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6ヶ月でメディア流入10倍!?『おうちごはん』が実践したPinterest運用のコツ

あまの さき

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あまの さき

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直感的な“好き”を集めて、自分だけの世界を楽しむ人たちが集う写真共有サービス、Pinterest。

他者からの干渉を受けにくい世界観は、ブランドやメディアにとっても、ファンとのコミュニケーションの場として有効です。でも、アカウント運営はまだまだ分からないことも多いのが実情……。

そこで今回は、Pinterestのアカウント開設から半年で37.3万の月間閲覧者数まで伸ばした食卓アレンジメディア『おうちごはん』編集部のメディア担当者に、運用のコツを聞いてみました。


▲『おうちごはん』のアカウント

『おうちごはん』がPinterestをやる目的

――Pinterestをやろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

「『おうちごはん』でアカウントを作る前から、Pinterestからのサイト流入が毎月、右肩上がりで伸びていたんです。編集部としても洗練された画像が多く集まっているツールだというイメージを持っていたし、『おうちごはん』では写真にこだわった記事を作成しているので、絶対に相性がいいだろうと思っていました」

――たしかにPinterestはお洒落な世界観が魅力的ですよね。アカウントを持っていなくても、もともと流入があったというのは驚きです。

「そういう背景もあって、Pinterestからの流入をもっと増やせるのではないか?と考えたことが、運用を開始したひとつの理由です。また、情報収集の一環として、複数のメディアのソーシャル流入の割合を、SimilerWeb(シミラーウェブ)を使って調べてみました。すると、Pinterestからの流入が大きな割合を占めているメディアがいくつも見つかったんです。中には、ソーシャル流入のうちの約7割をPinterestが占めているメディアもあったほど

――7割!! かなり大きな割合ですね。

「ただ、正直なところ、もともと知見があったわけではありません。運用方法を調べてみてもあまり情報を見つけられなかったので、試行錯誤しながらのスタートでした」

――そうだったんですね……。そんな中でもこの半年間で着実に成長をしているわけですが、これまでの経緯を教えていただけますか?

「先ほどもいったように、サイトへの流入増を目的として、2月にPinterestの本格運用をはじめました

とはいえ、まずはPinterestの運用ノウハウをためることに注力していたので、当初は『おうちごはん』の記事内で掲載している画像を何となく毎日ピン(*)している状態でしたね……。でも4月になって急激に月間閲覧者数が増えたんです。正直、はっきりとした理由は分からないのですが、私たちがピンしていた画像と、Pinterestユーザーが探していたシーズナリティーのある画像が噛み合ったからじゃないかと推測しています。また、この時点で『おうちごはん』のサイトへの流入数も運用をはじめた2月と比べると2倍になっていました。そこで、編集部としてPinterestからの流入数も目標値として追うように決めました

(*)……Pinterest上で出会ったお気に入りのアイディアを、自分のボードに保存すること。

――ノウハウのない中でも、当初から順調だったようですね! その後はどうなったんでしょう?

「実は5月頃、毎日ピンしても数値に変化がみられないことが続いて、どうすればいいか悩んでいたんです。1度閲覧者数も下がってしまったのですが、ちょうどPinterest Japanの小串さん(@ogcrsk)とお話する機会があったので、色々とご相談をさせていただきました。そのお陰もあって、6,7,8月と順調に推移しています。7,8月は特に力を入れていたので、サイトへの流入数が増えました。9月も今のところ順調です」

▲流入数の推移

『おうちごはん』編集部が力を入れた3つのこと

――力を入れた、というのは具体的にはどんなことをしたんですか?

「目標をサイトへの流入増に置いた私たちがやったことは、大きく分けて3つです」

[1]1日の目標は100!ピンとボードの数を増やす!

――日々の運用でやると決めていることを教えて下さい。

「基本的に100に近い数は毎日ピンするようにしています」

――1日にですか!? 途方もない数字に感じてしまいます……。

「目的はサイトへの流入増なので、全て『おうちごはん』にある画像をピンして、記事へ遷移させています。ただ、記事へ掲載している画像には限りがあるので、同じ画像も切り口を変えたボードにピンするようにしています。とにかくたくさんピンして、たくさんボードを作り、毎日コツコツ運用することが大事だなと実感しています。でも、InstagramやFacebookなどのSNSの運用と比べると、Pinterestは運用負荷が少ないように感じます」

[2]Pinterestアナリティクスを活用する!

――その後のアクションは?

「Pinterestはビジネスアカウントに切り替えると、アナリティクス機能を使うことができるようになり、ピンされた数やクリック数などが細かく見られるようになります。これを活用しない手はないので、アナリティクスで反応のある画像を確認するようにしていますそこで人気のピンや切り口を判断し、記事の作成にも役立てています


▲Pinterestアナリティクスの管理画面

――Pinterestアナリティクスで見ていて、反応のよい画像に傾向はあるのでしょうか?

「可愛い盛り付けのスイーツの画像などは、分かりやすく人気でよく保存されています。ただ、実際にサイトへ流入している数を示すクリック数は、お洒落な画像だけではなく、作る過程が分かるものがよく見られているんです

これは運用をはじめてみてから気が付いたことなのですが、『おうちごはん』の世界観を伝えることよりも、ユーザーが次のアクションに繋げられる情報をピンすることが大事。その点は早々に軌道修正した部分です」

――先ほど、記事の作成にもクリック数を参考にしているとおっしゃられていました。メディアの方向性もPinterestを参考にしているんですね。

「はい、アイデア探しの参考にしています。これはむしろメディアにとってもよかったことなのですが、Pinterestはまだまだ海外ユーザーの利用割合が高い。そのため、私たちもいち早く海外で話題になっているものに触れることができるんです。食のトレンドも、海外からだんだん日本へ入ってくる傾向にあるので、次にどんな内容を掲載すべきかという判断材料としても、非常に重要なんです

――なるほど、先を読むためにむしろPinterestでの情報が利用できるということですね。

[3] ボード名は“欲求”に忠実に!

――ボードの数を増やそうとすると、場合によっては数枚しかピンされていないボードもできてしまいそうですが……。

「そうですね。それは気を付けているところで、15~20枚ピンできる!と思ったボードしか作らないようにしています

――9月20日現在で、『おうちごはん』には143ボードありますが、タイトルを考えるのも難しそうです……。

「運用を開始した当初は“スイーツ”などの名詞をボードの名前にしていました。でも、実際に自分たちがInstagramなどで保存しておくのは、“行きたい場所”などのワードが多いな、と気付いたんです。そこでみんながボードにどんな名前をつけているか調べたところ、“食べたい”や“美味しそう”だったんですよね。それに気づいてからは、自分だったらどういう風な名前にするかを意識してボードの名前を付けるようにしました。そうすることで、よりホームフィードに出やすくなり、見つけてもらいやすくなるのではないかと」

――綺麗な言葉にするよりは、欲求に忠実なんですね。

これだけは抑えるべき、運用のコツ

――最後に、これからPinterestのアカウント運用をはじめる方たちへ向けてアドバイスがあればお願いします!

「繰り返しになりますが、何のためにPinterestを活用するのか、目的を明確にすることが大切だと思います。そうすればどんな画像をピンするか、1日にどれくらいの数をピンすればいいか、など、道筋が分かりやすくなるはずです。でも、気を付けていただきたいのは、他の企業が行ったやり方が正解ではない、ということ。コピーではなく、独自の運用が不可欠なのではないかなと思います」

好きを伝搬し、共感者を集めるために


興味・関心軸で伝達していくからこそ、本当にその情報が好きな人に届くのがPinterestの魅力。

『おうちごはん』の場合は、画像の盛り付けやレシピの利便性から共感を得るからこそ、多くのサイト流入に繋がっているといえそうです。

顧客や読者の方と“好き”を共有する手段として、Pinterestの導入を検討してみるのもいいかもしれませんね。

(文:あまのさき)

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