「霜田くん、それはミスキャンパスにダマされてるわねー」
いつもの表参道の美容院で、アラフォーのカリスマ女性美容師Iさんは、ハサミを軽く動かしながら言った。
僕が「最近、カワイイ女子大生でも、自信ないっていうコが多いんスよ!自分のことカワイイと思ってないコが多いんスよ!」と興奮気味に語った時のことである。
モバイルフライデーにて『今週のミスキャンパス』というインタビュー連載を始めたり、『JJ』12月号にて、ミスキャンパスのエントリーシート指導企画に登場したりしていた僕は、この月は、ミスキャン仕事が重なっていた。そこで、次々会う彼女たちは、『ミスキャン』という称号から想像するイメージに反し、高飛車ではなく、自信がない感じがし、心を揺さぶられたのだった。
だが、Iさんはこう重ねた。
「全部、自信ないフリよ。だって、自分のことカワイイと思ってなかったら、自撮りしないでしょ」
た、確かに……。高校生の時に、自分はジャニーズJr.になれるものだと思い込み、オーディションまで受けに行っていた僕は、ケータイのフォルダが自撮り画像でいっぱいになっていた当時を思い出し、納得した。
髪を切ったあとに控えていたのは、明治ガールズコレクションファイナリスト、3人の連続取材だった。明治ガールズコレクションとは、正式なミスコンテストのない明治大学で、3年前に始まった美人女子大生によるショーだ。とはいっても、ちゃんと投票でグランプリも決める、ミスコンの形態に近いもの。出場者のレベルも他大のミスコンと同等、もしくはそれ以上だ。
候補者の中で、ひとり目の取材となったのは、エントリーNO.2の和田梨紗子ちゃん。僕がおそるおそる自撮り話を振ると彼女はこう言った。
「いかにも、カワイイでしょって感じで自撮りすることに抵抗があって。そもそもブログで自分のことを発信するのが恥ずかしいです。誰が読んで楽しいんだろう、って……」と。
こ、これは騙されてるのか、霜田? Iさんの声がよぎる。だが、確かに和田さんのブログに自撮り画像は見当たらず、1枚だけそれらしきものがあったが、なんとドーナツで顔をほとんど隠していた。
さらに、その後、他の明治ガールズコレクションファイナリストの取材を続けていくと、
「調子に乗ってるって思われるのがイヤだったから、高校時代は声をかけられても、メディア露出を断っていたんです」(No.1 石井雪乃さん)
「私なんかが出ると恥さらしになるんじゃないかって……まあ、さらしても3年生なんでもうあんまり学校来ないから、出ることにしたんです(笑)」(No.3 匠原祐梨子さん)
と、心底自信のなさそうな発言が続く。一応言っておくと、正直3人とも相当にうらやましいほどのルックスをしているのに、である。
彼女たちの発言からは、周囲の目への配慮、調子に乗りたくないという謙虚な姿勢など、“真っ当なイイ子”の感覚が透けて見えた。真摯に語る彼女たちの目を見ながら思った。
この言葉は心から出ている!騙されているのではない!たぶん!
おそらく、こうなる理由は、明治ガールズコレクションが正式なミスキャンパスコンテストではないことからくる、彼女たちの無意識の遠慮。そして、明治大学が、お世辞にも“女子がカワイイ”というイメージがあるとは、言いづらい大学であることから来るのではないだろうか。
明治の大学生は、立教、青山学院、慶応といった大学や、その他の女子大のように「大学名だけでチヤホヤされる」ことがあまりないので、調子に乗りにくい。もっと言えば、調子に乗れる場所に出会いにくいのである。合コンで若手社会人にチヤホヤされるといった機会にも恵まれづらく、私生活も、他大生に比べて地味目。
事実上のミスコンにまで出られているのに、調子に乗れる場所がない、という奇跡。これは本人たちにとってはアンラッキーかもしれない。だが、この奇跡が明治ガールズコレクションの、“カワイイのに調子に乗ってない”という女子たちを生み出しているのである。
同じカワイイコなら、調子乗ってるより乗ってないほうがいいでしょ!ということで、そんな彼女たちを見ることができる、明治ガールズコレクション本番は11月3日(日)に開催!グランプリになったら、彼女たちも少しは自信を持ってくれるかも!?
(文・霜田明寛)
【開催概要】
日時:11月3日(日)
◯1部 14:00~16:15 明治大学和泉キャンパス第二校舎 6 番教室
無料入場チケット必要(12時15分より第二校舎6番教室前で配布開始)
◯2部 17:15~17:45 明治大学和泉キャンパス屋外メインステージ
チケット必要なし・入場無料