名作『ラブ・アクチュアリー』のリチャード・カーティス監督の最新作にて監督引退作となる『アバウト・タイム 愛おしい時間について』を観てきました。
『ラブ・アクチュアリー』といえば、女子なら一度はされてみたい、手描きカードを使ったクリスマスでの無言の告白シーンや、ビートルズの「All You Need Is Love(愛こそはすべて)」が結婚式で突然客席で演奏されるサプライズシーンなど、ひたすらうっとり♡な、数々の名シーンがいまだに記憶に残っている方もいるのではないでしょうか?
そんな一人でもある私、個人的にも『アバウト・タイム 愛おしい時間について』はかなり期待しながら鑑賞しました。
とはいってもこのコラムを執筆するためにも、出ている女優さんのファッション観察はもちろんおこたりません。
まず最初に思ったのは『ラブ・アクチュアリー』からの流れで観ると、どうやらカーティス監督は、女優さんの好みがコンサバ女子よりアンニュイ女子なのではないか?ということ。
『ラブアクチュアリー』に出演していた、自分の会社の社長を誘惑する小悪魔的なミア役のハイケ・マカチュもそうでしたが、王道の美人、というよりは、『アバウト・タイム 愛おしい時間について』のヒロイン、メアリー役のレイチェル・マクアダムスのように、アーティスティックな雰囲気のある女優さんを出演させることが多いのです。とすると当然ファッションもアンニュイ系になります。
特にメアリーは、無邪気な少女のような笑顔と、おしゃれ度の高いコーディネイト。日本で言うなら、モデルの梨花さんの雰囲気も感じました。
これまで様々なタイプの女性をリサーチしてきた私としては、60年代のフレンチポップスの歌手を思わせるカールされたセミロングのヘアスタイル、レトロ感溢れるプリントワンピース姿などのアンニュイ系ファッションは、おしゃれコンサバが王道モテなら、ニッチモテなのです。
でも逆に言えば好きな人は深~く好き。なのがニッチの特徴であり強み。
「ハマる男子にはハマる」ので、メアリーに惹かれたティム役のドーナル・グリーソンは、まさにニッチ男子といえそう。
そもそも彼の仕事は弁護士なのですが、プライベートはなにしろ草食系なのです!自分からメアリーに惹かれ、最初は「草食系でもいくときはいくぜ☆」という姿勢を見せてくれるものの、自宅のベッドに誘ったのはあくまでメアリーの方。ちなみにティムは初恋の相手である超美人のシャーロット(『ウルフ・オブ・ウォールストリート』でレオナルド・ディカプリオの相手役をつとめて大ブレイクした正統派女優さん)からも、「誘われる側(というよりイイように振り回されてる感も……)」になっています。
そんな心優しい草食系男子がもしあなたの気になる彼だったら……そしてあなた自身もメアリーのようにちょっとナイーブだったり本(や映画)が好きな文系&芸術系女子だったら、そんなあなたの内面の魅力をファッションに込めて、メッセージとして彼に届けると良いのでは?そんな時、この映画のアンニュイ愛されファッションは、きっと参考になるはず♪
そして最後に。
ファッションだけでなく、この映画はとても大切なメッセージを観る人に与えてくれます。映画のコピーにもなっている、
「今日という日を生きる それが人生を素敵にするー。」
という言葉。
丁寧に毎日をすごしていくことがどれだけ大切かを教えてくれる、とても愛おしい映画でした。そんな『アバウト・タイム 愛おしい時間について』は、9月27日より全国映画館にて公開中です。
【STORY】イギリス南西部コーンウォールに住む青年ティムは、両親と妹、そして伯父の5人家族。どんな天気でも、海辺でピクニックを、週末は野外映画上映を楽しむ。風変りだけど仲良し家族。しかし、自分に自信のないティムは年頃になっても彼女ができずにいた。そして迎えた21歳の誕生日、一家に生まれた男たちにはタイムトラベル能力があることを父から知らされる。そんな能力に驚きつつも恋人ゲットのためにタイムトラベルを繰り返すようになるティム。弁護士を目指してロンドンへ移り住んでからは、チャーミングな女の子メアリーと出会い、恋に落ちる。
ところが、タイムトラベルが引き起こす不運によって、二人の出会いはなかったことに!
なんとか彼女の愛を勝ち取り、その後もタイムトラベルを続けて人とは違う人生を送るティムだったが、やがて重大なことに気がついていく。どんな家族にも起こる不幸や波風は、あらゆる能力を使っても回避することは不可能なのだと。そして、迫られる人生最大の選択……。