この春、進学・就職などでワンルームでの一人暮らしを始める人も多いのではないでしょうか?
せっかくの新生活、自分好みの部屋でスタートを切りたいですよね。
しかし、収入は少ないのになにかと支出は多い学生や新社会人、なかなかインテリアにまでお金をかけられないというのが本音だと思います。
そこで今回は予算一万円以内でワンルーム100%を楽しむ模様替えを紹介していきます。
筆者も一人暮らしを始めた当初はいつだれが遊びにきても自慢できる部屋を目指していたのですが、恋人は愚か友達すらできない現実に直面し、今ではゴミも大体床に投げ捨てているような有様です。
床全体をゴミ箱と捉えることでなんとなく事なきを得たような気になっています。
このままではまずいと思い、今日は初心にかえり、心機一転模様替えをしてみようと思います。
筆者の今回の模様替えのコンセプトは、ずばり「高級感」です。
大改造!!劇的ビフォーアフター
ここからは私は留年寸前の学生ではありません。物件改造のスペシャリスト、匠です。
ワンルームという一見高級感からかけ離れた空間をいかに変えていくかが匠の腕の見せ所。
まずはこちらをご覧ください。
ドアを開けるとどれだけモテない女であるかを物語るような雑然とした玄関。
せめて靴は並べて欲しいですね。高級感云々の前に人間性を疑いますね。
一歩入るとそこにはゴザ。
去年の夏のセールで衝動買いしたものの、大きさが全然合っていないため折り畳んで使用されているゴザ。
田舎のおばあちゃんの家を彷彿とさせる心地よい貧相さを演出しています。
奥に見えるのは何故か脚が折れて低くなったベッド。
来客用に買ったけど、収納がないために1年以上しきっぱなしの布団。
ここまで着実に貧相ポイントを重ねています。
ドアをあけるとそこには、これまた貧相な空間が出現。
普通です。
何の特徴もないのが逆に素材の貧相さを引き立てています。
マット類を敷いていないトイレもなかなかの高得点です。
そして最後にお風呂。
やはり狭さが気になりますね。
ワンルームの宿命である狭さとの戦いはこの模様替えのポイントになっていくところだと思います。
匠は本当にこの貧相なワンルームを高級マンションに変えることが可能だと言うのでしょうか。
二時間後
なんということでしょう。
あの雑然とした玄関が高級感溢れる万札ばりの玄関に生まれ変わりました。
心なしか靴もそろって見えます。お金の力ってすごいですね。
しかもよく見ると1万円札ではなく100万円札。
なんとこの玄関だけで総額7000万円相当です。
玄関を入ると先ほどはなかったカーテンがあります。
ここで仕切りを作ることによって空間が分けられ、ワンルームでありながら全く違う部屋として楽しむことができるのです。
もうこれはワンルームではありません。1G(1玄関)です。
匠の技は間取りすら超越してしまうというのでしょうか。
カーテンをくぐると先ほどの貧相なゴザの上には富の象徴ペルシャ絨毯。
さきほどティッシュしか置かれていなかった貧相な机には高価な果物の盛り合わせ。
一本置かれたバラがにくいですね。
壁にはさりげなく今年の干支である羊をかたどったハンティングトロフィーが飾られています。
匠の粋な計らいによって、酔った勢いで買って後悔した羊のお面が生き返りました。
しきっぱなしで万年床となっていた布団はたたまれ、使っていないベッドカバーがかけられてゆったりとしたソファに大変身。
この高級感溢れる空間にあると脚のないベッドもラグジュアリーなローベッドに。
背の高い家具は圧迫感を与え部屋を狭く見せてしまう原因になるので、部屋を広く見せるためには全体を低い家具で統一することがワンルームの鉄則なのです。
役に立ちましたか?感心しました?
ここで感心しないともうするとこないですよ!
さらに脱衣所に向かうドアをあけるとそこには……。
先ほど何の特徴もなかった脱衣所に何やら怪しい札が出現いたしました。
これは明らかにそういうお店です。下手したら30分で50万円くらいもっていかれてしまう可能性まであります。
一介のワンルームの中にそういうお店を擁するためには裏で一体どれほどの巨額の資金が動いたのでしょうか。
考えるだけで恐ろしいですね。
しかし、ここで引き下がる訳にはいきません。
いざ開かれん楽園への扉!!!
なんということでしょう!!
つい二時間ほど前までトイレがあった場所に公園がありました。
アメリカの名門大学群アイビーリーグを思わせる赤いレンガと優美なツタのコントラストが、いかにも上流階級といったオーラを醸し出しています。
あの普通のトイレに可憐な花々が咲き乱れ、美しい蝶が舞う癒しの空間へと様変わり。
そして便器には何やら見慣れない文字が。
こ……これは……。
かの有名な芸術家、マルセル・デュシャンの作品『泉』ではないでしょうか……!
レディメイドの先駆けとなったあの有名作品が何故こんなところに……!
ラグジュアリー空間の演出にはやはり芸術作品が不可欠。
匠の技が光っています。
最後に残されたのはあの狭い浴室。
ここまで数々の奇跡を披露してきた匠ですが、さすがにここまでではないのでしょうか。
歴戦の匠といえど、狭い浴室を高級感溢れる大浴場に変えることは不可能なのでは。
なんということでしょう。
我々が今目撃しているのはペンギンです。
世界広しといえど、浴室でペンギンを飼っている可能性があるのはビルゲイツや孫正義などごく一握りの富豪に限られます。
あれ、このペンギンよく見ると……ジェンツーペンギンです!!コウテイペンギン、キングペンギンについで世界で三番目に大きいことで知られるジェンツーペンギンです!
匠はまさか……!
匠「そのまさかです。本来であれば80cmほどの体高のジェンツーペンギンを20cmスケールで配置することによって目を騙し、浴室を実際の4倍の広さに見せかけることができるのです」
匠の技に不可能はなかった。
こうして一つの貧相なワンルームが至高の高級マンションへと生まれ変わった。
100万円札のメモ…580円(東急ハンズにて購入)
両面テープ…108円(ダイソーにて購入)
並べる喜び…プライスレス
ペルシャ絨毯風の布・2317円(東急ハンズにて購入)
果物用の器・1000円(東急ハンズにて購入)
羊のお面・610円(購入場所不明)
ぶどうのサンプル・490円(雑貨屋にて購入)
りんごのサンプル・150円(雑貨屋にて購入)
バラのサンプル・150円(雑貨屋にて購入)
18歳未満お断りの標識・480円(東急ハンズにて購入)
人工芝・108円×7枚(セリアにて購入)
造花・108円×8本(ナチュラルキッチンにて購入)
ペンギン・1500円(東急ハンズにて購入)
計8141円
(文:篠原かをり)