チェリー誕生から6年。編集部平均年齢26歳で始めたこのサイトも、気づけばアラサーたちが運営するものに……。
「童貞をひきずっている」というコンセプトで始め、その志は変わらないし、相変わらずひきずり続けてはいるものの、編集長の霜田に至っては36歳。このままアラフォーを迎えてはマズいのでは。「オトナ童貞」が「大人」になるための儀式、それはもしかして今まで考えることすら避け続けてきた「結婚」なのでは!?
そう考えた霜田と創設メンバーの小峰は、チェリー編集部内唯一の女性であり既婚者、2人の子供の母でもある菱山に教えを請うことにした。
今回、議題に上がったのは飲み会での出し抜き方。小峰は、戦うべき相手が多い飲み会での出会いに苦手意識があるようで……。
【編集部員プロフィール】
霜田(シモダ):1985年生まれ。昨年結婚したがオトナ童貞性は健在。
菱山(ヒシヤマ):1991年生まれ。双子の母。過去にビッチ女子大生を自称していた。
小峰(コミネ):1991年生まれ。現在未婚のオトナ童貞。
■男女複数人でのポジション取りの難しさ
小峰「最近、僕の周りで結婚した友達でも『(マッチング)アプリで出会いました』と堂々と公言するパターンが増えてきて、時代の変化を感じます」
菱山「数年前だと、親族にアプリで出会ったとバレたくないから、結婚式で2人の馴れ初めを『紹介』と濁すパターンが多かったですが」
霜田「僕の世代だと、男女の出会いと言ったら飲み会のパターンがまだ多いかも」
小峰「実際、僕もアプリで出会ってデートしたことはありますよ! いきなり1対1という緊張感もありましたが、大人数に割って入るよりはラクだと感じました。
だって合コンで自分以外の男性が『サッカー部のノリ』を出してきたら黙るしかないですし、大学のサークルでもイケイケの奴に好きな子を奪われたこともあって、どうも男女複数人という状況から恋愛に発展させることが苦手で」
霜田「永遠にサッカー部を目の敵にするのは、オトナ童貞あるある……!」
小峰「でも大人になる上で、そのコンプレックスも克服したいと思っています。今回は、男女複数人の飲み会での立ち回り方について、教えてほしいです!」
■飲み会は「チーム戦」と心得よう
菱山「大前提、飲み会では『いかに場を盛り上げるか』が大切だと思っています。自分が参加した飲み会を『キツイ飲み会』には絶対にしない。キツイ飲み会にいた人への印象って、絶対に悪いので。逆に『楽しい飲み会』になったら、その時にいたメンバーって、何故か良い人に見えがちじゃないですか?」
霜田「チーム戦を逆手に取る作戦ですね!」
菱山「そう、飲み会はチーム戦なんです! 自分を可愛く見せたいとか、この中で一番モテたいという個人戦ではなく、『絶対に盛り上げなくてはならない』という使命感を持って挑んでいます」
小峰「盛り上げるために、具体的にどんなことをしているんですか?」
菱山「今この場に足りないピースに自分がなりきります。例えば、すごく面白いのに、合コンだと静かになってしまう友達がいたとしたら、『司会者』のピースになる。ある程度会話を回して喋りやすい雰囲気を作ったのち、パスを出すこともありますし、逆に同性だけで盛り上がってしまっていたら異性にも話を振る」
霜田「まるで就活のグループディスカッションのよう!」
菱山「あとは、静かな方ばかりで全然盛り上がらなかったら『ヤバイ人』というポジションになりきる。私の場合、明るいテンションで『いや~私実は結構ビッチなんですけど……』とか語り出すと『ちょっとそれどういうこと?w』って、ツッコまざるを得ない状況になって、盛り上がる。男性でヤリチン公言は引かれるので、『彼女にこんなことしたらフラれたんだけど、やっぱりヤバイ?』と、恋愛失敗談を明るく相談するくらいなら盛り上がると思います」
■自分の素を出すのは2次会から
小峰「でも、そこでモテようと思ったらどうするんですか? 場を盛り上げただけではなく、自分も美味しい思いをしたいじゃないですか……」
菱山「もちろん、絶対に美味しい思いはします! そのためには、場を盛り上げきった後で、気になる人へは二次会で距離を縮めるようにしていますね」
小峰「一次会は自分を殺し、二次会から出していくのか」
菱山「気になる人にだけ自分の素を出した方が、良いギャップになるし。『あんなにふざけていたけど、実は真面目なところもあるんだ!』と思ってくれた方が、良い印象を与えるので」
霜田「猫拾ったヤンキーがめちゃめちゃ良い人に見える理論だ」
菱山「別の手として、少し性格悪いですが、気になる人にだけ実は頑張って盛り上げていた……と、こっそりタネ明かしをするのもアリ。そして『今日の飲み会、どうなることかと思ったけど、あなたがいてくれたから楽しかった』と伝えれば、相手を立てつつ、共犯者的関係になれてグッと距離が縮まります」
霜田「器用すぎる(笑)」
■自分の「好き」をストレートに表現できる人は強い
小峰「なるほど。菱山さんの行動は主体的で良いですよね。飲み会の面白さや恋愛の主導権を相手に委ねていない感じがします」
霜田「でも、自分主体で動いて失敗すると精神的ダメ―ジが大きそうです。失敗することはなかったんですか?」
菱山「はっきり自分の感情を表すという意味で、変な駆け引きをダラダラするよりも、何事も誘うのは『自分から・その場で・直球で』を心がけていました。飲み歩いていた20代前半の頃、そんな女はなかなかいなかったので、正直、当時の勝率は高かったです。それにたとえ失敗しても後悔が残らないので、すぐ切り替えられますし」
小峰「めちゃくちゃカッコいいですね」
霜田「自分の思う通りに人生を動かすって素敵ですよね」
菱山「そういう人って意外に少ないから、恋愛する上でも強いと思います。やはり男女共に自分の感情をストレートに表現できる人が最後に勝つ。全ての行動は自分の責任だから、人に期待して病むこともないですしね」
■男性には、「友達に恋人を紹介された場」では盛り上げてほしい
霜田「飲み会で言うと、最近、妻に自分の友人を紹介するときに、気疲れさせないかが気になってしまって。菱山さんはどうしています?」
菱山「彼氏に呼ばれた飲み会は、自分が主体になっちゃいけない場じゃないですか。だから盛り上げることもできないし、彼氏の手前変なことも言えない。だからこそ、黙ってニコニコ話を聞いてお酒を作るホステス的な役割を演じるしかなくなりますね。そこは紹介された側の男性陣がその場を盛り上げる役割を担ってほしいと思います」
霜田「よかった。僕、妻の友人を紹介されたときには、必要以上にその友人に興味を持とうとしてしまうところがあります」
菱山「それは大事ですね。それは盛り上がりに繋がると思うし、そうしないと誰も楽しくない」
小峰「というか、そもそも論で恐縮ですが『恋人を友人に紹介』ってなんでするんですかね? いらない文化では!?」
菱山「うーん、個人的にはたとえホステスになろうとあってほしい文化ではあります。恋人がどんな友達とつるんでいて、友達の前でどんな顔をしているかは絶対見ておきたい。恋人が私だけに良い顔している場合もありますから。特に、結婚する前はコミュニティまでチェックしておかないといけないと思います」
霜田「相手のバックグラウンドまで知ることができますしね」
菱山「女性だけにカッコつけてくるヤリチンとか多いですからね。むしろ親よりも友達の方が見たいかも。親は選べないけど、友達は選べるから。どんな友達を選び、選ばれてきたんだろうって、相手の人生の選択を知りたい」
小峰「そうか。たしかに友達関係に価値観が現れることもあるから、男女共に必要な儀式なのかもしれない」
菱山「だからこそ、友達が恋人を紹介してきたら、その友達を立てる意味でも、紹介された側は場を盛り上げるべき。その恋人から友達への評価に直結しますからね」
■デートでも大切な、エンターテイナー精神
小峰「飲み会を盛り上げられるエンターテイナー気質の人たちは、いざデートなどの1対1の関係になった時はどうするのでしょうか?」
菱山「私の場合、デートでもエンターテイナーでいるようにしているかも。例えば事前に趣味を探っておいて、この話題なら盛り上がりそうとか、この前のあの話をしようとか、この場所がつまらなかったらここ行こうとか考えておく。まずは相手を楽しませて『素』を引き出してから、こっちも素を出すという順番は意識しています」
小峰「相手を楽しませると同時に、自分もデートを楽しむ才能がありそうですね」
菱山「だって『つまらなかった』という感情は、人生で一番ムダじゃないですか。何かしらお土産を持って帰りたい」
小峰「婚活の場でも、『良い人がいない』と語る人は多いけど、自分が良い人じゃない可能性をみんな考えていないと聞いたことがあります。そういった意味でも菱山さんのマインドは大切だと思いました」
菱山「みんな人に期待し過ぎですよね。自分も含め、世の中の大抵の人が『たいしたことない人』なのに」
小峰「昔、ドラマのセリフで『運命の人なんていない。運命の人にするの』という名言もありましたよね」
霜田「ああ!『逃げるは恥だが役に立つ』ね!運命は作るものなんだね」
■目の前の相手を「運命の人」にしていくのが、結婚生活
菱山「まさにその通りで、結婚生活もまさに『運命を作っていく作業』じゃないですか? 目の前の相手を運命の人にしていくしかない」
霜田「そうですね。結婚生活でも、足りないピースを主体的に補う姿勢が大切というのは、『飲み会での盛り上げ』にも通ずる点があります」
小峰「恋愛でも結婚でも『この人で良かったのかな』って思ってしまうことがあると思うんですけど、それって相手にとても失礼ですよね。だからこそ恋愛でも結婚でも、自分で選んだ人に対しては『この人で良かった理由』を自分から増やして行く姿勢こそ、幸せの近道だと感じました」
菱山「人生1mmも損したくないと思っているので。そのためには、自分で幸せの道を作っていくしかないとは思いますね」
ROAD⑪ 恋愛・結婚・友人の紹介……どんなシチュエーションでも受け身でいると、損をしてしまう。
(構成:菱山恵巳子)