ゴールデンボンバーが、4月27日(水)にニューシングルをリリースすることを発表しました。
タイトルは、『水商売をやめてくれないか』。
もう一度言います。
タイトルは、『水商売をやめてくれないか』。
……なんともゴールデンボンバーらしい、笑いと切なさが同居したような、とんでもなくドラマチックなタイトルだと、わたしは思います!
水商売で働くオンナに溺れ苦しむオトコの曲
この新曲、視聴はまだできませんが、実はライブではすでに何回か披露されています。
筆者も昨年行われた「ゴールデンボンバー全国ツアー2015『歌広、金爆やめるってよ』」の国立代々木競技場第一体育館公演で初めて聴き、多いに笑い、そしてちょっと涙ぐみました。
歌詞もまだ発表されていませんが、実際に聴いた感想としては、タイトルからも予想できる通り、おそらく「水商売で働くオンナに溺れ苦しむオトコの曲」です。
代々木のライブではメンバー全員が回転する台の上で土下座し、懇願するように歌うという、エアバンドならではの演出つきで披露されました。
笑えます。
笑えるけれど……切なすぎる……っ!!
もし自分が男で、好きな女性が水商売で働いていたら……。
そしてそれを辞めさせるくらいの、財力も自信もない男だとしたら……。
もう、想像しただけでも、胸が張り裂けそうです! わたし、女ですけれど。
過去にはメンバーの体臭カードのおまけとしてCDを販売
ゴールデンボンバーといえば、楽曲・演出だけでなく、CDの販売方法もユニーク。
2015年5月29日に発売されたシングル『死 ん だ 妻 に 似 て い る』では、メンバー4人それぞれがメインボーカルを担当するという4バージョンを展開しました。
さらに、メンバーの“体臭付きカード”を封入。CDの特典として体臭カードをつけるのではなく、体臭カードの特典としてCDをつけて販売したのです!
こんな取り組みは前代未聞で、当時も大きな話題になりました。今回もどうやら、おもしろい“何か”が特典に付く模様……!
ボーカルの鬼龍院翔さんも、自身のブログで「今回もまた少し変わった斜め上なCDになる」と告知しています。
詳細は今月末に発表予定とのことで、わたしたちの期待をどんな風に裏切ってくれるのか、今からワクワクしてしまいます。
「音楽とは何か」音楽家・鬼龍院翔の苦悩
そもそもゴールデンボンバーがなぜこのような奇抜な販売方法をとるようになったのか。
それは単に“おもしろいことをやるバンド”としてだけではなく、鬼龍院さんの音楽家としての苦悩と、ファンへの思いやりからなのです。
2014年1月1日に発売されたシングル『101回目の呪い』までは、ゴールデンボンバーはCDを複数パターンで販売したり、握手会などのイベント参加特典をつけたりして販売していました。アイドルばかりが問題されますが、これは今の時代、多くのアーティストがやっている手法。ランキング上位を狙うためには、仕方のないことなのです。
しかしそんな現状を見て、ボーカルであり、コンポーザーであり、バンドの中心である鬼龍院さんは、「音楽とは何か」ということを深く考えたそう。
そこで、「どこまで音楽以外の要素を削ぎ落として売れるか」をやってみたいと思い、2014年8月20日に発売されたシングル『ローラの傷だらけ』は、通常盤1形態のみ、真っ白なジャケット、特典なし。入っているのは「曲と歌詞カードのみ(歌詞も音楽の一部という解釈)」という、極限までシンプルにした形になったのです。
経緯については、下記の動画でも詳しく語られています。
当然、売上は前作に比べるとかなり落ちたわけですが、この販売方法は、音楽業界の人はもちろん、わたしたちファンも、「音楽とは何か」を深く考えるきっかけになったと思います。
実際、わたしはこれ以降、CDの複数買いはしなくなりました。
複数買いは否定しませんが、私にとっては1枚だけ買って聴きこむことが、「健康的なCDの買い方」だと思ったから。
奇抜な企画の裏にある、ファンへの思いやり
しかし革新的な試みをやめないのが、ゴールデンボンバーの真骨頂!
鬼龍院さんはこの『ローラの傷だらけ』発売前に、「特典なしで売ることによって、後々、特典の付け方も自由になってくると思う」と、前述のインタビュー動画でも予想しています。
そんな予想を現実にするかのごとく、『死 ん だ 妻 に 似 て い る』は、“各メンバー歌唱”“体臭付きカードつき”という斜め上すぎる形で発売。
これは「写真まで無くしてしまっては楽器を弾いていない他のメンバーの要素が無いじゃないか」という意見に対して、できるだけ、どのメンバーのファンも新曲リリースという機会をお祭りのように楽しめるように……と考えた末の、「極端に各メンバーの要素が入ったCD」だったのです!
しかし、複数パターンのCD扱いになってしまうため、別々にランキングされてしまう。それではメンバー内でランキングされてしまうことになり、ファンたちもいい気はしないだろう……というところまで考え、「CDランキングに載せないために、雑貨(体臭カードというフレグランス)として売る」という形で販売したのです。
なんて……なんてファン思いなのでしょう!!
もちろん、ほとんどのアーティストがファン思いなのでしょうが、その感情と“大人の事情”に折り合いをつけるのは、並大抵のアイディアでは難しいと思います。
この企画が発表された時には、鬼龍院さんのファンに対する愛と、苦悩の末に生まれたアイディア力に、心から脱帽しました。
ちなみにわたしは、『死 ん だ 妻 に 似 て い る』が発売された際、鬼龍院さんの体臭カードの封を自宅でコッソリ開けました。
それをどうしたかは……ここでは書きませんが、まさに“お祭り”として楽しんだということだけ、お伝えしておきます。
鬼龍院さん。その節は、ありがとうございました!!!!
そんな流れを経ての今回の新曲リリース。それが何なのかは現時点では定かではありませんが、「買う人がお祭りのように楽しめるような“何か”」であることは間違いありません。
好きなアーティストの新曲がどんなものかワクワクして、発売日にたった1枚をCDショップに買いに走るあの感じ。
子どもの頃、90年代のCDセールス全盛期を経験した世代には覚えがあるでしょう。
あの頃と全く同じ形とはいかないけれど、奇抜なアイディアで、あの頃のような気持ちを思い出させてくれる。
それが、ゴールデンボンバーの音楽へのチャレンジであり、ファンへの愛であるのだと思うのです。
(文:佐藤由紀奈)
ゴールデンボンバー
ニューシングル「水商売をやめてくれないか」
2016年4月27日(水)発売
■[CD+何か] ¥2,300+税 EAZZ-0162
■CD ¥1,000+税 EAZZ-0163