ー3カ月前、童貞を捨てた。思ったほど、世界は変わらなかったー
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「お金には意味がない!」“藤原竜也節”で聞きたい『新しい王様』名演説集

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“藤原竜也演説”は全ての世界を成立させる

―藤原竜也が演じれば、全ての虚構は成立する―

……そう言っても過言ではない。
「こんな世界あるか!?」「こんな奴いるのか!?」と一瞬、設定だけ聞くと訝しく感じてしまうような世界観でも、ひとたび放り込まれれば、そこにリアリティを生み出してくれるのが俳優・藤原竜也である。

そして、その藤原竜也パワーが、より強く発揮されるのが、“藤原竜也×演説”という組み合わせ。

どんな作品の演説も、藤原竜也という身体を通すことで、説得力とリアリティ、そしてエンターテインメント性が増す。“なんだか見てしまう”藤原竜也の演説は、結果的に、その演説の内容、ひいては作品のメッセージ性までもしっかり届けることに成功しているのである……!

届けたい言葉は、藤原竜也に託すべし!『新しい王様』名演説集

……と「届けたい言葉は、藤原竜也に託すべし!」が持論の、“永遠のオトナ童貞のための文化系マガジン・チェリー”がオススメする、藤原竜也の“最新演説作品”がParaviで絶賛配信中の『新しい王様』だ。

藤原竜也演じる、金の力を信じない自由人・アキバと、ファンド代表で企業買収を仕掛ける、香川照之演じる越中の2人を軸に、テレビ局買収劇を描く、ビジネスマンが見ても楽しめるエンターテインメント作品になっている。……とだけ書いても、その壮大な魅力は伝わらなさそうなので、チェリーでは、『新しい王様』の中から注目の藤原竜也演説シーンをピックアップ!
お金で何でも買えるのか、テレビとネットの関係はどうあるべきか、どんな人を大切にするべきか……様々な示唆にとんだ演説内容をチェック!

(※既に見ている方は、時間も明記してありますので、もう一度アキバこと藤原竜也の演説を楽しむ復習用としてご使用ください! なお、ドラマの内容に一部触れることになりますので、未見の方はご留意の上、読み進めていただけますと幸いです)

①藤原竜也、お金なんてどうでもいいと語る


まずはSeason1第1話のラスト。22:19。
謎の男・アキバが、早くお金儲けをしていい思いをしたいという若者・コウシロウ(演・杉野遥亮)と雑居ビルの屋上で食事をする最中、急に「ファイナルクエスチョン!」と言いながら立ち上がりこう演説を始める。

「お金なんてどうだっていい! 奴らが持ってるものを欲しがってたら、いつまでたっても奴らにペコペコして頭を押さえつけられるだけだ。餌食になるだけだ!
奴らに手の届かない自分の内面に、自分だけの力を身につけろ! お金は関係ない!」

途中、この物語での“金でものを言わせようとする奴ら”の象徴である越中(演・香川照之)のゴージャスな食事シーンが挿入される。
そしてアキバは、喋りながら突然スマホで、トラを救う基金に1億円寄付してこう続ける。

「興味をもて! 考えろ! 提案しろ!
交渉しろ、受け入れろ、批判しろ!
見通せ、踏み出せ、生き残れ!
強くなれ! そして強い奴にこそ立ち向かえ!
それが、あ……」

「それが、あ……」と、藤原竜也が口の形を「あ」にしたところで、このドラマ史上初めて『新しい王様』とタイトルが挿入されるという、演出的にもテンションの上がるシーン。

続く第2話の冒頭、6:02からも

「お金には何の意味もない! 何かを所有することに、もう意味がないから! 大切なのは金じゃない! それが、あ……」

というところで『新しい王様』とタイトルが入るという同じ演出。アキバが、そしてこのドラマが大切にする価値観が提示される重要なシーンである。

②藤原竜也、大切にすべき人を語る

アキバの言葉を受けて、ギャラ飲み女子を集めるパーティーを主催し始めるコウシロウ。コウシロウを軽視する越中に、アキバが諭す言葉を自ら語りだすのが第3話の5:44。

「コウシロウは付加価値のある若くてかわいい女のコたくさん集めるんだから、若くてかわいい女のコそのものより大事にしなきゃいけない」

紹介されて連れて来られる人材よりも、多くの人材を紹介してくれる、ハブとなる人間を丁重に扱えという、人脈術としても役に立つ内容のセリフ。
ここは、サラサラと喋ったあとにゆっくりと抑揚をつけて語る分、「コウシロウを大事にしなきゃいけない」ということがより身に染みる内容。ここから、越中とコウシロウの関係が始まり、物語は複雑化していくことに……。

③藤原竜也、金でモテる虚しさを語る

第6話の6:12にして、ヒロイン・エイリ(演・武田玲奈)が初めて、アキバの部屋にやってくる。レストランでは残った食材をタッパーにいれて持ち帰り、タクシー移動はせず、人のオフィスに居候しているアキバが、豪華なホテルの部屋を借りっぱなしにしているということに驚くエイリ。「隠さなくても……」と動揺するエイリにアキバはこう語りかける。

「例えば、俺がこういうホテルにひとり住まいしてて、例えばここに女性が来ると、この部屋のせいで俺のこと好きになっちゃうじゃん。つーかそういう錯覚に陥るじゃん。俺そういうの嫌なんだよ。それって実は俺の本質とは関係ない。俺の本質はこの部屋とは関係ない」

自分が所有しているものは自分の本質とは関係ない、と金やモノで評価されることを嫌うアキバ。
金でモテようとする男と、金に群がる女たちが登場人物として多く配置されたこのドラマにおいて、アキバとエイリが、自分の価値観で生きていることを描くシーン。
ここでは静かに語るアキバだが「たぁとえばぁ」に重きをおいて2回繰り返すことで藤原節が冴え渡る。

④藤原竜也、テレビとネットを語る


テレビ局がそのまま使用して間違いが話題になった“九州地方の代わりにアフリカ大陸をいれた日本地図”は、もともとは自分がネットに上げたことを、テレビの生中継に乱入して告白するアキバ。(第3話 22:41)
そのままテレビカメラをつかみ、アップのまま、過去最高のテンションでこう叫ぶ。

「気をつけろ! 君たちは顔も知らない相手の情報を鵜呑みにするのか? ネットもテレビも信用するな! 自分の頭で考えるんだ! それが、あ……」

と、1話、2話と同じく言い切る前に3話は終了。
単にテレビを批判してネットを持ち上げるのではなく、自分の頭で考えることを強く訴えるアキバ。その後も、テレビとネットについて語る場面は、アキバのテレビ出演という形式を通して随所に出てくる。

また、第8話 7:30では、『ネットVSテレビ』を論じる番組でこんな語りが。

「みんな地上波のテレビの番組作りにはうんざりしてるんだ。ネットがテレビになんか依存して地上波の影響受けてたら、第2のテレビみたいになって付加価値もなくなってダサくなるから生き残れない。
今もね、テレビが優位な立場にあるとしたら、それは国民の財産である電波の使用権を持ってるという圧倒的な既得権による発信力であってコンテンツが面白いとか役立つから選ばれてるわけじゃないよ。
今は視聴者が情報を選択する時代だ! 危機感もなく楽観して垂れ流す一方的な情報や、ゆるいコンテンツなんていつか誰も見なくなる日が来るよ!」

「いつか誰も見なくなる日が来るよ!」まで完全な藤原竜也節で、今のテレビの形骸化が伝わってくる。ちなみにこの『新しい王様』は、配信であることをいいことに、攻めた内容にしているのかと思いきや、ParaviだけでなくTBSでも放送された。深夜枠とはいえ、地上波でこの内容が流れていることが刺激的である。

⑤藤原竜也、感性の重要性を語る

アキバと越中、ふたりとも金を持つ人間ではありながら、その価値観の違いが浮き彫りになっていくこの『新しい王様』。
海中カジノを作り、金もうけのために海の生態系を壊そうとする越中を、テレビのインタビューを通してアキバが批判するのが、第6話の11:40だ。

「あの人は、あの人のダサい感性や価値観を金や資本の力で世界に拡大して、世界をダサい色一色に塗ってしまう危険性がある。地球にも寿命があると思うけど、この星が続く限りは、色んな色彩が息づいていて欲しいでしょ」


さらに同じ第6話の21:54ではそのインタビューの放送という形で再度こう越中を批判する。

「感性や価値観が未熟な人間が、金だけもって、その未熟な価値観や感性でもって、環境に手を加えて、多様性を損なうのは絶対に許せない」

怖いのは、ダサい感性の人間が、金で影響力をもってしまうこと。それで世界が悪しき方向に変わってしまうこと。もはやドラマの中だけではなく、今の日本への警告にも聞こえてくるこのセリフ。
ここで越中と対比される“ピュアなソルジャー”としてのアキバの立ち位置がより鮮明に浮き上がり、藤原竜也という、きめ細かい感性と洗練された雰囲気を持つ俳優がキャスティングされたことの素晴らしさがより湧き上がってくるのである。

藤原竜也だけじゃない! 女優も魅力的

……と、ここまで“藤原竜也演説”を軸に『新しい王様』の内容を紹介してきたが、もちろん『新しい王様』で魅力的なのは藤原竜也だけではない。

まずは、ヒロインのエイリを演じる武田玲奈。パンチラシーンもあれば水着シーンもあるのだが、いやらしくならないギリギリのラインで、その色気が目を引いてしまう。
おそらくこれは、ドラマイズム『やれたかも委員会』第3話で武田玲奈を最高にエロかわいく切り取った山口雅俊監督による、凝りに凝って撮ったであろう演出の賜物。
そして色気だけではない。ともに人としてピュアであることが求められるアキバとエイリだが、このドラマの論理性を担保するのがアキバならば、感性を担保するのがエイリだ。決して恵まれた環境とは言えない中を生き抜くエイリだが、武田玲奈の演じるエイリが健気であればあるほど、Season2・第2話『オーディション』でエイリが読むことになる、あるセリフが大いに泣けることになる。
また、ヒロインのみならず、芦名星、泉里香、野波麻帆etc……といったゼロ年代から活躍する女優たちが脇を固め、30歳を過ぎた大人の女性だからこそ演じられる役柄で魅力を放つのもまた見どころである。

2019年のテレビ業界・ネット業界のリアリティ

「私はキミに投資したい」と言って若い女性に迫る金持ち、
港区飲み会で金持ちに見出される、飲み慣れていない女子、
女性アナウンサー出身で記者としての自覚が出始める女性、
ネットのニュースをファクトチェックなしに垂れ流すテレビ局……。
細かなところにいたるまで、2019年のテレビとネットと東京のリアリティが込められているこの作品。

冒頭で
―藤原竜也が演じれば、全ての虚構は成立する―
と書いたが、この『新しい王様』は、どこかの国でこんな話が存在したかのような、もはや“虚構の物語”と線を引いてはいけないようなリアリティの上に存在している。

そしてそのリアリティの上に、藤原竜也の演技が掛け合わされた奇跡が『新しい王様』には刻印されている。
アキバが言う“感性や価値観が未熟な人間”が、金の力で多様性を封じ込めてしまう前に、僕たちはこのアキバのメッセージを受け取っておくべきなのかもしれない。そう、藤原竜也のリズムにのせて。

(文:霜田明寛)

提供/関連リンク
Paravi

 

関連情報

©TBS
TBS×Paraviスペシャルドラマ「新しい王様 Season2」
2月18日(月)より 毎週月曜夜1:58-2:28
TBS系で放送中&Paraviでも絶賛配信中!
https://www.paravi.jp/static/atarashiiosama/

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