「先輩、今日リムジンいっしょにのりにきませんか!?」
21歳の後輩Kから突然、なぞの電話がかかってきたのは、去年の12月のことだ。
みなさん、誕生日はどうやって過ごしますか?
誕生日ってステキな日ですよね。友人に恵まれた人たちなら、誕生日には、サプライズなんてのも企画されているのかもしれない。ただ、僕の頭で絞り出せるサプライズは、かなり限られたものだ。せいぜい色紙に寄せ書きしたりするといったところだろうか。
だが、どうやら最近の大学生のサプライズは次元が違うようだ。
好奇心から後輩からのリムジンの誘いにのった僕は腰を抜かした。どうやら彼らの計画では、その日誕生日の友人を居酒屋で祝うと伝え、新宿のアルタ前に呼び出す。そしてそこに、アルタ前に横づけしたハマーのリムジンが登場し、そのままリムジンにのりこみ、大学の最寄駅まで送迎されながら、リムジンパーティーをするというのだ。
初めてのリムジンパーティーは夢のようだった。黒革のソファに大胆に腰かけ、備え付けのキラキラした細長いグラスで高価なシャンパンをあける。ドレスコードでリムジンに乗り込んだ僕らは、まさにニューヨークのセレブ気分だった。
その日僕は、リムジンでコンビニに寄り、トイレに駆け込むという貴重な体験をさせていただいた(笑)
しかし、そんなド派手な誕生日祝いは、リムジンにとどまらない。それまでにも多くの驚きの誕生日祝いが開かれていたというのだ。
「渋谷の電光掲示板に“誕生日おめでとう”のメッセージを流したり、クラブの貸し切りとかもやったことありましたよ!」
後輩Kは続ける。
「こういうのけっこう普通にやってる女子大生もいますよ!女子会でリムジンパーティーやってるのFacebookの書き込み月1くらいはみますし」
なるほど、リムジンは「普通」らしい。
ちなみに、そんなド派手な誕生日パーティーには一体いくらのお金¥がかかるのだろう?
リムジンサービスの相場は1時間、パーティー代こみでおよそ2~3万(車種によって変動)。渋谷の電光掲示版は企業広告ではなく、個人の依頼でスクランブルなどの1級地帯の広告でなければ、1時間毎に15秒程度1日中流して、1万5千円。クラブ貸切は3時間フリードリンクで20万円ほどがかかるようだ。
た、たかっ!!
が、後輩Kは言った。
「どれもそれなりの人数を集めて、企画されてるから一人あたりが払う金額は5千円くらいですよ。どうせ居酒屋で同じくらい払うことになるなら、忘れられないようなことやったほうがよくないですか!?」
誕生日を友人たちが盛大に祝ってくれることがうれしくないわけがない。ましてや、なかなか体験できないスペシャルサプライズがあるなら、いいようがないくらいの幸せを感じることだろう。
だがしかし、盛大な誕生会の「お返し」にビクビクしてしまうのは僕だけですか?
(文:ソーシャルトレンドニュース編集部 インターン 小池田カズモ)