オトナ童貞のための? 映画が届いた!
――呆れる程に、馬鹿だった。――
14歳の少年4人が、AV女優がサイン会にやってくると聞きつけて、居ても立っても居られなくなり、小さくも感情を大きく動かす騒動が巻き起こる。思春期の、いや14歳という絶妙な時期の童貞男子たちの心情を鮮やかに切り取った『14の夜』。
1987年を舞台にしながらも、普遍的な童貞男子の姿を瑞々しく映したこの作品は、かつての童貞時代を引きずっている“永遠のオトナ童貞のための文化系マガジン・チェリー”にはドンピシャの“性春讃歌”である。
スパガ・浅川梨奈が巨乳ヒロインを好演
そして、この作品で主人公タカシの幼馴染であり、作品のヒロイン的存在・メグミを演じるのが、SUPER☆GiRLSの浅川梨奈。巨乳のヤンキー、という設定を見事な存在感で演じきっている。女優業以外にも、バラエティー番組や「1000年に一度の童顔巨乳」というキャッチコピーでグラビアでも大活躍の彼女。
『14の夜』のメグミも、巨乳であることがキーポイントとなっていく役柄だったが、浅川本人と通じるところはあったのだろうか。そして、14歳男子たちがメグミに注いだような性的な視線をどう感じているのか……本人にインタビュー。驚くほど軽快に答えてくれた。
感想ツイートがしづらかった
――まずは、完成した作品を見ていかがでしたか?
「初めて完成したものを試写で見たときに、感想をツイートしようとする手が一瞬、止まったんですよ……」
――ええっ、お気に召さなかったんですか?
「いや、とっても面白かったんですが、この作品を私が『面白かった!』っていうと、色々と誤解が生じるんじゃないかと思って」
――確かに、あんな14歳男子の性への執着が理解できるの……?ってザワつくかもしれません(笑)。
「でも、実際、女のコから見ても面白いんですよね。それに、男性はきっと過去を思い出して、楽しめる作品になってると思うんですよ。自分が通ってきた道を描いてくれる映画って、一番共感しやすいですしね。だから、もうこの取材では、楽しくて仕方なかった浅川さん全開で話したいと思います(笑)」
娘の胸に母は動揺
――ありがとうございます(笑)。でも確かにそういう気配りも必要なくらい、現役アイドルが演じる役柄としては、かなり刺激的でした。周りの反応はいかがでしたか?
「ママは、私の胸ばっかり映されていて動揺したみたいです(笑)。『内容は面白かったけど、ちょっとママには難しかった』って言われました」
――お母様は、お下品な話はNG気味なんですね。
「ママは心配症で、下ネタもNGな人なんですよ。あとは『昔のあんたを思い出したよ』とも言われました」
――ええっ、メグミと浅川さんに、通じる部分があったんですか?
「さすがにあんなヤンキーではありませんでしたけど、小学生の頃は結構やんちゃだったんですよね。男のコと喧嘩して校長室に呼ばれるようなタイプでした。言葉遣いも、メグミほどではないにしろ、きれいな方ではなかったですかね(笑)」
エロ本男子とも仲よくできた
――では、周りにタカシのような男子たちはいましたか?
「ええ、作品を見て『今の時代にこんなコいるかな?』って考えてみたんですよ。考えてみたら……いましたね(笑)。小学生の頃、帰り道の文房具屋さんの横になぜか大量に積んであるエロ本を、毎日取りに行く男子とかいたよなあ、って思い出しましたね」
――ちなみに、そういう男子に浅川さんはどういう風に接していたんですか?
「そういう男子のほうが仲良くできましたね(笑)。『えっ、一緒に見せてよ!』なんて言って加わるタイプでした。男子と一緒に見ながら『これ、やばいね!』なんて騒いだり、解説を加えたりしていましたね」
「ウソでしょ?」と言われるけどホントにモテない
――失礼な言い方ですが……それって、モテるタイプの女子ではないですよね?
「おっしゃるとおりですね(笑)。『いやだぁ、もぅ~!』っていう女子の方がかわいくてモテますからね。だから、その頃から、今にいたるまでモテないんですよねぇ。自覚はしているんですけど、性格ってなかなか直らないもんで」
――ええっ、今もモテないんですか? 天下のスパガの浅川さんですよ!?
「こういうことを言うと『ウソでしょ?』って言われるんですけど、『ウソでしょ?』が最大の悪口ですよ!(笑)ウソじゃないんですもん。むしろ、私、誰かに告白されたり、口説かれたりしたら、嬉しくて、こういう取材の場でも言いますもん。仲いいファンの人にも言うかもしれない。本当に縁がないんです」
――でも、男性のにおいがしないって、素晴らしいアイドルじゃないですか!
「アイドルとしては100点ですよ。でも、普通の年頃の女のコとしては最悪です(笑)」
浅川梨奈の“14の夜”
――恋愛面でいうと、メグミは地元の暴走族のボスとつきあってしまいます。
「14歳って、大人になりたくて、背伸びするけど、なりきれないっていう年頃なんだろうな、と思います。だから、周りの空気に流されてグレてしまって、ああいう男とつきあってしまう。でも一方で、過去にタカシくんにしてもらったことをずっと覚えているっていうのは、すごくいいなと思うんです。だから、悪いコじゃないと思います」
――浅川さんの14歳の頃ともちょっと違う感じですか?
「私は、小学生の頃と違って、中学生になってからは、なぜか人見知りをはじめちゃって……。男子には敬語を使うようになってました。プリントを配るときも、後ろの席の男子と目が合わないように渡すようなタイプです。今となってはちょっと後悔してますね。14歳の頃はちょうどスパガに入った年だったということもあって、関わる大人の数もグッと増えましたしね。同級生に対してはちょっとツンツンしてた、という意味でそこはメグミに通ずる部分かもしれません」
唾の吐き方で10テイク
――ちょっと具体的なシーンの話も伺えればと思います。まずは、メグミが唾を吐くシーン。普通、『唾を吐け』と言われたらペッと前に吐き捨てると思うんですが、下の方をむいて、にゅーっと垂らす感じが、とてもよかったです。
「そこ、注目していただいてありがとうございます。あのシーン、10回くらい撮ったんですよ。私もペッと出すもんだと思っていたんです。そうしたら監督に『もっと、ネチョ~っと出して!』って言われて。そのあとも『もっとデロ~っと!』みたいな指示がとんだりして、だんだんと褒められるようになってきました。そのときは『私、なんで唾を褒められてるんだろう……』と、ちょっと疑問でしたが……。できあがった映像を見たら、ヤンキーの素行の悪さのようなものが出てて、監督は凄いなと思いました」
胸しか映さないカメラがあった
――妙なセクシーさもありましたよね。他にご自身で、ここはセクシーかなと思うシーンはありましたか?
「最初の登場場面で、落とした鍵を拾う場面があるんですけど、あそこで胸が大きくうつるんですよね。あそこに関しては、もう顔もうつってない(笑)。撮影のときには3コくらいカメラがあったんですけど、位置的に、完全に胸しかうつしてないカメラがあったんですよ。その上、何度も『髪が胸を隠しちゃってる!』みたいなことを言われて、撮り直すという」
――ちなみにあのシーンを撮るときはモニターの周りに男性スタッフが15人くらい集まっていたと伺いました。
「みんな14歳から変わってないもんですねえ!(笑)」
自分の胸に拍手
――できあった映像を見てご自身ではいかがでしたか?
「私、あれがスクリーンにうつった瞬間、拍手しちゃいました」
――恥ずかしい、という気持ちではないんですね。
「今回は普段に比べて、隠れてる面積が大きいんですよ。グラビア撮影が多いと、水着が正装みたいな時期もあるので。去年の夏は『布をくれ』とずっと思ってました。だから今回は、短パンだし、お腹も隠れてたから、布があるほうでした。まあ、ママは嫌がってましたけどね。私は『面白いじゃん! 胸もケツも出すためにあるんだよ!』って思ってましたね」
ピュアな男子はすごい
――なんとも男性に理解の大きいコメント!
「グラビアをやり始めた頃は、抵抗を感じる時期もありましたけどね。ネット上でエロいことを言われて傷ついたりもしました。でも、最近ではTwitterで何を言われても、冷静に『こういう風に見られてるのか』と対処できるようになりましたね。グラビアでは色気が出てるかもしれませんが、現実では、そういう目線で見てくれる人がいないので。むしろ、もっとそういう目で見ていいよ、って思うんですけどね」
――なんだか、タカシたちのような男子には女神のようです。
「彼らはやっぱりピュアですよね。『おっぱいに触る』という、くだらないといえばくだらない目標に向かって、一致団結して、向かっていく。そのために、あれだけ色々なことを乗り越えていくっていうのは、すごいなあ、って思いますよね」
――ちなみに僕らは、14歳のタカシたちの心をそのまま持っているオトナ童貞のための媒体なんです。
「あはは! DT! ひとつ皆さんに言えるとしたら『あきらめないで』ってことですかね。あ、ここ、真矢ミキさん風に、って書いといてくださいね(笑)」
(取材・文:霜田明寛 写真:浅野まき)
関連情報
映画『14の夜』
12月24日(土)よりテアトル新宿ほか全国順次公開
監督・脚本: 足立紳(『百円の恋』)
出演: 犬飼直紀、濱田マリ、門脇 麦、和田正人、浅川梨奈(SUPER☆GiRLS)、健太郎、 青木柚、中島来星、河口瑛将、稲川実代子、後藤ユウミ、駒木根隆介、内田慈、坂田聡、宇野祥平、ガダルカナル・タカ /光石研
配給: SPOTTED PRODUCTIONS
© 2016「14の夜」製作委員会
PG-12