた紅白はこれでしょう、と。出場歌手と曲目を眺めるだけで、自然と“平成”感が湧き上がってくるのが見どころです。

実はこの企画、前にTwitterで「平成最後に相応しい紅白」と題して、チョロッとつぶやいたところ、かつて『とんねるずのオールナイトニッポン』でハガキ職人としても活躍されたガッテム竹内さん( @gtt214214 )が素晴らしいアイデア(出場歌手と曲目案)を提供してくれて、それが元ネタになっています。なので、ガッテムさんの全面協力のもと、お届けしたいと思います。

それでは、平成最後の紅白・妄想編――開演です。

中継禁止令。NHKホールを聖地に

おっと、その前に注意事項を。当紅白では、歌手の“中継による出場”を一切禁じます。
近年の紅白で何が興ざめって、本来、平等であるべき出場歌手なのに、中継でしか出場しない人がチラホラいること。

これ、始めたのは1990年の長渕剛サンからで、この時は東西融合を果たしたドイツ・ベルリンから中継したんだけど、なんと長渕サンが暴走して1人で3曲も歌っちゃって、7分以上も押して、その後の進行がめちゃくちゃになったんですね。ちなみに、この後、紅組の宮沢りえサンも中継で歌ったんだけど、こちらはビルの屋上のバスタブから泡につかりながら口パクで熱唱(?)するという、何だかよく分からない演出に――。

これ、NHKホールで歌うのがダサくて、中継のほうがカッコいいとする風潮だとしたら、大間違い。かのオスカーの授賞式もそうだけど、あの神聖なるステージに立ってスピーチすること自体が栄誉なんです。無駄な演出を省き、シンプルなスピーチ一本で会場を沸かすからカッコいいんです。
1つの会場にスターが集結し、スター同士が気軽に挨拶や抱擁を交わしたりする光景のなんとゴージャスなことか。当紅白が目指す世界観も、まさにアレ。

そう、高校野球にとって「甲子園」、高校ラグビーにとって「花園」、大学駅伝にとって「箱根」が聖地であるように――やはり紅白は、「NHKホール」を聖地にしないといけないんです。偉大なる様式美って、そういうこと。

学芸会的ノリがむしろカッコいい

あと、それに付随して――NHKホールにいると、他の歌手が歌う時にバックで応援させられるのが嫌だ――という歌手の声も少なからず聞く。
この考えにも異を唱えさせていただきます。むしろ、そんな学芸会的なノリがカッコいいんです。作家の永倉万治サン曰く「ものごとにキョリを置いて見ることほど野暮なことはない」――そう、ヘンに気取って距離を置くよりも、徹底的にバカになる方がカッコいいんです。

例を一つ。かのノーベル賞の受賞者たちは、一連の授賞式の一環で、ストックホルム大などの学生たちが主催するパーティにも招かれる。面白いのが、この時に行われる伝統行事。なんと、学生たちと一緒に「蛙とび」をするんですね。「さらなる躍進を願って」という意味が込められているそうだけど、この時ばかりは、大先生たちも童心に帰って蛙とびをする。傍から見ると遊び心が見えて――これがカッコいい。

紅白の応援合戦も、選ばれし大スターたちが年に一度、NHKホールで学芸会のノリで童心に帰る姿が、むしろカッコいいんです。これも、偉大なる様式美。

総合司会は小田切千アナ

さて、前置きはそのくらいに……妄想紅白、いよいよ開演です。
総合司会はNHKが誇る至宝・小田切千アナで行きましょう。ご存知、『NHK歌謡コンサート』や『思い出のメロディー』などの司会を経て、近年は『NHKのど自慢』の司会を5年以上も務めるNHK随一の演芸アナ。風貌は、家電量販店の営業マンみたいだけど、その司会術は名人芸の域。出場歌手に話を振り、会場のお客さんを沸かせ、完璧に歌を紹介して、時間内に収める。そして自分は必要以上に前に出ない――そう、プロフェッショナル。

実際、それぞれの組の司会は、司会と言いつつも、その年の「顔」みたいな存在で、むしろ目立たないといけない。脱線も大いにあり。その分、総合司会がきっちり進行しないといけないワケで、その役割はちゃんと分担させた方がいい。
なので、内村光良サンは総合司会ではなく、白組の司会に徹してもらい、そこで思いっきり遊んでもらう。紅組は現行通り、華のある広瀬すずサンでいいと思う。そして、両軍の司会が活躍できるよう、さりげなく2人の見せ場を作ってあげるのが、総合司会の小田切千アナなのだ。

メドレー禁止令

では、いよいよ本編の歌……と行きたいところだが、ごめんなさい、もう1つだけ注意事項を。当紅白は、メドレーを一切禁じます。
なぜなら、近年の紅白を低迷させた一因が、僕はこのメドレーにあると思うから。

まず、歌手の持ち時間は基本変わらないので、メドレーだとどうしても曲を短くしなければならず、それでは歌の持ち味が伝わりにくい。そもそも、「この一曲」に賭けるから、聴き手を感動させられるワケで――。
次に、メドレーを歌う人と、そうでない人の“格差問題”があるのも気持ちが悪い。そして何より、後から振り返って、その年の紅白の思い出を語りにくいのが致命傷だと思う。ある年の紅白のVTRを見せられても、メドレーを歌われていたら、一体いつの紅白か分からないし、そもそも思い出も何もない。

紅白はその年の世相を映し出すアーカイブ資料としての役割も担ってほしいので、やはり「この一曲」に限定すべきだと思います。

平成の30年を30曲で見せる

さぁ、長らくお待たせしました。いよいよ今度こそ本編です。
当紅白のコンセプトは単純明快。それは――“平成の30年間を30曲で見せる”――これだけ。シンプル・イズ・ベスト。白組15曲・紅組15曲、つまり全部で30組しか出場しない。例年、紅白は40組以上も出るので忙しいが、これだとゆったりした構成で、本来の「歌」をじっくりと聴かせることができるというもの。

そして、出場歌手と曲目は、純粋にその年にヒットしたものに限定します。これなら、1年毎にヒット曲を振り返られるし、聴き手(お茶の間)は自分の思い出とシンクロさせることができる。

それでは、ざっくりと4部構成でお届けしましょう。

第1部/ミリオンセラーの時代(平成元年~8年)

まず、第1部は、平成の幕開けから90年代中盤までをお送りします。この時代の特徴はミリオンセラーが続々と生まれたこと。そして、歌い手たちが多様性に富んだ時代でもあった。人気ドラマやバラエティなど、テレビ番組からヒット曲が輩出されたのも特徴で、さらにビーイング勢や小室ファミリーなどプロデューサーたちも大活躍した。

出だしは、X JAPANの『紅』でド派手に盛り上がりましょう。続いてテレビ番組発のヒット曲のメドレーへ。お約束のように、とんねるずの2人がステージ狭しと暴れまわります。そして、小室ソングとドリカムを経て、最後はPUFFYでユルく締める――。

平成元年 白組 X JAPAN『紅』

平成2年 紅組 B.B.クィーンズ『おどるポンポコリン』

平成3年 白組 KAN『愛は勝つ』

平成4年 白組 とんねるず『ガラガラヘビがやってくる』

平成5年 白組 藤井フミヤ『TRUE LOVE』

平成6年 紅組 篠原涼子with t.komuro『恋しさと せつなさと 心強さと』

平成7年 紅組 DREAMS COME TRUE『LOVE LOVE LOVE』

平成8年 紅組 PUFFY『アジアの純真』

第2部/ディーヴァの時代(平成9年~15年)

続いて第2部は、ミレニアムを挟んだ世紀末から21世紀初頭にヒットしたナンバーをお届けします。この時代の特徴は、歌姫(ディーヴァ)たちの活躍。宇多田ヒカルをはじめ、椎名林檎、浜崎あゆみ、モーニング娘。――。一方で、平成の大スターSMAPが大ヒット曲『世界に一つだけの花』をリリースしたのもこの時期。そして、沖縄出身の歌手たちも注目されました。

そこで、まずはジャニーズと山下達郎が組んだ、あの傑作から参りましょう。続いて、ここからディーヴァたちの怒涛の4連投。宇多田ヒカルが伝説のデビュー曲を披露してくれます。そして沖縄の新しい風を届けて、締めは一夜限りの再結成(※夢です)のSMAPの名曲を。

平成9年 白組 KinKi Kids『硝子の少年』

平成10年 紅組 宇多田ヒカル『Automatic』

平成11年 紅組 モーニング娘。『LOVEマシーン』

平成12年 紅組 椎名林檎『本能』

平成13年 紅組 浜崎あゆみ『evolution』

平成14年 白組 MONGOL800『小さな恋のうた』

平成15年 白組 SMAP『世界で一つだけの花』

第3部/青春の時代(平成16年~21年)

第3部は、2000年代中盤から終わりまで。この時代の特徴と言えば、ジャニーズを始めとする男性グループの活躍。いずれも青春ドラマの主題歌に使われ、ヒットした共通点を持ちます。また、中田ヤスタカのプロデュースでPerfumeがブレイクしたのもこの時期。変わり種では、演歌の坂本冬美がフォークデュオのビリー・バンバンの曲をカバーしてヒットする現象も――。

まずは景気づけに、アテネ五輪の体操日本男子金メダルを呼び込んだ、あの曲から。続いて、人気学園ドラマの主題歌を2曲――あの伝説のデュオが復活します。そして、広島から来たテクノポップユニットが一躍ブレイクした楽曲を挟み、嵐の屈指のヒットナンバーでドカンと盛り上がり、最後は坂本冬美サンでしっとりと。

平成16年 白組 ゆず『栄光の架橋』

平成17年 白組 修二と彰『青春アミーゴ』

平成18年 白組 TOKIO『宙船』

平成19年 紅組 Perfume『ポリリズム』

平成20年 白組 嵐『One Love』

平成21年 紅組 坂本冬美『また君に恋してる』

第4部/グループの時代(平成22年~30年)

最後のパートは、2010年代のヒットソングをお届けします。この時代の特徴は、AKB48を始めとするガールズグループの増殖と繁栄、一方でEXILEを起点とする男性グループの台頭も。彼らのもとで振付は高度なダンスへと変貌し、“聴かせる”から“見せる”パフォーマンスへと進化したのが、同時代の特徴。その最後を飾るのは、ダサかっこいいと評判になった究極のダンスナンバーです。

まずは、AKBの代名詞とも言えるヒットソングを皮切りに、多種多様なグループソングをリレーでつなぎます。途中、西野カナで1クッション置き、後半は坂道グループを2連発。最後は出場歌手全員で、『U.S.A.』ダンスで盛り上がります。

平成22年 紅組 AKB48『ヘビーローテーション』

平成23年 白組 EXILE『Rising Sun』

平成24年 紅組 ももいろクローバーZ『サラバ、愛しき悲しみたちよ』

平成25年 白組 ゴールデンボンバー『女々しくて』

平成26年 白組 三代目J Soul Brothers『R.Y.U.S.E.I.』

平成27年 紅組 西野カナ『トリセツ』

平成28年 紅組 欅坂46『サイレントマジョリティー』

平成29年 紅組 乃木坂46『インフルエンサー』

平成30年 白組  DA PUMP『U.S.A.』

グランドフィナーレ

紅白の勝者が確定したら、いよいよグランドフィナーレへ。
ここは、出場歌手全員で歌います。曲は、美空ひばりの『川の流れのように』。同曲は、元号が平成になって4日目の平成元年1月11日にリリースされた、まさに平成の幕開けを象徴する一曲。同年6月にひばりさんが亡くなられたので、生前最後の歴史的作品となったのは承知の通り――。
よく間違われるけど、ひばりさんが亡くなられたのは昭和ではなく、平成。その意味で、平成最後の紅白のフィナーレを飾るに相応しい一曲でしょう。

――以上、妄想でお送りしました、平成最後の紅白。この機会に、あなたの理想の紅白も考えられてはいかがでしょう。

ま、それはそれとして、本チャンの『紅白』を見るのも悪くありません。SNSで遊ぶなら、やっぱり『紅白』を見たほうが断然面白い。だって、作家の永倉万治サンもこう言ってるじゃありませんか。「ものごとにキョリを置いて見ることほど野暮なことはない」――ってね。

1年間、『指南役のTVコンシェルジュ』にお付き合いいただき、ありがとうございました。来年もテレビとの楽しい付き合い方をご指南しますので、一つよしなに。また、お会いしましょう。

良いお年を。

(文:指南役 イラスト:高田真弓)

ー3カ月前、童貞を捨てた。思ったほど、世界は変わらなかったー
PAGE TOP